『店舗体幹®』を鍛えて利益重視の店舗経営へ
髙橋店舗経営コンサルティング
〒104-0061 東京都中央区銀座 7ー15-8 タウンハイツ銀座406
銀座線 銀座駅から徒歩 8分
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営業時間 | 9:30-18:00 |
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定休日 | 土日祝日、年末年始 |
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目次
【クライアント様の声から】
【店舗経営クライアント-1】★自分の考えを発信する!言葉で、行動で。
【店舗経営クライアント-2】★PDCAサイクルが回っていないと思った時は・・・
【店舗経営クライアント-3】★負けグセの長期化から脱却する方法
【店舗経営クライアント-4】★他社でも通用する経営幹部になるためには
【店舗経営クライアント-5】★店舗経営の改善2大要素とは・・・
【店舗経営クライアント-6】★ノウハウを定着させる方法
【店舗経営クライアント-7】★ポストコロナの店舗経営:3密から3K+Sへ
【店舗経営クライアント-8】★店舗管理の要となるエリアマネージャーの役割
【店舗経営クライアント-9】★部下とのコミュニケーションに悩んだ時は
【店舗経営クライアント-10】★経営TOPへプレゼンする時は
【店舗経営クライアント-11】★他店視察は何処をどう見ると良い?
【店舗経営クライアント-12】★小売業が本業でない会社が小売店を出店した時は!
【店舗経営クライアント-13】★マニュアル作成の考え方とは!
【店舗経営クライアント-14】★ハラスメントの基礎知識:ハラスメントとは
【店舗経営クライアント-15】★ハラスメントの基礎知識:3大ハラスメントを知る
【店舗経営クライアント-16】★ハラスメントの基礎知識:ハラスメントが起きない職場づくり
【店舗経営クライアント-17】★CS・ES向上の取り組み方
【店舗経営クライアント-18】★初めて店舗責任者になった時は(その1)
【店舗経営クライアント-19】★初めて店舗責任者になった時は(その2)
【店舗経営クライアント-20】★初めて店舗責任者になった時は(その3)
【店舗経営クライアント-21】★初めて店舗責任者になった時は(その4)
【店舗経営クライアント-22】★店舗(現場)で使えるフレームワーク
【店舗経営クライアント-23】★キャリアづくりの視点とは
【店舗経営クライアント-24】★仕事の仕方のマンネリ化を防ぐ方法とは
【店舗経営クライアント-25】★MBOとノーレイティングのメリット・デメリット
【店舗経営クライアント-26】★考課者研修(目標設定編)
【店舗経営クライアント-27】★考課者研修(評価エラー編)
【店舗経営クライアント-28】★考課者研修(人事評価編)
【店舗経営クライアント-29】★自己効力感を高める方法とは
【店舗経営クライアント-30】★事業発展に必要な考え方(その1)
【店舗経営クライアント-31】★事業発展に必要な考え方(その2)
【店舗経営クライアント-32】★研修の進め方
【店舗経営クライアント-33】★研修例:新任店長研修(階層別研修)
【店舗経営クライアント-34】★研修例:VMD研修(職種別研修)
【店舗経営クライアント-1】★自分の考えを発信する!言葉で、行動で。
チームの責任者として自分の意見を伝えたり行動で示したりすることは、チームをまとめる上でとても重要なことです。ここでは自分の考えを発信する方法についてご説明いたします。
チームの中で自分の考えを発信する時のポイントは次の3つです。
①情報を取捨選択する& 適宜アップデートする
②有益な情報を自分の言葉で言い直す
③自分の業務で使ってみる=アウトプットする
①知識としての情報を収集する方法は色々ありますが、今の時代では、ほとんどの情報はネットで検索すれば出てきます。
一方でネットの情報は必ずしも知りたい情報が自分にとって整理された形で掲載されているとは限りませんし、中には間違った情報も混在している時もあります。
従いまして、情報を収集する時は、正しい情報を自分が理解しやすい枠組みにあてはめながら整理することが大事です。
また、知識としての情報は時間と共に変化していくものも多くありますので、適宜アップデートすることは必須となります。
但し、今までの情報=使えないということではなく、旧情報から新情報になった背景・理由は?顧客にとってそれは有益?自社にとってそれは有益?などを検討する材料にもなり得るということを知っておきましょう。
②知識として収集した情報は、まだこの段階では他人の言葉で表されていますので、この後のアウトプットに向けて自分の言葉に言い直しておかなければいけません。
「ネットにはこう書いてあった」「この本にはこう書いてあった」「先日のセミナーではこう言っていた」というのはただの伝聞で、自分の意見ではありませんね。
例えば、それを聞いて自分はどのような理由でその意見に賛成なのか反対なのか、自分だったらどうするのか、それをどう自分の仕事に活かしたいのかなどを自分の言葉にしておくことが重要です。
この自分の言葉にしておくという習慣づけをしますと、自分で考えるクセがつきますので、是非試してみて欲しいです。
③自分の言葉になった知識は、持っているだけではもったいないですね。次は業務の中でアウトプットしていきましょう。
それはチームメンバーに話すということだけではなく、行動で示すということでもいいですし、自分のプレゼンの中に入れ込むということも出来るかもしれません。要は、他の人に自分の考えを、自分の言葉や行動で示すということです。
有益な情報は、アウトプットされて初めてその情報が活かされることになります。逆に言えば、情報を収集しながら整理し始める段階で、アウトプットすることを前提に整理しますと、必要な情報を見分ける精度も上がり、効率良く有益な情報を収集できるようにもなります。
このように「情報は活かしてこそ情報になる」ということを念頭におきながら、積極的にアウトプットすることを心掛けていきましょう。
【店舗経営クライアント-2】
業務を進める上でPDCAサイクルはとても有効なマネジメントツールです。業務を計画し~実行し~評価し&見直し~改善するというサイクルを回すものですが、PDCAサイクルが回らない人に共通する原因としてよく見られることは、「P:計画」が不十分・不適切であるということです。
そこで今回は、PDCAの「P:計画」の効果的な立て方についてご説明いたします。
PDCAサイクルの「P:計画」の立て方のポイントは次の3つです。
①「P:計画」は根拠のある計画を数値化する
②「P:計画」は5W1Hで作成する
③中長期的な施策を忘れずに入れる
①まず計画期間の最小単位は週にしましょう。短すぎず長すぎず、テンポ良く進捗を確認するためには週単位が適しています。
週単位の計画を作成する場合、必ず前年同週、直近週の売上や集客の実績、マーケット動向などを踏まえた上で計画を立てるようにします。そしてその結果として「~だからこう計画する」というように、根拠のある計画にすることが重要です。
また、計画は数値化できるところは出来る限り数値で表すことが大切です。店の売上や客数、客単価はもちろんですが、施策ごとの売上やSNSの配信回数、おススメ接客トークの実施回数、新商品/新メニュー/新サービスの販売数量、ダイレクトメールの配布枚数など、誰が見ても同じ理解ができるようにしておきましょう。
②計画は、いつ、どこで、誰が、何を、何故、どのように実行するのかを明確にしておきましょう。
計画はそれを見た人や聞いた人がすぐに理解して動けるように、具体的な行動レベルに落とし込んだ内容にしておくことが必要です。具体的な計画の例は次の様なものです。
例1)「売上アップのために、今週金曜日発売の新商品を店頭販促エリアで販売するにあたり、商品の納品数の再確認、陳列方法の確認、販売人員の確保、POPの準備などを担当のAさんに仕切ってもらう、3日間(金曜日~日曜日)の販売数量/金額の目標は●●/▲▲とする」
例2)「テイクアウトの売上アップのために、来月1日から新メニューを投入、その前に今週はテイクアウトの告知を強化する、告知は店内と店先でチラシを配布、店先にはイーゼル看板でも訴求、その他HP、SNSでも告知をする、担当はAさんをリーダーにBさんがサブでサポート、事前告知の今週の目標は、チラシ配布300枚、イーゼル看板告知は木曜日にスタート、HP、SNSは金曜日にアップする」
③週単位の計画はとかくその週の売上アップの施策だけに目がいきがちです。しかし、周年企画の準備、新人のスキルアップトレーニング、新商品/新メニュー/新サービスの開発など、通常月単位の時間がかかる業務も店にとっては重要な売上アップ施策です。
従って、これらの業務も週単位に計画を落とし込んでいくことが必要です。間際になってバタバタの中で中身を決めるなどということがないように、毎週進めていけるようにしっかり計画していきましょう。
このような中期的な計画は月別の進行表をまずは作成し、全体の進捗管理ができるようにしておき、その進行予定を週単位の計画にも落とし込むというやり方が良いでしょう。
このようにPDCAサイクルを回すためには、まずは皆が具体的な行動に移せる「P:計画」を作成することが重要です。今週の計画から再度見直してみましょう。
【店舗経営クライアント-3】★負けグセの長期化から脱却する方法
売上低迷が長期化すればするほどその出口が見えなくなり、従業員のモチベーションも落ち、益々業績も悪化するという悪循環に陥ります。
このような負けグセがついてしまった状況からは、一刻も早く抜け出さなければなりません。ここでは負けグセが長期化してしまった時の脱却の仕方をご説明いたします。
負けグセ長期化からの脱却のポイントは次の3つです。
①必死に頑張ればなんとか達成できる短期目標を設定する
②小さな成功体験を積み重ねる
③何でも良いので「一番」をつくる
①負けグセが長期化している店舗・会社では、売上目標が高すぎて、とても達成できるとは思えないという状況をよく見かけます。
会社の成長のためには高い売上目標を達成しなければいけないことは理解できます。しかし、そもそも既存の商品力や経費予算ではほぼ達成が不可能な売上目標では、従業員のやる気もおきませんし、店の活気を出すことも出来ません。
まずここで必要なことは、店も本部も必死に頑張ればなんとか達成できる短期の目標(週間、月間)を本来の目標とは別に設定することです。それにより長い間目標を達成することがなかった状況から、単体の週や単月では目標を達成することが出来る状況に変わることになります。
そして、それにより0勝10敗だった目標達成率が2勝8敗へ、そして5勝5敗へと繋がり、本来の目標に挑戦する体力がついてくることになります。
②従業員のモチベーションは、負け続きでは決して上がってはきません。そこで店全体の売上だけではなく、業務をもっと小さく分解したものの目標を掲げて、それを達成するようにしてみましょう。
例えば、好調な商品はいくつかあるはずですので、それを伸ばすための単品の目標設定をしたり、「今売れていますトーク」を接客の中で100%するという目標にしたり、売れている商品のSNS投稿を毎週5品&10週間続けるなど、すぐに取り組むことができるものが良いでしょう。
このような小さな挑戦でも達成することが出来れば、必ず店の活気に繋がります。小さな成功体験を積み重ねることによって、それがより大きな成功体験への助走になることを忘れないようにしましょう。
③売上が悪いからといって、店での活動がすべて上手くいっていない訳ではありません。そこで、少し目を店舗の外に向けてみて、その店が一番になれるものを探してみましょう。
それは社内で一番でもいいですし、店舗のある地域の中での一番でもいいですし、競合他社と比べての一番でもいいですので、兎に角その店舗が一番になれることは何かを考えましょう。
例えば、単品の商品が社内のどの店舗よりも売れているとか、この地域では断トツに接客の評判が高いとか、競合他社のSNSと比べて自社店舗のものが断然フォロワーが多いなど、どのジャンルのことでも良いでしょう。
そして、この一番になれるものを店内で充分に社内広報を行い、従業員のモチベーションアップに繋げていくことが重要です。一番になることの魅力は、従業員にとって、とても大きなものであると認識しておきましょう。もしかすると、従業員からも一番になれる他のアイデアが出てくることもあるかもしれませんね。
このように、いくら負けが続いている店舗でも、そこから脱却する方法はいくつもあります。あとは皆さまの行動あるのみですね。
【店舗経営クライアント-4】★他社でも通用する経営幹部になるためには
ここでは決して転職をおススメすることが趣旨ではなく、経営幹部として自分の経験や実績、強みなどと、どう向き合うと良いかをご説明いたします。
店舗経営ビジネスの業界では、他社でも通用する人が多ければ多いほど、自社の組織は強くなるという原則があります。そこで、自分が他社でも通用する人材になるためのポイントを次のように3つにまとめました。
①自分の強み(価値)を知る
②自分の強み(価値)を強化する
③自分の強み(価値)を応用する
①経営幹部になるまでの間に、様々な経験をして実績をあげてこられたと思いますが、それらを定期的に(出来れば毎年1回)振り返ってみましょう。
その際、経験や実績は可能な限り数値化することをおススメいたします。例えば、売上、利益などは勿論ですが、原価率の低減、担当責任店舗数、部下の人数などの推移を数値化しておきましょう。
次に、その経験や実績の中で自分が得意とするもの、他の人には負けないもの、他の人に自分の強みと言えるものなどを洗い出してみましょう。もし一つだけでは弱いのでしたら、自分はAが得意でBも得意というように二つ以上のものを掛け算しても良いですね。
兎に角まずは社内で自分が最も上手く出来、良い結果も出せるものを見つけましょう。それが自分の強みであり、価値でもあります。
②自分の強み(価値)が見えましたら、次はそれを強化していきましょう。強化するとは、その強みがいつも同じところで活かされるようにするということです。
