店舗経営に関するお困りごとのうち、いつも上位にランクされるのは、採用難、集客難、人事評価制度の運用難です。
これらの対策を進める時に、手段として始めたことが、いつの間にか目的化していることが散見されます。
今回はそれを避けるための視点について見ていきましょう。
1.「採用が難しくて」
採用がなかなかうまくいかず、慢性的な人手不足でお困りの会社があります。採用活動も継続的にしているのに、いっこうに人手不足が解消されないという状況です。
そのような会社の対策として話し合われていることが、何の採用媒体が効果的かということです。
A媒体が採用に結びつかなかったから次はBで、BがだめならCがいいのではというようなことです。
これは採用媒体は何が有効かということで色々と試していて、決して間違いではありません。
ただ、採用がうまくいかないことが続きますと、採用媒体という手段を何にするかという話から、
採用媒体をとにかく出し続けるという目的になってしまっていることも多く見られます。
もし長期にわたり採用難が続いているのであれば、何故採用が難しいのかを一旦立ち止まって検討してみましょう。
例えば、募集内容や面接の時に会社の魅力を充分に伝えられているかはとても大事なポイントです。
何をしている会社かは伝えていても、そこで働くとどんな楽しいこと、どんなメリットがあるかを充分に伝えきれていないことがよくあります。
また、採用した人がすぐに辞めてしまい人が定着しないこともあり、結果的に人手不足になっていることもあります。
それは採用が問題なのではなく、入社した後のどこかに問題が隠れているケースも多いです。
例えば、店舗や施設の運営の仕方がその場かぎりのことが多く、スタッフが働きにくい、充分に教育してもらえない、
社員とパート・アルバイト間のコミュニケーションが少なく活気がないなどは、退職理由の中でもよく聞かれます。
2.「集客が安定しなくて」
集客の施策を色々と実行しているが、なかなか安定した来店客数を維持することができないという声もよく聞きます。
そのような会社が行っている集客策は、主にSNSを使ったものです。
比較的低コストで手軽にできる、競合他社もたいていSNSをやっているという理由で始める会社も多いでしょう。
集客のためにSNSを利用すること自体は間違っていませんが、ここでもSNSを出し続けることが形骸化して、
集客の手段として始めたことが、いつの間にか出すことが目的化してしまうことがあります。
SNSは「こつこつ継続して出す」ことが基本ですが、それでも集客の効果が薄い場合は、一旦立ち止まって検討してみましょう。
もし広告などを掲載して一時的に集客できても、その後の集客につながらない場合なども同様に検討が必要です。
集客は、新規顧客の集客と既存顧客のリピート集客の2種類ありますので、それを念頭におくことが大事です。
その上で例えば、店舗や施設としての商品・サービスの「ウリ」は何にするのかを再度見直すことは重要なポイントです。
店舗・施設ができることの中から顧客が欲しいと思うもので、競合他社がやっていないもの・競合他社よりも魅力をだせるものを練り直してみると良いでしょう。
また、一度ご来店いただいた方にリピート客になっていただくためにも、商品・サービスそのものの質が良いことはもちろん大切ですが、
ご来店された顧客に接客をとおして、「ウリ」の魅力を充分に伝えることも同じくらい大切なことです。
いずれにしましても、集客を一過性のものにしないという発想で集客策を組み立てることが重要ですね。
3.「人事評価制度が定着しなくて」
人事評価制度を構築したけれども、従業員がうまく使いきれていないという声が増えています。
人事評価制度は、制度の構築とその運用の難しさは20:80といわれるくらい、制度の運用の方が難しいというのが定説です。
人事に関連した退職理由でも、人事制度が理由で辞める人は少なく、その運用に不満や不信をもっていることがほとんどです。
人事評価基準を作り、面談制度を作っても、それだけではうまく活用されません。
人事評価制度は、過去の評価を将来にどのようにつなげていくかという視点が益々重視されてきていますので、それにつれて難易度も増してきています。
ここでも気をつけていないと、作った人事評価制度が単に評価する手段のもの、面談も決められているからやるといった作業になっているといったことにもなりかねません。
もしそのような傾向が見られるようでしたら、一旦立ち止まって検討してみましょう。
人事評価制度では、「公平性」ですとか「平等性」といった言葉がよくでてきますが、その意味は人によって解釈がわかれることですので、
「どれだけ多くの従業員が納得できる制度と運用か」という視点を併せて持つとよいでしょう。
これは、制度の大義は「公平性」「平等性」と謳い、運用は「納得感」で進めるということです。
どんな会社でも従業員全員が100%満足している人事評価制度はありえないけれども、
おおかたの従業員が満足・納得できる制度・運用は目指すことができるという考え方に立っています。
ですので、例えば人事評価基準では、上長として人ごとに異なる評価の仕方をしているところを、会社全体として評価の仕方を擦り合わせる必要があります。
また、部門ごと、事業ごとの評価のズレもなくす必要があります(A事業は評価が甘く、B事業は評価が厳しいなど)。
更に、期中の面談や最終的な年度末の面談などでは、本人の振り返りや意向を聞くことはもちろんですが、
今後の成長の助けになるような指導やアドバイスをすることが重要になってきます。
以上
あなたの会社では手段の目的化は起きていないですか?