例えば、自分の得意なものが、原価率の低減であれば、より多くの商品の原価を下げる交渉をしていきましょう。もしSV(スーパーバイザー)や店長の育成が得意なのであれば、より多くのSV・店長を輩出し、そのレベルアップを図っていきましょう。
自分の強みを活かしますと、良い結果に結び付くことが多く、良い結果が更に次の強みを活かす機会を生むという好循環になっていきます。
この好循環が続きますと、「原価低減のことなら●●に聞いてみる」「SV・店長の育成のことなら●●に聞いてみる」といった社内でのポジションが築かれていくことになり、自分の強みが社内でも認知されることになります。
③自分の強み(価値)が社内で認知されるようになりましたら、その強みを関連することに応用してみましょう。応用するとは、自分の強みが活かされる業務に広げていくということです。
例えば、原価率低減に強みがある場合、店舗全体のコスト低減に取り組んでみるのも良いでしょう。また、SV・店長の育成に強みがある場合は、中間管理職の教育体系(OJT、Off-JTの教育機会)を作ってしまうとか、場合によっては新人を含めての従業員の教育体系をつくることなども良いでしょう。
自分の強みは、他の業務に応用できることは多々ありますので、元々の強みである業務やその周辺業務にこだわらず、店舗経営の課題の中で自分の強みが活かせるところはないか、という俯瞰した視点でみることも大事ですね。
このように、自分の強みは活かそうと思えば活きる機会はたくさんあるはずです。それを活かすためにも、自分の強みを棚卸することから始めてみましょう。
【店舗経営クライアント-5】★店舗経営の改善2大要素とは・・・
店舗経営の改善には、「仕組みづくり」と「仕組みを回すヒトづくり」の両方が欠かせません。
これは車とドランバーの関係に似ています。どんなに性能の良い車であっても、ドライバーがいなければ動きません。反対に、どんなに運転の上手なドライバーがいても、車がなければ運転技術を活かすことはできません。
車が仕組み、ドライバーが仕組みを回すヒトと考えるとイメージしやすいですね。
ここでは次の店舗経営の改善2大要素についてご説明いたします。
①「仕組みづくり」
②「仕組みを回すヒトづくり」
①「仕組みが出来ていない」「仕組みが古いままアップデートされていない」という声を良くお聞きします。集客の仕組み、商品開発の仕組み、接客レベルアップの仕組みなど、店舗経営に必要な仕組みは数多くあります。
②仕組みを作った/仕組みを外注で導入したけれども、担当者がそれをうまく使い切れずに宝の持ち腐れであるという状況も良くお見かけします。
それではどうしたら良いか、実際のケースを見てみましょう。
A:SV(スーパーバイザー)/エリアマネージャー体制の構築をしたいケース
「仕組みづくり」としては、担当店舗を訪店する頻度が決める、オペレーションのチェックシートを作る、訪店の度に改善プランを作成する、店長との定期的なコミュニケーション機会(週間営業会議など)を作るなどがそれにあたります。
「仕組みを回すヒトづくり」としては、上記の仕組みをSV/エリアマネージャーが使いこなせるようにすることです。どの担当店舗についても同じ仕組みで回すことが重要なところです。
例えば、オペレーションのチェックシート(小売業:接客/VMD/オペレーション、飲食業:QSC、サービス業:接客、オペレーション、施設環境、など)を仕組みとして作成し、チェックシートに沿って訪店毎に出来ている/出来ていないを担当店舗で実施します。
この際、同じ基準でどの店もチェックすることが大事です。この店ではOKなことが、別の店舗ではNGということが起きないようにしましょう。
また、全店としても、SV/エリアマネージャー同士で基準を統一することがとても重要です。このSV/エリアマネージャーはOKなことが、別のSV/エリアマネージャーではNGということも起きないように基準の擦り合わせは欠かせません。
B:新人教育体制を整えたいケース
「仕組みづくり」としては、教える内容をマニュアルにまとめる、教える時間数、期間を決める、教える人(トレーナー)を決める、OJTの進め方をマニュアル化するなどがそれにあたります。
「仕組みを回すヒトづくり」としては、上記の仕組みを店長とトレーナーが使えるようにするということです。店長やトレーナーによって教える内容や教え方が違っていては、教える内容にバラつきが出る可能性があり、効率も悪くなってしまいます。
例えば、接客について教える場合は、おもてなしの重要性、接客用語、接客態度、みだしなみ、接客のステップなどをマニュアルに沿ってトレーナーが説明します。
トレーナーが実際にやって見せることもとても重要です。また、教えたことを理解しているか、出来るようになったかを確認することもトレーナーの重要な役割になります。
このように、店舗経営の改善には、「仕組みづくり」と「仕組みを回すヒトづくり」がポイントですが、どちらが出来ていないのか、または両方出来ていないのかを見極めながら進めることが重要ですね。
【店舗経営クライアント-6】★ノウハウを定着させる方法
店舗経営をするには様々なノウハウが必要です。その範囲は、店舗マネジメント、集客、接客、人材育成、労務管理、経費管理、物流体制など多岐にわたります。
ここでは店舗経営を安定化させるためのノウハウを定着させる方法についてご説明いたします。
ノウハウを定着させるためのポイントは次の2つです。
①ノウハウを定型化・標準化する
②PDCAサイクルをノウハウが定着するまで回し続ける
①ノウハウの定着を目指すためには、まずノウハウ自体を出来るだけ定型化・標準化することから始めます。
何故定型化・標準化する必要があるかと言いますと、ノウハウを属人化させず、誰がやっても同じ結果になるように、誰が教えても同じ内容が伝わるようにしなければ、ノウハウが広く浸透しないからです。
ではノウハウの定型化・標準化とはどのようなことかと言いますと、例えば次のようなものです。
A.店舗の売上管理を週単位で行う場合は、統一された売上数値管理表を使い、毎週月曜日に週間販売ミーティングを開き、週ごとのエリア別/店舗別の実績の振り返りをしたり、今後のプランを立てたりすることです。
B.店舗で出来る集客策を実施する場合は、自社WebやSNSへの新商品のアップ、顧客リストへのダイレクトメールなどを、それぞれ統一されたフォーマットで定期的に行い、そのフォロワー数や戻り率などを時系列で検証するといったことです。
C.接客レベルの向上を図る場合は、接客マニュアルを作成し、その中におもてなしの重要性、接客用語、接客態度、みだしなみ、接客のステップなどの基本的な習得内容を盛り込みます。そして、それを使って新人教育をはじめ、店舗全体の販売力アップのトレーニングなどを実施することです。
D.会社全体の人材育成を図る場合には、教育体系(階層別教育、スキル別教育、キャリアプラン別教育、自己投資推奨など)を作成し、各教育の習得目標を明示します。それと同時に本人のモチベーションの維持・向上のために、参加した教育の機会を振り返る個人面談を実施することも含まれます。
②ノウハウを定型化・標準化することが出来ましたら、次にはそのノウハウが定着するまでPDCAサイクルを回し続けるということが肝要です。
ノウハウの中には、すぐには定着しないものも多く出てくると思いますが、そのような時は諦めずに定着するまで続けることが大事です。定型化・標準化されたノウハウは、誰がやっても同じように出来るようになりますので、そのメリットはとても大きいものとなります。
そして、一度定着してしまえば、それが当たり前のことになり、業務がより効率的になったり、そこで浮いた時間を他のことに充てられたりするようにもなります。
このようにノウハウを定着させるまでには、時間のかかるものもありますが、継続は力なりと言われていますように、継続することによってノウハウが蓄積され、店舗経営も安定してきますので、是非進めていきたいですね。
【店舗経営クライアント-7】
2021年6月以降、ワクチン接種が進んでいくと同時に、消費者心理も少しずつ明るい方向に向かうことが予想されます。また、緊急事態宣言も6月に大方は解除され、その後東京オリンピックも開催される方向で進んでおり、マーケットもやっと活気づくための転換点に近づいているように見えます。
ここでは、ポストコロナの店舗経営として注目すべき視点をご説明いたします。
ポストコロナの店舗経営は、「3密を避ける経営」というネガティブなイメージから「3K+Sに気を配る経営」というポジティブなイメージへの転換がポイントです。
コロナの時代は「密閉」「密集」「密接」を避けることが必須と言われてきましたが、今後ポストコロナに向けては、「換気」「間隔」「間接」の3Kと「消毒」のSに気を配ることが、顧客の安心・安全へ繋がっていくと考えられます。
①換気に気を配る
今までも、ドアや窓の開放による換気は行われてきましたが、今後はそれに加えて、営業時間中の定期的な空気の入れ替え、店内の換気・除菌システムの設置、空気清浄機の設置、テラス・屋外席のご案内などが考えられます。
②間隔に気を配る
顧客同士の間隔を確保するためには、例えば飲食業では、席・テーブルの間隔を充分にあけることが必要です。小売業でも場合によっては入店人数の制限をして、混雑を避ける必要があるかもしれません。
また、顧客とスタッフの間隔をとるという意味では、接客・オペレーション上の顧客との距離を近づき過ぎないようにすることが必要になります。更に、店内の通路幅を広めにとることなども顧客の安心・安全につながります。
③間接的になるように気を配る
直接的な接触を出来るだけ避けるという意味で、直接的な飛沫の抑制をするために、接客する時にはマウスシールドを着用する、非接触型の会計システムを導入する、非接触型パネルによるオーダーテイクや商品情報提供を行う、ブッフェ/ドリンクバーなどの共有スペースでは顧客用の手袋を着用してもらうなどが考えられます。
④消毒に気を配る
今では店頭での手の消毒が当たり前になっていますが、これは今後も続けていくべきだと思われます。また、顧客・スタッフがよく触れる所は、定期的に或いは使用のたびに消毒することが必要です。例えば、ドアノブ、メニュー、商品サンプル、店内用カゴ、使用器具などです。
このように、今後は3K+Sに気を配ることが店舗経営には必要になりますが、気を配るだけでなく、3K+Sに気を配っていることを積極的に顧客に告知していくことも必要です。
これは顧客に店内で安心して過ごしていただくということに加えて、他店との差別化という意味でも、店頭をはじめ自社Web、SNSなどできちんと告知していくと良いでしょう。
【店舗経営クライアント-8】
店舗数が増えてくると同時に、各店舗の成果を効率よく出すためにエリアマネージャーの役割はとても重要だと言えます。ここではエリアマネージャー体制を構築する際に留意する点をご説明いたします。
エリアマネージャー体制構築のポイントは次の3点+注意点です。
①店舗オペレーションの標準化を図る
②意思決定の迅速化を図る
③コミュニケーションの円滑化を図る
注意点:エリアマネージャーと店長の兼務を避ける
①エリア内で使う数値帳票類、報告書・依頼書などの書類は、出来るだけ統一されたフォーマットを使用することが望まれます。そのことによって、業務自体の効率化が進み、時間の短縮が実現したり、その結果ディスカッションや意思決定のための時間配分が増えたりします。
また、店舗運営レベルの基準を統一することも標準化の一つと言えます。例えば小売業では、接客レベル、VMDレベルの基準の統一、飲食業ではQSCレベルの基準の統一、サービス業では提供サービスレベルの基準の統一などがそれにあたります。これにはエリアマネージャーが訪店した際にレベルチェックをするための統一したチェック項目表があると便利です。
②全店で行う業務の中で、店長に決裁権限のないもの、店長の上長に相談するべきものなどは、本部と店舗の間にいるエリアマネージャーに連絡することによって、意思決定が早まることが期待されます。
エリアマネージャーがいないと、全店舗⇔本部間の確認・承認になり、時間がかかりますが、エリアマネージャーが決裁権限を持つものはエリアマネージャーが判断でき、エリアマネージャーが決裁権限を持たないものだけを本部と協議すれば良いことになりますので、業務の意思決定の時間は大幅に短縮されます。
③エリアマネージャーは、担当エリアの店舗間のコミュニケーションを促進する役割があります。例えば、店の成功事例や失敗事例は、他店の参考になることが多く、積極的に情報共有することが大事です。
また、エリアマネージャーは店舗と本部の間にいるポジションですので、本部の方針や指示を的確に店舗に伝えて浸透させる役割があると同時に、店舗でのオペレーション状況や店舗で起きた問題を本部に伝えるという大事な役割もあります。
このような役割を果たすためには、毎週1回はエリア内のミーティングを行い、店舗訪問は月に2~4回が望まれます。また、本部とのミーティングも月に1~2回出来ると効果的です。
注意点:エリアマネージャー体制を構築する際に、エリアマネージャーが店長を兼務していることが散見されますが、このエリアマネージャーと店長のように縦の兼務は出来る限り避けた方が良いです。
店長が他店長を兼務するような横の兼務は、責任レベルが同じですので、比較的兼務もしやすいのですが、縦の兼務は責任レベルが違いますので、当人が兼務しにくい状態になります。
その結果、どちらの役割も中途半端になりやすいというリスクがありますので出来るだけ避けることが必要です。もし今そのような状況でしたら、早く次の店長を育てる、他店の店長が店長の兼務をしてエリアマネージャーは専任とするなどの手を打った方が良いと思われます。
このように、エリアマネージャー体制の成否が大きく会社全体の店舗経営に影響しますので、その構築には充分に気を配ることが必要です。
【店舗経営クライアント-9】★部下とのコミュニケーションに悩んだ時は
部下との良好なコミュニケーションは、仕事を進めるための必須要因と言えます。もし部下とのコミュニケーションがうまくいっていないと感じた時は、以下のチェックポイントを見直してみましょう。
<上長➡部下へのコミュニケーション>
①自分(自部署)の方針・進め方を明確に発信していますか?
リーダーとして、チームに何処にどのように進んで欲しいかを分かり易く伝えることは、チームメンバーが個々の役割に沿って動く時に必ず必要なことです。しかも、ただ伝えるだけではなく、理解してもらうことが最も大事なことと心得ましょう。
②自分は部下を信頼していると発信していますか?
部下は、単に作業をこなしている人ではありません。意味ある業務を任せているのですから、上長としては部下を信頼してこの業務を任せているということをきちんと伝えると良いですね。部下から信頼される前に、先に部下を信頼して、そのことを伝えてあげましょう。
③自分が期待している部下のゴール(マイルストーンを含めて)を示していますか?
個々の部下に到達して欲しい業務のゴールを、分かり易く示すことはとても大事です。それは最終的なゴールだけではなく、途中の各マイルストーンも示してあげると、業務が進めやすくなり、進行状況についての報連相もしやすくなりますね。
④部下の成長ポイント(修正ポイントも含めて)を伝えていますか?
部下も得手不得手がありますし、修正した方が良いことがある場合もあります。上長としては、部下の成長がチームの成長にも繋がるわけですから、部下の成長ポイントや修正ポイントは、部下にきちんと伝えて伸ばしてあげましょう。
⑤部下の声にきちんとリアクションしていますか?
部下からあがってきた声(意見、提案、疑問など)は、聞くだけではなく必ずリアクションするようにしましょう。全てを受け入れるという意味ではなく、きちんと聞いた上で自分の意見をシェアする、行動に移す、再考を促す、今実現できない理由を話す、疑問に答えるなどリアクションしていきましょう。
<部下➡上長へのコミュニケーション>
⑥部下からの声を聞く機会を意識的に作っていますか?
部下に「何でも言って」と言って、言ってくれる部下は多くはありません。上長が部下からの声を聞く機会を意識的に作ってあげましょう。それはミーティングでも良いですが、出来る限り普段の会話の中で言ってもらえるようにすることが最も重要です。
⑦部下から話しやすい雰囲気を作っていますか?
上長として「今話しかけて欲しくない」オーラを出していることはありませんか。勿論集中したい時はあると思いますが、それ以外の時は、部下から話しかけやすい雰囲気を作ることを心掛けましょう。ほとんどの場合、部下から上長へは話しかけにくいものです。
⑧部下からの意見・提案を奨励していますか?
部下からの意見や提案をしてもらうように、普段から発信しましょう。「何か良いアイデアはない?」とミーティングの時に突然言われても、なかなか良いアイデアは出てきにくいものです。むしろブレスト的に必ず何かを言ってもらうようにすることも一つの方法かもしれません。
コミュニケーションの問題の解決には、2-wayコミュニケーションの繰り返しが最も効果的ですので、これを機会に一度部下とのコミュニケーションのあり方を見直してみましょう。
【店舗経営クライアント-10】★経営TOPへプレゼンする時は
社内のプレゼンの中でも経営TOPへのプレゼンは、何度もその機会がないという意味で、準備もプレゼン当日も細心の注意が必要です。ここでは経営TOPにプレゼンする時に気を付けたいことをご説明いたします。
経営TOPへのプレゼン時のポイントは次の5点です。
①全体のストーリーを明確にする
②Howのない抽象的な言葉で終わらさない
③与えられた時間内に必ず収める
④「上手なプレゼン」より「相手に伝わるプレゼン」にする
⑤自信を持って、自信のある声で、自信のある態度でプレゼンする
①プレゼン資料をすぐにパワポなどに打ち始める前に、まずは全体の構成を考えましょう。結論は何で、その結論の根拠は何か、具体例はあるかなどを考慮した上で、全体のストーリーを組み立てていきましょう。
ストーリーとは例えば次のようなものです。昨年度の実績と反省⇒今年度の方針と実行プランの提示、現在の課題の整理⇒課題解決策の提示、予算内の集客策のアイデア⇒費用対効果で優先順位付けなどです。
また、全体のストーリーがひと目でわかるように、プレゼンの冒頭に「目次」を入れることをおススメいたします。それによって、ストーリーが出来ているかを確認したり、全体進行のタイムスケジュールを立てたりすることも出来ます。
②結論のところで、「●●●レベルを向上させます」「★★★な人材を育成していきます」「▲▲▲のコスト削減をして健全体質にします」などの方針が発表されることがよくあります。
方向性を示すという意味では決して間違ってはいませんが、これらの抽象的な表現で終わってしまっては、実際にそれらを達成するためにどのように動いていくプランなのかが分かりませんね。方針を達成するための具体的な行動プランを方針と共に示すようにすることが必要です。
例えば、「●●●レベルを向上させる」ために、「店舗スタッフには●●●研修を全員受けてもらう」「個人の●●●アップの半期ごとの目標を定めて、店長のフォロー面談を行う」などのような具体策を明記すると良いでしょう。
③経営TOPは間違いなく忙しい方々ですので、いただけるプレゼンの時間も決して長くはありません。決められた時間内でプレゼンを収めるようにしなければいけませんが、そのためには事前に必ず大まかな時間配分を決めて、何度かシミュレーションをして練習しておきましょう。時間内にプレゼンを収めるコツは、「時間配分」と「事前練習」です。
④プレゼンの技術的なコツを駆使して「上手なプレゼン」を目指すことも決して間違ってはいませんが、そのことよりは「経営TOPに伝わる」プレゼンを心掛けましょう。そのためには、「ポイントを簡潔に表現」し、「分かりやすい言葉」で、「熱意を持って」プレゼンをすることが大事です。短い時間の中で、経営TOPがプレゼン内容を判断しやすいようにまとめるように心掛けましょう。
⑤プレゼンの内容がいくら良くても、発表者が自信なさそうに発表していることにはGOサインは出ませんね。やはり発表者は自信を持って、自信のある声で、自信のある態度でプレゼンに臨みましょう。経営TOPからみて、「この人に任せておけば、必ず達成してくれるだろう」と思われるような意気込みが大切です。
このように経営TOPへのプレゼンは、その場で判断していただくことを念頭に置いてプレゼンすることを心掛けましょう。
【店舗経営クライアント-11】★他店視察は何処をどう見ると良い?
他店視察の目的は、自店の強み・弱みを知るため、他店の新商品・新サービスを見るため、マーケットのトレンドを知るためなど様々ですが、ここでは他店視察をする時のポイントをご説明いたします。
他店視察のポイントは何処をどう見るかということですが、見るべきところは次の5つです。
①商品
②接客
③VMD(小売業のみ)
④動線
⑤外観・内装・店内環境
①顧客にとっては、まずは「商品」ありきです。他のものがどんなに良くても商品が良くなければ顧客は来店してくれません。そこで他店視察の際には、まずは店の主力商品とそのウリは何かということ、価格はいくらで、その場にいる顧客の反応はどのようなものかを良く観察しましょう。
また、定番商品や旬な人気商品についても同様のことを観察してみると良いでしょう。更に、商品自体が五感の何に訴求しているかという視点も役に立ちますので覚えておきましょう。
②接客は業界を問わずとても大事な要素です。商品が気に入って購入したけれども、スタッフの接客態度や知識が今一つで、不快な思いになった経験などは誰にでも一度はあるのではないでしょうか。その反対に、接客が良くて商品と共にその店の良い印象として残るということも珍しくはありません。
従って接客で見るところは、明るく感じの良い接客をしているか、商品を分かりやすく説明しているか、顧客が声を掛けやすい態勢・雰囲気になっているかなどを観察してみましょう。
③小売店舗では、MD(商品計画)に沿った商品を、分かりやすく(探しやすく)・見やすく・手に取りやすく陳列すること(VMD)によって、店内の顧客体験はより快適なものになります。
VMDのポイントとしては、レイアウトは顧客導線(又は動線)が意識されているか、陳列棚のゴールデンゾーンに売れ筋商品や売り筋商品が展開されているか、マグネット売場に5つの基本陳列スキル(三角構成、リピーティング、シンメトリー、ボリューム陳列、段差陳列)が使われているか、品出しや前出しは追いついているかなどを見てみましょう。
④店内の動線(顧客の実際の動き方)については、顧客がより動きやすくなるように配慮することが一番のポイントです。顧客はその店舗を訪れる本来の目的(ショッピング、飲食、サービス体験享受など)を達成するために店内に入り、自分の意思で動くことが多々あります。
そのような動線のポイントとしては、通路に邪魔になるものが置いてないか、通路幅は充分に確保されているか(ベビーカーやご年配者のことも考慮されているか)、通路に段差や雨・掃除などによる濡れた箇所はないか、レジなどの順番待ちの列は動線を塞いでいないかなどを観察してみましょう。
⑤店舗のハード面は、気を付けていないとメンテナンスを忘れてしまいがちです。
ここで見るべきポイントは次のようなことです。外観は綺麗に保たれているか(例えばポスターの貼り過ぎや乱雑になったままの傘立て・店頭マットがないか、店の前のゴミなどがないかなど)、内装では什器・設備に破損個所や不具合はないか、店内環境として温度・湿度に不快感はないか、店内音楽の音量は心地良いか、空調施設や除菌用具は揃っているかなどを観察してみましょう。
このように他店視察では、自店のために役に立つ情報をたくさん得ることができます。時間を作って定期的に見に行く習慣を身に付けましょう。
【店舗経営クライアント-12】★小売業が本業でない会社が小売店を出店した時は!
メーカーや卸売の会社が販路拡大のために小売店を展開していることがありますが、小売業のノウハウが社内に蓄積されていないこともありますので、その際の見直しポイントをご説明させていただきます。
既に展開している店舗の見直しチェックポイントは次の4つです。
①MD(商品計画)の見直し
②VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)の見直し
③告知・集客策の見直し
④接客販売の見直し
①MD(商品計画)の見直し
まずは商品のターゲット顧客を再度全員で正しく認識します。どのようなターゲット顧客かが具体的に表現されているかを確認し、全員で共通の認識を持つようにしましょう。この機会にペルソナ(※)を作ってみるのも良いでしょう。
※ペルソナ:商品のターゲットとなる顧客像のことを指し、通常具体的な人物像として表現したもの。例えば、年齢、性別、職業、役職、居住地、趣味、家族構成、ライフスタイルなど、一人の人物を想像できる位まで詳細に示したもののことをいう。
商品のターゲット顧客が再確認できましたら、商品自体の強み(他社にはない特徴)も言語化してみましょう。商品の強みとは、単なる個々の商品の特徴ではなく、顧客がわざわざご来店してくださる‘商品に関する理由’は何かということです。例えば、商品の専門性を追求した深い品揃えなのか、商品を広く浅く用意した品揃えなのかなど、他社にはない商品の特徴のことを言います。
次に、商品の分類を再度整理してみましょう。分類は商品によって大分類・中分類(・小分類)に分解して、どのような商品群で顧客に訴求しているのかを把握していきます。その中で抜けている分類やアイテムが多すぎる分類などがないかをチェックすると良いでしょう。
分類ができましたら、売上実績を分類ごとに把握して、更に売れ筋商品や不振商品を確認して、必要に応じて商品の入れ替えをしていきましょう。
実績が把握できましたら、次期の販売計画を立ててみましょう。買い付け~販売~在庫処理までのフローで計画して、出来るだけ商品の在庫不足、過剰在庫が起こらないように計画していきましょう。
②VMDの見直し
MDの見直しができましたら、MDに沿ったVMDの計画をたてましょう。VMDとは、ヴィジュアルマーチャンダイジングのことで、MDを実際の売場で視覚的に展開したものです。
VMDの計画は、主に新商品の投入時期とその陳列方法や演出方法を決めたものです。効果的な陳列や演出は、売上に大きく貢献しますので、各店舗のレイアウトや什器に合わせた計画を立てていきましょう。
商品が売れていきますと、在庫が不充分になったり、品切れになったりしますので、その際の陳列方法も店舗で対応できるようにしておきましょう。
③商品告知・集客策の見直し
新商品投入時期に合わせて、どのような告知内容・手段で告知をするかを決めておきましょう。新たに投入する商品を顧客に認識していただき、ご来店して実際に見ていただけるように計画をしっかり立てておきましょう。
新商品の投入時だけではなく、店舗への集客を常に促進するための仕掛けも準備しましょう。広告やPR、プロモーション、SNS、店頭告知などを、適宜組み合わせて実施すると良いでしょう。
④接客販売の見直し
接客は基本的に、顧客とスタッフが会話をするように心がけましょう。顧客から声をかけられてから接客をするのではなく、顧客から声をかけやすい状態を作った上で、スタッフから顧客に声かけをしていきます。
接客をスムースに進めるために、接客の基本的なステップを決めておくと良いですね。即ち、動的待機~入店時の挨拶~顧客の観察~声かけ~顧客ニーズの把握&提案~クロージング~次回ご来店のきっかけづくり~お見送りといったものです。
接客時には、販売員としての基本的な所作も大事です。笑顔で接客することやお店の方針に合った言葉遣いをすること、決められた身なりになっていることなども顧客の印象に残るということをしっかり頭に入れておきましょう。
【店舗経営クライアント-13】★マニュアル作成の考え方とは!
新人に業務を教える時や新しい業務スキルを習得する時などには、マニュアルがあると便利です。ここではマニュアル作成の際の基本的な考え方をご説明いたします。
マニュアル作成の考え方としておさえておきたいのは次の4つです。
1.マニュアル作成の目的
マニュアルを作成する目的は、業務を標準化するためです。ここでいう業務の標準化とは、「いつ、誰が、同じ業務をやっても、同じやり方で同じ結果が得られるようにする」ということです。業務が標準化されることによって業務の効率化も図られます。
2.マニュアル作成のメリット
①習得時間の短縮化
マニュアルを使って業務を習得することになりますので、習得時間の短縮が図られます。教える人の口頭だけではなく、マニュアルと使うことによってメモする内容も少なくなり、教えられる人もより内容に集中することができるようになります。
また、事前にマニュアルに目を通しておくと、教えてもらう日の習得がしやすくなったり、分からないことを予め準備しておくこともできたりして、結果的に効率よく習得することができます。
教える側、教えられる側とも、事前に準備することができ、習得時間が短縮されるということは、育成コストが軽減されるというメリットもでてきます。場合によっては、教える人がいなくても、マニュアルだけで習得することができるものもありますので、その際は更に育成コストが軽減されます。
②再確認&反復練習が可能
マニュアルを使って一度だけで習得できる業務スキルばかりとは限りませんので、マニュアルがあると後からもう一度確認することもできますし、反復して練習することもできるようになります。
また、一度学んだことなので、教える人は基本的に不要となり、自分の都合の良い時間、場所で見直すことができます。
③習得レベルの安定化
同じ内容を同じマニュアルで学ぶことになりますので、教えられる人の習得レベルがある程度同じレベルのものに保たれます。このことによって、店全体の業務スキルレベルが一定以上のものに維持されることになり、より良い店舗運営の実現が図られることになります。
④教える人による違いの防止
「ヒトによって教える内容が違う」ということがありますが、マニュアルに沿って学ぶことによって、そのようなことを防ぐことができます。
人によって違うことを教えられると、最終的にはそれを修正しなければならず、店舗運営上とても非効率ですが、マニュアルを使うと効率良く習得することができます。
3.マニュアルの種類
マニュアルには次の2種類のものがありますので、覚えておきましょう。
①業務手順書
業務に関する手順書のようなもので、「この時はこうする」と手順が明確になっていて、誰がやってもほぼ同じ結果になるような業務に関するものです。
例えば、レジの操作の仕方、料理の盛り付けの仕方、商品のプライスカードのつけ方などは、マニュアル通りにやればほぼ同じ結果が得られます。
②店舗運営上の基本業務に関するもの
業務の中で基本業務と応用業務が組み合わさった業務については、その基本業務に関してマニュアルを作成することができます。例えば、売場(小売業)/ホール(飲食業)での接客、VMD(小売業)などがそれにあたります。
例えば接客の基本業務とは、接客のステップや接客態度・笑顔・身だしなみなどのことです。これらはマニュアルにしておくと誰もが同じものを習得できます。
では接客の応用業務は何かといいますと、例えば接客のステップを習得していたとしても、実際の接客は必ずしも接客のステップ通りには進みません。
顧客のニーズは十人十色ですので、接客のステップも臨機応変に対応しなければなりません。この臨機応変な接客の部分が応用業務にあたります。
この応用業務はマニュアルにするには適していません。何故ならば、臨機応変な接客部分なので、マニュアルにしようとすると限りなく増えていってしまうからです。従って、マニュアルにできるのは基本業務にとどめておく方が良いということになります
4・マニュアル作成のポイント
【店舗経営クライアント-14】★ハラスメントの基礎知識:ハラスメントとは
ハラスメントに対する法整備が進んでいることやそれに伴って企業のハラスメント対策もとられていることなどから、企業や従業員のハラスメントに対する意識が高まってきています。
ここではハラスメントに関する基本的な知識をご紹介いたします。
1.ハラスメントとは
ハラスメントの語源は英語のHarassmentで、「嫌がらせ」という意味を持っています。ここではまず初めに職場でのハラスメントの定義を見てみましょう。
ハラスメントとは、
①行為者の「意識的・無意識的」に関わらず
②被害者が「特定の人、不特定多数の人」に関わらず
③精神的、または身体的に
④他者に不快な思いをさせたり、苦痛や不利益を与えたりする
ことを指します。
ここで重要なポイントは、行為者が意図していようといまいと、受け手の人が不快になったり、苦痛や不利益を受けたりした場合には、ハラスメントになる可能性があるということです。
2.ハラスメントの種類
ハラスメントにはどのような種類があるのでしょうか。様々なハラスメントがあり、その数は30種類以上あると言われていますが、ここでは代表的なものを取り上げてみます。
①パワーハラスメント
優位性のある立場を利用して嫌がらせをすること
②セクシュアルハラスメント
性的な言動によって嫌がらせをすること
③マタニティハラスメント
妊娠・出産・育児に関する嫌がらせをすること
④モラルハラスメント
倫理・道徳に反した精神的な嫌がらせをすること
⑤ジェンダーハラスメント
性別を理由とした固定観念などによる嫌がらせをすること
⑥ソーシャルハラスメント
SNSに職場の人間関係を持ち込み嫌がらせをすること
⑦アルコールハラスメント
飲酒に関連した嫌がらせをすること
⑧スメルハラスメント
臭いで周囲に不快感を与えること
3.ハラスメントが近年注目されてきた背景
①法的な整備の広がり
2007年4月に改正均等法によりセクハラ防止対策の義務化が制定され、2020年6月にはパワハラ防止法によりパワハラ防止対策が義務化されました。
②従業員の意識の高まり
法的な整備が進み、企業のハラスメント防止対策も強化されるようになり、それに伴って従業員の意識が益々高まっています。また、働き方の多様性の広まりが、職場環境のあり方などの考え方にも影響を及ぼしています。
③事例の容易な表面化
インターネットを介して、ハラスメントの情報が容易に拡散されうるという状況になり、ハラスメントの事例に触れやすくなっています。
4.ハラスメントによる企業リスク
ハラスメント事案が起こることによって、企業にもたらされるリスクは次のようなものです。
①ハラスメントの被害者だけではなく、それを見聞きする周囲の従業員のモチベーションも下がり、職場の雰囲気が悪くなり職場環境が悪化します。
②職場環境の悪化に伴い、従業員の生産性が低下し、業績に悪影響を与えます。
③職場環境の悪化により人的な流出が起きるだけではなく、そのような職場(または会社)で働きたいという人が減るという採用難の問題も起きます。
④ハラスメントにより労働災害認定されることもあり、その事実は広く公になる可能性があります。また、被害者に損害賠償請求される可能性もあり、企業に大きなダメージを与えることにもなります。
⑤ハラスメントの事実が公になることによって、企業のイメージが著しく低下し、ブランド価値や企業業績に大きな損失を与えることになります。
【店舗経営クライアント-15】★ハラスメントの基礎知識:3大ハラスメントを知る
ハラスメントに対する法整備が進んでいることやそれに伴って企業のハラスメント対策もとられていることなどから、企業や従業員のハラスメントに対する意識が高まってきています。
ここでは3大ハラスメントと言われているもの(パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント)の基本的な知識をご紹介いたします。
1.パワーハラスメント
パワーハラスメントの定義は次のとおりです。
①優越的な関係を背景とした職場での言動が
②業務上、必要な範囲を超えたもので
③精神的、または身体的に
④他者を不快にしたり、他者に苦痛や不利益を与えたりすること
をパワーハラスメントと呼んでいます。
パワーハラスメントには次の6つの代表的なパターンがあります。
※出所:あかるい職場応援団/厚生労働省
①身体的な攻撃
殴打、足蹴りを行う。相手に物を投げつける。
②精神的な攻撃
人格を否定するような言動を行う。必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行う。他の労働者の前で、大声で威圧的な叱責を繰り返し行う。
③人間関係からの切り離し
特定の労働者を仕事から外し、長時間別室に隔離する。1人の労働者に対し、同僚が集団で無視をし、職場で孤立させる。
④過大な要求
新入社員に必要な教育を行わないまま、到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し、厳しく叱責する。業務とは関係のない私用な雑用の処理を強制的に行わせる。
⑤過小な要求
管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせる。気に入らない労働者に対する嫌がらせのために仕事を与えない。
⑥個の侵害
労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりする。労働者の機微な個人情報について、本人の了解を得ずに他の労働者に暴露する。
2.セクシュアルハラスメント
セクシュアルハラスメントの定義は次のとおりです。
①職場での性的な言動が
②他者を不快にしたり、他者に不利益を与えたりすること
をセクシュアルハラスメントと呼んでいます。
※男性・女性に関わらず、セクシュアルハラスメントの行為者・被害者になり得る
※異性に対するものだけではなく、同性に対するものもセクシュアルハラスメントになり得る
セクシュアルハラスメントには次の2つのパターンがあります。
※出所:あかるい職場応援団/厚生労働省
①対価型セクシュアルハラスメント
経営者から性的な関係を要求されたが、拒否したら、解雇された。
②環境型セクシュアルハラスメント
事務所内で上司が腰や胸などを度々触るので、また触られるかもしれないと思うと仕事が手に付かず就業意欲が低下している。
3.マタニティハラスメント
マタニティハラスメントの定義は次のとおりです。
①妊娠・出産・育児などをきっかけに
②産休・育休・時短勤務などの制度利用について、または妊娠・出産・育児による体調不良・業務への影響などについて
③不快な言動をとること
をマタニティハラスメントと呼んでいます。
マタニティハラスメントには次の2つのパターンがあります。
※出所:あかるい職場応援団/厚生労働省
①制度等の利用への嫌がらせ型
出産・育児・介護に関連する制度利用を阻害する嫌がらせです。
②状態への嫌がらせ型
出産・育児による就労環境を害する、嫌がらせです。
【店舗経営クライアント-16】★ハラスメントの基礎知識:ハラスメントが起きない職場づくり
ハラスメントに対する法整備が進んでいることやそれに伴って企業のハラスメント対策もとられていることなどから、企業や従業員のハラスメントに対する意識が高まってきています。
ここではハラスメントが起きない職場づくりについてご説明いたします。
1.ハラスメントが起こる職場の特徴とは
厚生労働省が令和2年度に実施した『職場のハラスメントに関する実態調査』によりますと、
【ハラスメントに関する職場の特徴】として、パワーハラスメントとセクシュアルハラスメントについて次のように発表されています。
調査は様々な職場の特徴について、ハラスメントを受けた経験のある人と経験のない人の割合を示したものです。(下表参照)
※出所:令和2年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書
ここではハラスメントが起こる職場の特徴として、ハラスメントを受けた経験がある人と経験がない人の割合の差が大きい特徴をピックアップして見てみましょう。
パワーハラスメントとセクシュアルハラスメントのそれぞれの結果は以下のとおりです。
※「ハラスメント経験者の割合」-「ハラスメント未経験者の割合」で算出、差が大きい順にTOP5を抽出
<パワーハラスメント>
1位:上司と部下のコミュニケーションが少ない/ない
2位:残業が多い/休暇を取りづらい
3位:ハラスメント防止規定が制定されていない
3位:失敗が許されない/失敗への許容度が低い
5位:業績が低下している/低調である
<セクシュアルハラスメント>
1位:ハラスメント防止規定が制定されていない
2位:上司と部下のコミュニケーションが少ない/ない
3位:従業員間に冗談、おどかし、からかいが日常的に見られる
4位:失敗が許されない/失敗への許容度が低い
5位:残業が多い/休暇を取りづらい
まず第一に、自分の職場の特徴として同じようなことがないかを振り返ってみましょう。同じ特徴があるとしても、必ずしもハラスメントがあるとは言えませんが、ハラスメントが起きる可能性があるかもしれないと認識しましょう。
更に特筆するべきことは、2つのハラスメントの結果として、上位5つの職場の特徴のうち、4つが同じ特徴だということです。これは4つの特徴が見られる職場では、パワーハラスメントもセクシュアルハラスメントも起こる可能性があるということです。
また、セクシュアルハラスメントの「日常的に冗談やからかいがある職場」については、職場自体は明るい雰囲気の職場であることもありますが、そこで交わされる会話の一部が、行為者も気づかないうちにセクシュアルハラスメントになっている可能性がありますので注意が必要です。
2.ハラスメントが起きない職場づくり
ハラスメントが起きない職場にするためには、普段からメンバー全員で気を配る必要があります。そこでのポイントは、良好なコミュニケーション環境を作り、誰もが気持ちよく話ができる風通しの良い職場にすることです。
そのためには次のようなことを心がけましょう。
①相手の言動を良く観察し、自分から声をかける
観察するとは、見張るという意味ではなく、一緒に働いている人の言動に関心を持つということです。どのようなことにどう感じているのかというアンテナを立てておくと良いでしょう。
そして自分から声をかけるとは、日常的な会話の声かけを普段からするのは勿論のこと、相手の言動に対して認めたり称賛したり、素直に感謝したりすることを自分から進んで伝えるということです。
②普段の会話の積み重ねが大事と心得る
コミュニケーションを良くするための第一歩は、ミーティングを持つというよりは、普段の小さな会話が毎日続けられるようにすることです。
ミーティングも会話するきっかけにはなりますが、毎日ミーティングをすることも難しいですし、改まった感じになってしまいますので、出来るだけ普段からお互いに声をかけ合うように(最初は自分から)すると良いでしょう。
③世代ごとの価値観は異なることを理解する
時代の背景や考え方は時とともに変わりますので、世代ごとに価値観は異なります。それに伴って働き方も益々多様性が広まってきています。仕事とプライベートの時間の使い方やキャリア設計の仕方なども世代間での違いがありますので、それらを理解しながら一緒に働くことが必要です。
④日々の仕事は作業ではないことをいつも伝える
各自の仕事は忙しくなればなるほど、単なる作業と化してしまうリスクがあります。これではなかなかやりがいや楽しさを仕事に感じることは難しく、ギスギスした職場にもなりやすくなってしまいます。
仕事が作業化しないようにするためには、会社のビジョンや経営理念などに関連づけて、何のために仕事をしているかという会話が普段からされるようにすると良いでしょう。
【店舗経営クライアント-17】★CS・ES向上の取り組み方
近年、企業業績を向上させるためにCS(顧客満足度)と共にES(従業員満足度)が注目されてきています。ここでは注目される背景、CSとESの関係性、CSとESの取り組み方についてご説明いたします。
①CS、ESとは
CSとは、「Customer Satisfaction」の略で、顧客満足度と訳されています。その意味は、顧客が商品やサービスを購入した時の顧客の満足度のことを指します。広義には、商品やサービスを購入した後でも、その商品やサービスの評判が上がった(下がった)ことによる満足感(不満足感)やメディア広告などに触れることによって感じる満足感なども含まれます。
ESとは、「Employee Satisfaction」の略で、従業員満足度と訳されています。その意味は、仕事の内容や職場環境、待遇、福利厚生、仕事のやりがいなどに対する従業員の満足度のことを指します。広義には、会社への帰属満足感や会社のビジョンなどへの共感・満足感なども含まれます。
②ESが近年注目されてきた背景は
CSは企業活動をする上で、忘れてはいけない指標の一つですが、近年ではそれに関連してESが再び注目されるようになりました。その背景には次のようなことがあります。
1)働くことの意味や目的が時代と共に変化しており、ワークライフバランスを重要視するようになったことです。そのため、長時間労働や休日勤務などによって適切な生活リズムが保てない職場は敬遠されるようになり、働きやすい職場で働きたいという意識が強くなりました。
2)人材の新規採用と従業員の定着が難しくなってきています。それには少子化による人員数の減少と雇用の流動化ということが大きく関係していると言われています。
これにより、従業員にとって魅力ある職場に改善したり、維持したりする必要が出てきています。
3)益々複雑性を増すマーケットの中で、今までにはない経営環境の中で仕事をすることになり、正解の見えにくい時代へと突入したと言えます。
それに伴って、従業員の中でも、世代間の考え方の相違、5年前と今の考え方の相違などが表面化し、従業員の価値観が多様化していると言えます。これにより、個々の従業員の満足度への影響要因も様々なものがあるという状態になりました。
③CSとESの関係性
一般的には、企業業績を向上させるためには、顧客満足度を向上させることが必要で、顧客満足度を向上させるためには従業員満足度を向上させることが大事ですと言われています。
即ち、従業員満足度の向上➡顧客満足度の向上➡企業業績の向上となり、企業業績が向上すると従業員満足度が更に向上するというサイクルで説明されることが多くあります。
このサイクル自体は正しいのですが、考え方には少し注意が必要だということを次で見ていきましょう。
④正解の見えにくい時代のCS、ESの取り組み方とは
前項で、従業員満足度の向上➡顧客満足度の向上➡企業業績の向上➡従業員満足度の向上というサイクルを見てきましたが、従業員満足度を向上させても、必ずしも顧客満足度が上がるとは限らないということに注意が必要です。
これはこのサイクルのどこを最初に考えるかというポイントを押させておく必要があります。それは顧客満足度の向上です。
もし従業員満足度の向上を最初に考えてしまいますと、例えば給料を上げたり、本人がやりがいを感じている仕事をしてもらうなどを優先してしまいますと、従業員本人の満足度だけが上がってしまい、必ずしも顧客満足度の向上には結びつかないことも多く出てしまいます。
企業の活動はそもそも顧客の満足を創造したり、維持したり、発展させたりすることが目的ですので、ここが企業活動の原点と考えると良いでしょう。
では従業員満足度の位置づけはどうするのかと言いますと、顧客満足度を向上させる様々な活動やそれに伴う業務を進める中で、従業員満足度を下げない、維持する、向上させるという配慮をすることが必要だということです。
【店舗経営クライアント-18】★初めて店舗責任者になった時は(その1)
店舗責任者になりますと、店舗経営全般のマネジメントをしなければなりません。ここでは初めて店舗責任者になった人が習得しておくと良いポイントをご説明いたします。
①マネジメントとは
マネジメントとは、経営資源と呼ばれているヒト・モノ・カネ・情報を使って、組織または人が期待される成果を出すためにする活動のことと定義することができます。
経営資源には、他に時間やブランドを含める場合もありますが、上記の基本的な4つをまずはおさえておくと良いでしょう。
●ヒト:店舗スタッフのことを指しますが、より良い成果を出すためには、良い人材を採用し、育成し、適切に配置・役割分担するということが必要です。また、本部のヒトとも協力して業務を進めることも大事なマネジメント業務の一つと言えます。
●モノ:もっとも大事なモノは、顧客に提供する商品や料理(サービス業においてはサービス)のことを指しますが、店舗自体や什器、設備なども含まれます。
●カネ:商品や食材などの購入、給与・賞与の支払いなどに必要な資金のことを指します。また、商品や食材などの在庫はモノでもありますが、それがやがておカネに変わることから、在庫はカネと同じという言い方をする時もあります。
●情報:店舗経営に必要な無形財産のことを指します。例えば、売上データや顧客情報、独自の接客や陳列、サービスのノウハウなどがそれにあたります。また、公開されている競合やマーケットの情報なども含まれます。
②マネジメントに必要な基本的な考え方
1)「仕組み」と「仕組みを動かすヒト」を両方考える
「仕組み」とはノウハウや制度などを指し、「仕組みを動かすヒト」とはノウハウや制度を作ったり、使ったりするヒトのことを指します。
例えば、マニュアル自体は「仕組み」で、それを使うスタッフが「仕組みを動かすヒト」ということです。マニュアルだけあっても使わなければ宝の持ち腐れですし、マニュアルがないのにノウハウを持っているヒト(スタッフ)が現場を回している状態は、仕事がヒトについていることになり、そのヒトが異動、退職してしまうと現場が回らなくなってしまいます。
従って、「仕組み」と「仕組みを動かすヒト」は両方必要だということになります。
2)PDCAを回す
これはPlan(計画)~Do(実行)~Check(評価)~Action(改善)の略で、Aの後には次のPに繋げていくので、『PDCAサイクルを回し続けていく』と言われています。
例えば店舗経営では週単位のPDCAを回していくことがよくあります。月の第1週の売上を取るための営業計画を第1週の初めの日にたてて、それを実行しながら評価・修正し、第2週の初めの日には前週の振り返りをしながら第2週の計画を立てるといったものです。
3)「数値資料」と「現場の声・動き」を管理する
店舗にはPOSレジなどで打ち込まれた売上資料などがあり、売れ筋商品や不振商品などを把握しますが、それらの数値資料には出てこない情報があることを認識しておきましょう。
例えば、売れ筋商品が売れる理由、不振商品の売れない理由は営業資料からは分かりませんので、現場のスタッフや顧客の声、顧客の動線情報などを積極的に収集・確認することが大切です。
【店舗経営クライアント-19】★初めて店舗責任者になった時は(その2)
店舗責任者になりますと、店舗経営全般のマネジメントをしなければなりません。ここでは初めて店舗責任者になった人が習得しておくと良いポイントをご説明いたします。
③店舗責任者に必要な3つの能力
1)リーダーシップ
リーダーシップとは、チームの目指すべき目標を決めて、その目標達成のためにチームを動かし、目標を達成させることを指します。最終的な結果に責任を持つということもリーダーシップには含まれます。
また、先頭に立ってチームメンバーを引っ張るだけではなく、良き相談役になったり、進捗の遅れがないようにチームの後押しをしたりすることもあり、チームの先頭、伴走役、後押し役など、様々なリーダーシップの発揮場所があると考えておきましょう。
2)チームワーク
チームワークとは、チームの共通の目標に向かって、全スタッフが力を合わせていることを指します。役割分担をしながら進めたり、一部のチームメンバーの重い負荷を軽減するように協力したり、チームとして目標を達成することが大切です。
但し、チームメンバーの仲が良いこととチームワークを混同しないようにしましょう。仲が良いこと自体は決して悪いことではありませんが、仲の良さはあくまでも個人の相性の話しですので、そこにはチームの目標を達成するという目的がありません。
3)コミュニケーション
リーダーシップを発揮し、チームワークの良いチームを作るためには、良好なコミュニケーションが必要です。コミュニケーションは、基本的には2Wayコミュニケーションを心がけましょう。
2Wayコミュニケーションとは、一方から他方へ指示・伝達するだけではなく、相手からも自分へコミュニケーションされるようにするということです。
また、コミュニケーションをする時には、お互いに相手が理解しやすいように話すということが原則です。キャッチボールをイメージしてみてください。キャッチボールでは、相手の取りやすいところにボールを投げ合いますよね。コミュニケーションもこれと同じです。
④店舗責任者の2つの役割
店舗責任者には、マネージャーという役割とリーダーという役割があります。これはどちらかだけの役割をすればよいのではなく、一人の店舗責任者はこの2つの役割が期待されていると認識しましょう。※下図参照
1)マネージャーの役割
既存の仕組みを標準化してムリ・ムダ・ムラをなくしたり、既存のものを改善したりすることが求められます。
比較的短期的な視点に立ち、目標を設定して、その目標達成のためのPDCAを回していくことも重要な役割です。
リスクに対しては、出来るだけ回避したり、軽減したりする手段を探し、必要に応じてリスク回避のためのルール化や仕組みの標準化などを行います。
2)リーダーの役割
既存のものを使うというよりかは、新しい仕組みを創り上げて、仕事自体を大きく変えていく、仕組みを改革していくということも求められます。
比較的中長期的な視点に立って、未来のあるべき姿・ビジョンなどを作ることも、組織やチームメンバーにとって大きな方向性を見せられるので大事な役割と言えます。
リスクに対しては、中長期的なビジョン達成のために、多少のリスクを覚悟の上で物事を進めるということも時には必要になります。
【店舗経営クライアント-20】★初めて店舗責任者になった時は(その3)
店舗責任者になりますと、店舗経営全般のマネジメントをしなければなりません。ここでは初めて店舗責任者になった人が習得しておくと良いポイントをご説明いたします。
⑤店舗スタッフとのコミュニケーションの取り方
1)スタッフに関心を持とう
スタッフの行動や発言内容、言い方、顔色(体調)、仕事の進み具合、何か困ったことはないかなどに関心を持ちましょう。たとえスタッフに特に変わった様子がなくても、店舗責任者から声をかけてあげることも大事です。
「今日も元気いっぱいですね」などの何気ない声掛けから、「お願いしている件は順調に進んでいますか」などの困りごとに対する気遣いまで、ちょっとしたきっかけが会話しやすい雰囲気を作り出してくれます。
2)報連相をお互いにしよう
報告・連絡・相談は、店舗責任者とスタッフの間でお互いにするものです。店舗責任者としては、店舗の中の報連相が、自然に頻繁に行われるようにするという責任があります。
そのためには、まずは店舗責任者から「●●は~~になりました」「●●はどうしたら良いと思いますか」など、自ら進んでスタッフに報連相を投げかけると良いでしょう。
3)「認める・褒める・感謝する」の3点セットを常に心がけよう
業務が忙しいと、普段の会話が業務上のやり取りだけになりがちです。そのような時でも、スタッフの仕事の進め方、協力の仕方、仕事の結果などに対しては、店舗責任者として認めてあげる、褒めてあげる、感謝することはとても大切なことです。
それらは大袈裟にする必要はなく、その都度「●●さんの言うとおりですよね」「そのアイデアいいですね」「●●さんがフォローしてくれて助かりました。ありがとう」などと伝えてあげるだけでもチームの雰囲気は良くなります。
4)「指示・アドバイス・注意」はタイムリーに、具体的にしよう
スタッフへの指示やアドバイスは、必要な時に(タイムリーに)、スタッフがどのように動けばよいかを具体的にするようにしましょう。期限のあるものについては、いつまでにやって欲しいかも同時に伝えるようにします。
スタッフがもしルールを守っていなかったり、お客様に迷惑がかかるようなことをしていたりする場合には、すぐにその場で注意するようにしましょう。
スタッフもよく理解していないで行動したり言ってしまったりすることも多くありますので、叱るのではなく、してはいけない理由をきちんと説明しながら、同じことが繰り返し起こらないように注意するというスタンスが大事です。
5)自分から声をかけよう
コミュニケーションは、2-wayが基本です。自分から相手にコミュニケーションをすると相手も返してくれる、相手が先に自分にコミュニケーションをとってくれたら自分からも相手に返すという2-wayがとても大切です。
この時に、店舗責任者としてはスタッフから先に声をかけてくれることを待つのではなく、自分から先にコミュニケーションを始めるということを心がけましょう。
例えば「スタッフが自分に挨拶をしてこない」と思ったら、それは自分が挨拶していなかったり、きちんと挨拶を返していなかったりすることが原因であることが多いです。スタッフから自然に挨拶をされる職場にしたいのでしたら、自分から先に挨拶をするようにしましょう。
【店舗経営クライアント-21】★初めて店舗責任者になった時は(その4)
店舗責任者になりますと、店舗経営全般のマネジメントをしなければなりません。ここでは初めて店舗責任者になった人が習得しておくと良いポイントをご説明いたします。
⑥自店の強みを明確にする
1)自店の強みとは、他店(他社)にはない顧客への訴求ポイントのことです。言い換えますと、顧客がわざわざ自店にご来店される理由ということもできます。
今ではマーケットの中に、様々な商品やサービスがあり、リアル店舗だけではなく、ネット経由でも同様の商品やサービスを受け取ることができるようになっています。顧客はその中から商品やサービスを選び、店を選びご来店されることになります。
従って、顧客に自店を選んでいただき、店内の様々な体験も含めて最終的にご購入いただくためには、その店にしかないもの、その店だからこそ体験できるもの、その店だからこそ味わえるワクワク感などが必要で、それを店の強みとして訴求していくことが大切です。
2)店の強みを作る時に注意するべきことが1つあります。それは、その強みが顧客の求めているものであることです。当たり前のような話しですが、顧客が求めていないような商品やサービスを見かけることはよくあります。
例えば、ある商品やサービスがその店限定で提供されている場合、「限定商品」として訴求すること自体は一般的に訴求力があり良いのですが、その商品やサービス自体にそもそも魅力がなかったり、顧客が欲しいと思っているものではなかったりする時などは、いくらその店の「限定商品」にしても顧客への訴求力がないことになります。
また、質にこだわって必要以上の「高品質」な商品にしたり、品揃えの幅にこだわって必要以上の「多品種」にしたりすることなども、それが本当に顧客の求めていることなのかを考えることが重要です。
3)自店の強みを作ったり維持したりする時には、その強みがいつまでも続くことを前提とせず、常に強みの度合いの評価をするようにしましょう。これは強みというものは相対的なもので、他店との比較の中で初めて認識されるということです。
例えば、自店で強みと思っていることが、半径500メートル以内に同様の商品やサービスを提供している店が3~4店舗あるような場合は、その強みと思っていることは、実は他の3~4店舗でも提供しているので、顧客からみれば自店を選んでいただく理由にはなっていないということです。
また、今は他店に同様のものがなくても、半年後には競合店がオープンしていたり、既存の競合店が同様のものを取り扱い始めたりすることも充分あり得ますので、常にマーケットの動向は注視しておく必要があります。
⑦顧客視点で顧客満足につなげる
店舗ビジネスの最も基本的なこととして、「顧客視点を持つ」ことがとても大事であるということがあります。
よく私達は「売り場」「ホール」などと言いますが、それは「売り手」側の呼び方ですね。顧客すなわち「買い手」からみればそれらは「買い場」「(テーブル)席」などということができます。
ここでは呼び方を変えるということを言いたいのではなく、顧客の視点にたってものごとを見ることが大事だということです。店内の通路は顧客が通りやすい幅が確保されているか、メニューの構成や商品陳列は顧客にとって分かりやすくなっているか、接客は感じの良い接客になっているか、食事の提供時間やレジ待ちの時間はお待たせしすぎていないかなど、顧客の立場にたって考えてみることが大事です。
これらの顧客視点で考えたり見たりすることで、初めて顧客満足の向上につながっていくということを認識しましょう。
【店舗経営クライアント-22】★店舗(現場)で使えるフレームワーク
店舗は常に様々な問題と向き合っています。ここではそれらを解決してより良い結果に結びつけていくために、知っておくと便利なフレームワークについてご説明いたします。
①「仕組み」と「ヒト」
店舗運営の現状を把握する時や新しい取り組みを始める時に、「仕組み」があるか、「ヒト」がいるかということを確認してみましょう。
「仕組み」とは、ノウハウや制度、管理ツールなどのことを指します。例えば、マニュアルや研修制度、売上管理表などがそれにあたります。
「ヒト」とは、仕組みを作ったり、使ったり、改善したりするヒトのことを指します。
ここで大事なポイントは、「仕組み」と「ヒト」は両方必要だということです。
何故ならば、例えばマニュアルだけあってもそれを使うヒトがいなければ、宝の持ち腐れになりますし、反対にマニュアルがなくてヒトの力だけで現場が回っているという状態は、ノウハウがヒトに付いてしまっていて、そのヒトがいないと現場が回らなくなってしまうといったことが起きるからです。
②業界別の基本フレーム
業界ごとに営業の基本フレームがありますので、方針を決めたり、具体的な行動計画を立てたりする時に使うようにしましょう。
小売業:「商品」「接客」「VMD」「販促・オペレーション」
飲食業:「Quality」「Service」「Cleanliness」「販促・オペレーション」
サービス業:「提供サービス」「接客」「店内環境」「販促・オペレーション」
提供しているもの(商品、Quality、提供サービス)は、顧客にとって魅力があるものか、他店にはないものかなどを確認します。
接客は、目指す形のものになっているか(カジュアルな接客~上質なきちんとした接客)、顧客に気配りができているかなどを確認します。
販促・オペレーションは、集客の施策は用意されているか、顧客動線や店内オペレーションのスムースさは確保されているかなどを確認します。
VMDは、見やすい・探しやすい、手に取りやすい陳列になっているかなどを確認します。
Cleanlinessは、店内や顧客用の食器類などが清潔に保たれているかなどを確認します。
店内環境は、提供サービスに合った設備や雰囲気になっているかなどを確認します。
③大➡小(MECE)
現状の把握や計画の立案では、まずは大きく見てから細かな部分を見るようにします。別の言い方をしますと、まずは全体を見てから個々の部分を見るということになります。
全体を見るために便利な考え方の一つに、MECEというフレームワークがあります。Mutually Exclusive, Collectively Exhaustiveの頭文字をとったもので、ミッシー(ミーシー)と読みます。意味としては「モレなく、ダブリなく」ということです。
例えば、前月の売上不振の原因を分析する時に、小売業の基本フレームごとに、「商品」力はどうだったか?「接客」の質が落ちていなかったか?「VMD」は見やすかったか?「販促・オペレーション」の事前告知は効果的だったか?などの全体像をまずは検証するということです。
その後に、もし事前告知が充分でなかったということが分かりましたら、告知体制の見直しをしていく(個々の課題)というように大➡小へ深堀りしていくことが有効です。
④強み評価軸
店舗の強みを明確にするために、評価軸を複数用意して自店のポジションを確認しましょう。その際、自店の強みを考えるために、競合店の強みも同時に同じ評価軸で確認します。
例えば飲食店の評価軸では、
料理については、食材へのこだわり重視料理~小さなお子様のいるファミリー向け料理
接客については、顧客との会話重視の接客~デジタルオーダー・デジタル配膳&バッシング重視の接客
販促については、クチコミ重視の個客集客~マス広告重視の集客
などで、自店の強みを明確にしていくといったことです。
⑤20-50-80の法則
新しいことの導入や意識改革などの浸透は、初めに導入自体に前向きなヒトや得意なヒト(全体の20%)に実践してもらい、徐々にその数を増やしていくと、全体の50%位が導入できたり意識が変わってきたりすると、その先の浸透度は加速度的に広がるというものです。
更に、浸透度が80%に達すると、新しいことを実践することの方が当たり前になっており、ここまで浸透すると特に手間を大きくかけることなく、その後は浸透していく状態になります。
例えば、店の接客レベルがあまり良くない時、最初に接客の得意なヒト(20%)にやって欲しい見本を意識的に実践してもらいます。次に接客のレベルを上げやすいヒトを徐々に巻き込んで50%まで浸透させます。
ここまで接客のレベルが上がってきますと、店全体の接客が変わってきていることが認識されるようになり、変えることへの抵抗感がかなり減ってきます。できるヒトが増えれば増えるほど、自分も実践しなければというヒトが加速度的に増えて、結果的に80%以上のヒトが質の良い接客ができるようになるというものです。
【店舗経営クライアント-23】★キャリアづくりの視点とは
キャリアづくりは本人にとっても会社にとっても、とても重要なマネジメント要素です。あえてマネジメントと言っているのは、キャリアというものが、なんとなく出来上がるものではなく、意識的に積み上げていくという考え方の方が、より充実したものになるからです。
ここではキャリアづくりのポイントをご説明いたします。
①キャリアづくりの2軸×2軸
キャリアづくりといいますと、本人が作っていくというイメージが強いですが、従業員の納得感のあるキャリアづくりをしていくという意味では、本人と会社の両方が各個人のキャリアづくりに関わっていくと考えましょう。これが一つ目の2軸になります。
本人のキャリアづくりには、本人がやりたい仕事、まずは知ってみたいこと、やってみたいことなどを明確にして、会社とその情報を共有しながら一つずつ実績を積み上げていくということです。
ここで、仕事は必ずしも本人の希望に沿ったものになるとは限らないという現実もありますが、役に立たない経験などはありませんので、たとえ希望に沿った仕事でない場合でも、その中で実績を積むことを考えると良いでしょう。
会社が従業員のキャリアづくりに関わるためには、会社としてのキャリアづくりの視点を言語化、可視化することが必要です。どのような人物像になって欲しいのか、どのような経験を積んで欲しいのかなどを明確にすると良いでしょう。
この際、従業員は必ずしも上位の職位になることを望んでいるとは限りませんので、例えば、専門的な知識やスキルが必要な仕事に従事したい人、組織を横断的に風通しを良くすることが得意な人のキャリアづくりなども考慮すると良いでしょう。
もう一つの2軸は、キャリアを考える機会とキャリアを作る機会を適宜用意するということです。キャリアを考える機会とは、定期的に自分の(従業員の)キャリアの振り返りと今後のキャリアを計画する機会を意識的に作るということです。
毎日の仕事の忙しさに追われてキャリアづくりのことを考える暇がないということはよく耳にすることですが、本人も会社も定期的にその機会を作ることが大切です。
キャリアを作る機会とは、今の仕事の中で、或いはそれに関連した仕事の中で、キャリアを積み上げていき実績を残していくということです。それはうまくいったことだけではなく、うまくいかなかったことも含めて実績と考えると良いでしょう。
うまくいかなかったことはネガティブなイメージがありますが、それは将来必ず活きることですので、あまりネガティブに捉えないようにすると良いでしょう。
②キャリアづくりに必要な3要素
キャリアづくりには、次の3要素が全て必要になります。どれか一つだけあれば良いのではなく、3つとも揃って初めてキャリアづくりに貢献できるというように理解しておきましょう。
1)知識
「知っていること」と「できること」は違うとよく言われますが、この知っていることが知識の部分です。知らないとそもそもできませんので、仕事の知識は積極的に習得するようにします。
本人も自分から色々な知識を習得することが必要ですが、会社としても各個人が習得すると良い知識を直接教えたり、知識の習得の仕方を教えたりすることも重要な役割となります。
2)スキル
「知っていること」「できること」のできることがスキルの部分です。言い換えますと、●●することができるというものがスキルになります。
例えば接客では、接客のステップや接客用語、接客に必要な気配りなどはどのようなものかというのは「知識」ですが、それらを実際の接客の中で顧客に対して実践できることが「スキル」ということになります。
料理でいいますと自分でその料理を作ることができること、VMDで言いますと自分で訴求力のある商品陳列ができることなどがそれにあたります。
3)経験
「知っていること」を「できること」にするために、経験の積み重ねが必要になります。経験を積み重ねていくたびに、できないことができるようになり、更に経験を重ねるとより上手にできるようになったり、人に教えることができるようになったりします。
ここでも個人としては、自分の仕事の中での経験を積極的に積んでいくことが大事ですし、会社としては、従業員に経験して欲しいことを意識的に提供するということがとても大切です。
【店舗経営クライアント-24】★仕事の仕方のマンネリ化を防ぐ方法とは
仕事に慣れてくれば慣れてくるほど、得られる成果もある程度予想できるようになり、仕事の仕方がマンネリ化してくることがよくあります。
成果が予想できることは良いことなのですが、同じ仕事の仕方の繰り返しになりますと、モチベーションもなかなか上がりません。
ここでは、仕事の仕方のマンネリ化を防ぐ方法をご説明いたします。
①出来ない理由を考えるより、どうしたら出来るかを考える
仕事の進まない理由や出来ない理由は様々あります。乗り越えなければいけない壁があったり、多くの手間・経費をかけなければならなかったりして進まないこともあるでしょう。
但し、その中でも重要な仕事は進める必要がありますので、進めるためにはどうしたら進めることができるかを考えましょう。例えば、出来ることから少しずつ始めてみる、進めることの賛同者を増やしていく、他の経費から必要な経費を捻出して当該業務に充てるなど、今までとは違う方法を検討してみましょう。
②競合他社の成功事例を、どのように自社用に変換して取り入れるかを考える
競合他社の成功事例は、自社にとっても有益な情報です。競合他社は同じ業界で経営されていますので、自社と同じような状況の中で成功したことになります。従って、自社でも同様に成功する確率が高く、新しいやり方を取り入れてマンネリ化を防ぐ良い機会になります。
ただし、全てが同じ経営体質ではありませんので、他社の成功事例も自社でワークするように、上手に変換する必要があります。言い換えますと、他社とまったく同じことをやろうとしても大抵はワークしないので、自社のカルチャーやノウハウの蓄積状況、推進する人材のスキルのレベルなどにより、自社に合わせたやり方を編み出す必要がありますので注意しましょう。
③「仕組み」と「ヒト」を変えてみる
店舗経営は、「仕組み」とそれを回す「ヒト」の両輪によって成り立っています。同じ「仕組み」、同じ「ヒト」で仕事がスムースに進むことはそれで良いのですが、それだけではやがてマンネリ化を招いてしまします。
仕事がうまく回っていない時だけではなく、うまく回っている時でさえも、従来の仕事の「仕組み」とそれを回す「ヒト」について、他の「仕組み」や「ヒト」でより良い方法はないかという視点で考えてみることが大切です。
④新しい試みを20%取り入れる
仕事の中に、意識的に新しい試みを取り入れることも、マンネリ化を防ぐには良い方法です。新しい試みとは、新しい仕事そのものでも良いですし、新しいデジタルツールを使ってみるとか、新しい情報源から情報収集してみるなども試してみると良いでしょう。
また、新しい発想を得るために、いつもと違う通勤経路を通ってみたり、いつもと違う興味範囲のSNSを見たりフォローしたり、時には意見の合わない人のアイデアを意識的に聞きに行ったりすることなども良い機会となるでしょう。
⑤自分だけの週の行動プランを言語化・可視化する
自分が今週やることをスマホやPC,ノートなどに書き込んでいくことも、マンネリ化を防ぐための方法として良いでしょう。
何故これがマンネリ化を防ぐことになるかといいますと、毎週やることを書き出すと、大抵の場合、その95%以上が「やったことがある仕事」になります。仕事自体は週を追うごとに変わるかもしれませんが、ここでのポイントは、やり方が分かっている仕事、即ち「やったことがある仕事」がほとんどだという意味です。
もし毎週95%以上の仕事が「やったことのある仕事」ですと、自分の仕事がマンネリ化していることが分かりますので、新しい仕事ややり方を取り入れるようにすると良いでしょう。
【店舗経営クライアント-25】★MBOとノーレイティングのメリット・デメリット
人事評価制度の中で、現在主流となっているMBOと近年注目を集めているノーレイティングの特徴を理解し、自社の人事評価制度の改善に役立てていきましょう。
1.MBO
①MBOとは:
MBOとはManagement by Objectivesの略で目標管理制度と訳されています。経営学者のピーター・ドラッカーが提唱したもので、元々はマネジメント手法ですが、人事評価制度に導入されて定着したものです。
その運用は、会社の方針に沿って個人の目標を設定し、進捗管理を行い、最終的には上司・部下で結果と評価を振り返るものです。最終評価はランク付けされ、そのランクが給与に
連動しています。
②メリット:
MBOの目標は、会社の方針に沿ったものを設定するため、個人が常にそれを意識することができ、仕事へのモチベーションが上がります。更に、目標が明確になるために、それを達成できたかどうかもはっきりしますので、評価に対する透明性が高く納得感が増します。
また、達成する目標が明確なために、それを達成しようとする部下のスキルがアップすることにもなります。
③デメリット:
設定する目標の難易度によって、評価の結果が左右されることがあります。もしスタッフにとって目標が容易すぎる場合は、評価が高すぎてしまうことになります。一方では、スタッフにとって目標が難しすぎる場合は、目標を達成することができず、評価が低くなってしまうことになります。
また、目標の達成に意識が向きすぎると、目標を達成するためのプロセスにあまり注目しなくなってしまうというリスクがあり、目標以外の業務に影響が出てしまったり、目標達成のための手段を選ばなかったりするということになる可能性もあります。
2.ノーレイティング
①ノーレイティングとは:
人事評価のためのランクづけを廃止し、目標設定をした上で、上司と部下の日常的なミーティングを通して、進捗の確認やフィードバック、必要に応じた目標自体の修正を行うものです。
MBOのように年間で固定した目標に対して業務を進めるというよりは、短期~年間の目標を適宜設定して、その目標に対して上司と部下のミーティングを通して振り返るというものです。
②メリット:
マーケットの変化の激しい時には、年間を通して同じ目標で良いとは限らず、タイムリーに修正が必要な時も多々あります。そのような場合には、目標の修正が可能なノーレイティングによって対応することができます。
また、日常的な上司と部下のミーティングにより、フィードバックもその都度行われているため、評価自体の納得感も増し、部下のモチベーションがアップして成長にもつながります。
③デメリット:
上司と部下のミーティングが日常的に行われるので、そのミーティングの手間と時間がかなりかかり、上司の負担が大きくなることが予見されます。特に店舗ビジネスでは、部下の人数が多い場合もあり、部下とのミーティングがタイムリーに設定できない時もでてきてしまう可能性があります。
また、上司と部下のミーティングでは、部下との丁寧な話し合いとフィードバックが必要になり、上司にそのスキルが求められますが、日常的に適切にミーティングを行うには、上司全員に高いマネジメント能力が必要になってきます。
【店舗経営クライアント-26】★考課者研修(目標設定編)
人事考課は、出来るだけ多くの従業員が納得できるものにする必要があります。そのためには、考課者が人事考課の適切な進め方を理解することが肝要です。ここでは、考課者研修の中で考課者が習得しておくべきことをご説明いたします。
1.MBOにおける目標設定のポイントとは
MBO(Management by Objectives)は目標管理制度という意味で、現時点では人事考課制度の主流になっています。個人の目標を設定~上長と目標の擦り合わせ~目標達成に向けての行動~目標達成度の振り返りという流れで進めます。
その最初のステップとしての目標設定のポイントは以下のとおりです。
①会社の方針、部署の目標に合った個人の目標を設定する
個人の目標は、何でもよいということではなく、会社全体の方針に沿っていることが前提になります。そして、通常会社全体の方針に沿って各部署の目標が定められていますので、個人の目標は部署の目標達成に向けてのものを設定することになります。
②目標はSMARTに沿って設定する
目標設定は出来るだけSMARTに沿って立てると良いでしょう。SMARTとは以下の頭文字をとったものです。
Specific(具体的に):
目標は具体的な行動や数値で設定することが重要です。例えば、「A商品の売上を上げる」という目標では、達成する基準が分かりませんので、「1か月当り120万円売る」「年間で昨対110%を売る」など、具体的な目標にしましょう。
Measurable(測定可能な):
目標の達成度が測定できるようにすることです。例えば、「新商品を積極的におすすめする」という目標では、どこまでやれば目標が達成されたのかが分かりませんので、「新商品については、HPの新商品コーナーで発売日の1週間前から紹介する、SNSで週2回投稿する、チラシなどの販促物を5,000部作成して配布する」など、振り返った時に達成度合いが分かるようにしておきましょう。
Achievable(達成可能な)
目標は、個人の能力に合ったものにすることが基本です。もしどんなに頑張っても達成できないような目標を立ててしまいますと、初めから達成する意欲がなくなってしまいます。反対に、簡単に達成できる目標を設定してしまいますと、本人の能力が余ってしまい、成長にもつながりません。
達成可能な目標という意味は、本人がなんとか頑張れば達成できる位の目標ということです。
Relevant(関連している)
関連しているかについては、会社や部署の目標との関連と個人の長期的な目標との関連という2つの視点があります。
会社や部署の目標との関連とは、上記①でご説明したとおりです。個人の長期的な目標との関連とは、例えば将来●●の仕事につきたい、関連会社の社長になりたいなどの個人の長期的な目標を達成するために必要な目標になっているかといったことです。
Time-bound(期限がある)
目標に達成期限を持たせることです。具体的な目標を立てることはできたものの、それをいつまでに達成するかが明記されていないことは良くあります。
期限を設けることで、業務を計画的に進めることがしやすくなりますので、必ず期限を設定しましょう。目標自体が中長期にわたって達成するものの場合は、その期間をいくつかに区切り、区切った期間ごとの目標を設定するようにすると良いでしょう。
2.目標設定時の留意点
①目標はフレキシブルなものと認識する
通常目標は、年間の目標を立てることが多いですが、変化の激しい今のような時代では、1年間同じ目標だけで対応できるとは限りません。変化に合わせて目標を追加したり、目標自体を修正したりすることもありえると認識しておきましょう。
②目標を達成するための道筋も併せて考える
目標を設定する時は、目標を達成するための具体的な計画も一緒に立てるようにしておくと良いでしょう。目標を立てた後に安心してしまい、目標のことは忘れて日々の業務に追われるということもよくありますので注意が必要です。
【店舗経営クライアント-27】★考課者研修(評価エラー編)
人事考課は、出来るだけ多くの従業員が納得できるものにする必要があります。そのためには、考課者が人事考課の適切な進め方を理解することが肝要です。ここでは人事考課時の評価エラーについてご説明いたします。
1.代表的な評価エラー
評価エラーとは、人事考課時に、考課者が陥りやすい心理的な効果(エラー)のことを指します。考課者はこれらの評価エラーを認識した上で人事考課をするようにしましょう。
①ハロー効果
ハロー効果とは、特定の良い部分(悪い部分)につられて、全体が良い評価(悪い評価)になってしまうことをいいます。
このハローは、英語の「halo(後光)」のことですので、「後光の効果」からイメージすると分かりやすいと思います。
例えば、有名難関大学卒だから仕事もできると評価してしまったり、有名企業から転職してきた人だから今の会社でも同じように仕事ができると評価してしまったりすることです。また、以前に大きなミスをした人は仕事ができないと評価することなどもハロー効果と言えるでしょう。
②中心化傾向
中心化傾向とは、評価基準の中心にある評価に集中してしまうことをいいます。これは評価を無難なものにしてしまう時や評価の基準が明確になっていない時などに起こりやすいと言われています。
例えば、悪い評価をつけてしまうと部下と気まずくなってしまうとか良くも悪くも他のスタッフの評価との明確な違いが分からない場合などに中心化傾向が起こりやすいと言えます。
③寛大化傾向・厳格化傾向
寛大化傾向とは評価が全体的に甘くなることをいいます。反対に、厳格化傾向とは評価が全体的に厳しい評価になることをいいます。
寛大化傾向は、部下に嫌われたくない、良く思われたい、個人的に気に入った部下を良く評価したいなどの心理が働く時に表れる傾向です。また、良い評価ではないことが分かっていても、自分は良い評価にしたが会社が最終的に評価を下げてきたと言えるために起こる場合もあります。
厳格化傾向は、上長自身が部下と同じ頃にはできていたことを、もっとできるはずと自分の過去を基準にしてしまう時や上長自身がそもそも能力が高いために、やはり自分と比べて低く評価してしまう時などに起こります。
④期末効果
期末効果とは、評価期間の期末に起きた良い(悪い)ことが、評価全体に良く(悪く)影響することをいいます。
例えば、「4月~9月」の半期評価をする際、8月~9月に見られた結果、行動などが強く印象に残るために、4月~6月の結果や行動などが評価されず、8月~9月のことだけが評価期間全体の評価になってしまうことがあります。
⑤逆算化傾向
逆算化傾向とは、総合的な評価結果を先に決めてしまい、その評価結果になるように逆算して個々の評価を決めるというやり方をいいます。
このやり方では、個々の評価が調整されてしまうので、実態と評価がズレてしまう可能性があります。
例えば、チームで一番の評価をつけるために、総合評価をS評価と先に決めて、S評価になるように個々の評価を調整して評価するといったやり方です。
⑥対比誤差
対比誤差とは、上長が自分の能力と比べて部下の能力を評価することをいいます。一般的には、特定の能力について、上長が高い能力を持つ場合、低い能力しかない場合に見られる誤差です。
例えば、上長の思考が常にロジカルな場合、ロジカルな思考が不得意な部下に対して実態以上に低く評価してしまったり、反対に、上長が何事にも時間をかけて慎重に判断して進める場合、部下の判断や決断が早く仕事がスピーディーに進む時などに、実態以上に仕事が早いと評価してしまうことなどがそれにあたります。
⑦論理誤差
論理誤差とは、客観的な事実ではなく、上長自身の個人的な論理をもとに評価してしまうことをいいます。
例えば、前職から短い期間で転職をしてきた人に対して、諦めが早い人と決めつけてしまったり、業務の専門知識が豊富な人に対して、その業務のチームを率いる能力も高いと評価してしまったりすることです。
2.評価エラーを防ぐためには
これらの評価エラーが起こらないようにし、納得感の高い人事考課をするためのポイントは次の3つです。
①評価基準を明確にする
何を、いつまでに、どこまでやれたら、どの評価なのか、を明確にしましょう。人事考課の基本はこの評価基準を明確にすることです。
②客観的事実をもとに評価する
評価者の主観ではなく、出来るだけ客観的に評価するために、事実をもとに評価するようにしましょう。
③評価期間全体を評価する
部下の出す結果や行動は、評価期間中にコンスタントに表れるものではありませんので、評価期間全体を評価するように心がけましょう。
【店舗経営クライアント-28】★考課者研修(人事評価編)
人事考課は、出来るだけ多くの従業員が納得できるものにする必要があります。そのためには、考課者が人事考課の適切な進め方を理解することが肝要です。ここではMBOにおける人事評価の進め方についてご説明いたします。
※MBOにおける目標設定の仕方については【店舗経営クライアント-26】★考課者研修(目標設定編)をご参照ください
1.MBOの評価の進め方
①各自が自己評価する
期初に個人の目標を設定しましたので、その結果について会社で定められている目標達成度にリンクする評価点または評価ランクに沿って、自己評価を行います。
この際、各自は自己評価について、何故その評価にしたのかを説明できるようにしておく必要があります
例えば、数値で分かる結果の場合は評価点や評価ランクは分かりやすいのですが、その結果に至ったプロセスや期初では予測できなかった関連状況の変化などは人事評価時に加味する必要があります。
それらは必ずしも数値では測れないものもありますので、関連性をきちんと整理して自己評価に対する説明ができるようにしておきましょう。
②上長の評価との擦り合わせをする
各自の自己評価が終わりましたら、その結果を上長に提出します。上長は各個人の自己評価に対して、目標達成度の評価は適切か、プロセスや関連状況はどれくらい考慮する必要があるか、期初の目標以外で評価するべき実績はないか、関連する他部署からの評価とのズレはないかなどを考慮しながら上長としての評価を行います。
この際、もし上長と部下の評価にズレがあった場合は、何故そのズレがあるのかを説明できるようにしておく必要があります。その説明は、できるだけ具体的に、論理的に説明できるようにしておきましょう。
③最終評価のフィードバックをする
最終評価が確定した後は、必ず本人へ結果を伝え、もし最終評価と本人の評価の間に違いがある場合は、きちんとその理由を説明するようにしましょう。
また、最終評価のフィードバックは、単に目標の達成度の評価を伝えるだけではなく、今後の本人の成長につながるようなフィードバックをするように心掛けましょう。
本人が得意な部分や不得意な部分、やってみたい仕事や今後に必要な業務のスキルなどの情報を擦り合わせて、人材育成の場としても活用すると良いでしょう。
2,上長が評価する際の留意点
①どれだけ多くの従業員が納得できるかという視点で評価する
上長としては公平・公正な評価に努めなければなりませんが、そもそも人事評価の結果は基本的には公にはなりません。従って、各個人にしてみれば公平・公正になっているかはわかりません。
従って、上長としては、評価する際にどれだけ多くの従業員が納得できる評価なのかという視点を持って評価することが大事になってきます。
②人が人を評価するので正解(評価結果)は一つとは限らない
人事評価は、人が人を評価することなので、その評価結果は必ずしも一つとは限らないということを認識しておきましょう。
上長Aでは評価が良かった部下が、上長の人事異動で上長Bになった途端に評価が下がるということは起こり得ることです。
これは上長として重きを置いていることが違ったり、評価点や評価ランクへの判断基準が違っていたりすることから生じるものですが、どちらの上長の評価結果も間違っているとは言えず、どちらも正解だということを認識しておきましょう。
③評価はその根拠を明確にする
自己評価と上長評価のズレ、上長同士による同じ部下に対する評価のズレ、自己評価と会社の最終評価とのズレなどは、実際に起こり得ることです。
その際に大事なことは、そのズレの理由をきちんと本人に説明できることです。全ての評価は根拠があって評価結果がありますので、その根拠を明確にすることが、その後の本人の成長にもつながるということを認識しておきましょう。
【店舗経営クライアント-29】★自己効力感を高める方法とは
仕事はいつもうまくいくとは限りませんが、自己効力感を高めることによって、良い結果を生む可能性を高めることができます。
ここでは自己効力感を高める方法についてご説明いたします。
1.自己効力感と自己肯定感の違いとは
自己効力感とよく似た言葉に自己肯定感という言葉がありますが、まずは自己効力感と自己肯定感の違いを知っておきましょう。
自己効力感とは、自分ならできると考えられることをいいます。自分にはその能力があり行動に移せると思えることともいえます。
これに対して自己肯定感とは、できてもできなくても、自分には価値があると考えられることをいいます。結果の良し悪しに関わらず、他者と比較して自分を評価することもなく、今の自分自身には価値があると考えることともいえます。
2.自己効力感を高めると何故良いのか
①モチベーションを維持することができる
自分ならできると思えるので、どのような仕事にも前向きに取り組むことができ、常にモチベーションを高く維持することができます。
②失敗を活かすことができる
例え失敗したり、うまくいかないことがあったりしても、そのことにいつまでも落ち込んでいることはなく、そこから学んだことを次の仕事に活かそうとします。失敗も後の成功のための一過程だと考えることができます。
③挑戦意欲が高まる
全てのことが成功や目標達成のための一つの過程と考えることができるので、常に挑戦するという気持ちが持てます。例え困難な仕事に直面しても、「無理そうだ」と考えるのではなく、「どうしたら目標を達成できるのか」という発想をするようになります。
3.自己効力感を高める方法とは
①困難を乗り越えてきたことに自信を持つ
誰でも簡単な仕事だけをやっているわけではなく、難しい仕事ややったことのない仕事を乗り越えてきた経験はあるはずです。それらを貴重な体験として捉え、自分も一つひとつ乗り越えてきたことに対して自信を持つことが大事です。
とかく日々の忙しさに紛れて、これらの貴重な体験が忘れられていることが多くありますので、時々自分の実績を振り返ってみると良いでしょう。
②難しい仕事を一つやり遂げる
自分にとってかなり難しいと思える仕事を最後までやり遂げることは、自分の大きな自信に繋がります。これをやり遂げるには、多くの時間と労力をかけることになるかもしれませんが、それだけにやり遂げた時には、自分の能力は上がっていることになります。
このことにより、あの難しい仕事をやり遂げたのだから、それに比べれば多少難しい仕事に取り組むことになっても、それをやり遂げられる能力は既に身についていると考えられるようになります。
③小さな成功体験を繰り返す
一つの難しい仕事をやり遂げることも大事ですが、日々の仕事の中での小さな成功体験を繰り返すこともとても大事です。難しい仕事に比べて、小さな成功体験は比較的短期間に結果が見られるので、継続的に成功することを体験することができます。
これは成功する自分を恒常的に見ることになりますので、そのたびに自信を深めることができます。
④身近な成功体験に触れる
自分自信の成功でなくても、身近な人、例えば上司やライバルが仕事で成功するところを近くで見るだけでも、自分でもできると思えることが多々あります。
近くで見ているので、その人の仕事の進め方やコミュニケーションの取り方、リーダーシップの取り方などが分かり、自分がその仕事や関連業務を進めることになった時にはとても参考になります。
⑤自分の実績を可視化する
人事評価の時などには1年間の自分の実績を振り返ることがありますが、それだけではなく、社会人になってから現在までの職責と実績を全て振り返ることも自信に繋がります。
ここでは仕事の過程ではなく、結果としての実績をピックアップし、できるだけ数値も添えて書き出します。例えば、売上や利益、コスト削減、担当店舗数、部下の人数などは数値化しやすいですが、人材育成などは何カ月でどのスキルができるようになった、何人の部下を店長にしたなどのように書き出してみると良いでしょう。
⑥自分ブランディングをする
「●●を頼むなら〇〇さん」のように、自分の業務上の強みを作ることも大切です。●●するなら社内(店内)の誰にも負けない、●●のことなら聞いてくださいなどと言えるようなものを持つことも大事です。
自分の得意なことや自分だけができることを増やしていくと、社内(店内)から頼りにされることが増えて、自分の自信にも繋がっていきます。
【店舗経営クライアント-30】★事業発展に必要な考え方(その1)
マーケットの変化が著しい今の時代に、事業の継続性、発展性を維持することはとても難しくなっています。
ここでは事業の発展に必要な考え方についてご説明いたします。
1.企業価値を確認する
企業が大事にしている価値は、経営層だけではなく、店舗のスタッフまで全員が同じ認識を持っていることが必要です。それは仕事をする上で各個人が意識することによって、最終的には顧客に伝わっていくものだからです。
企業価値には2種類あり、一つは普遍的な価値、もう一つは時代に合わせて変化する価値です。
①普遍的な価値
顧客に商品やサービスを提供する際、時代が変化しても変わらないこだわりや考え方のことを指します。子供に楽しく安全に遊んでもらう(玩具店)、本場の味と雰囲気を体験してもらう(タイ料理店)、健康でイキイキした毎日をサポートする(ダンス教室)などのようなものです。
②時代に合わせて変化する価値
時代が変われば顧客のニーズも変化していきますので、それに合わせて企業の価値も変えていく必要があります。
例えば、商品の受け取り場所を自店や自宅だけではなく、会社や最寄り駅の近くの指定場所にすることができたり、商品やサービスのオーダーから受け取りまでの時間を短縮したり、店頭では商品を販売せずに商品を試すだけの場所にしたりすることなどは変化する価値と言えます。
2.臨機応変に対応できる組織体制にする
変化が激しいマーケットでは、事前に予測できないことや初めてのこともたくさん起きてきます。それらのことに対応するためには、従来業務をするだけではなく、臨機応変に動ける組織体制が必要になります。
臨機応変に動く時のポイントは、①すぐに動き始める ②動きながら業務プロセスを改善していく ③責任者と振り返り時期を明確にしておく の3点をしっかりおさえておくことが大事です。
特に責任者と振り返り時期を明確にしておくことは抜けてしまいがちなので注意が必要です。これを明確にしていないまま対応すると、場当たり的な対応になってしまい、良くない事例としてはいつの間にかこの対応が終わっていて、対応が良かったのか不十分だったのかが誰も分からないという状態になってしまうことです。
3.「カスタマイズして標準化する」を広く適用する
業務プロセスは、経費精算のようにどの企業でもほぼ同じやり方で通用すること以外は、基本的にはその会社独自のものを作り上げる方が良いです。
例えばシフト作成は、店舗ビジネスではどの企業にも必要な業務ですが、人員配置や人件費管理の考え方は企業ごとに異なります。従って、シフト作成のソフトも基本的には自社に合うようにカスタマイズすることが望ましいです。
その後、カスタマイズしたシフト作成ソフトをどの店舗でも同じように使う(標準化する)ことによって、効率的な店舗運営ができるようになります。
【店舗経営クライアント-31】★事業発展に必要な考え方(その2)
マーケットの変化が著しい今の時代に、事業の継続性、発展性を維持することはとても難しくなっています。
ここでは事業の発展に必要な考え方についてご説明いたします。
4.人材を育成する
事業を継続的に発展させるためには、それを支える人材を育成する必要があります。特にここでは企業の成長を左右する店長職以上の人材の育成についてご説明いたします。
<育成目標のポイント>
①マネージャー的な役割を果たす人材を育成する
マネージャー的な役割とは、既存の業務をより効率的に進めたり、より良く改善したりする役割のことを指します。この役割を果たせる人材がいることで、既存の業務が安定し、ムダ・ムリ・ムラがなくなり業務がスムースに行われることになります。
マネージャー的な人材を育成するポイントは、誰がいつやっても同じ結果になるように、業務の標準化を幅広く推進させ、それを継続させることです。換言しますと、同じ業務を人によって異なるやり方でするのではなく、効率の良いやり方を一つ見つけて、それを横展開するということです。
②リーダー的な役割を果たす人材を育成する
リーダー的な役割とは、不測の事態に対応したり、新しい仕組みや業務を作り出したりする役割のことを指します。この役割を果たせる人材がいることで、業務のマンネリ化、事業の停滞化を避けることができるようになります。
リーダー的な人材を育成するポイントは、個々人の強みを活かした業務を経験させること、新しい業務に積極的に挑戦させることなどが効果的です。このようなリーダー的な人材は、誰もが等しくできることとは限りませんので、リーダーの候補者を予め選抜しておくことが重要になります。
<育成方法のポイント>
①短期育成を心掛ける
企業環境が激しく変化するために、それに対応できる人材も短期間に育成する必要性が高まっています。従来は、3~5年単位で一つの部署、業務、役割などを担当することによって、本人のスキルアップを図ってきましたが、近年ではそれでは対応が追いつかないことが多くなってきています。
今後は、従来の3~5年単位で習得するスキルと同時に、半年~1年の短期間で習得できるものも、そのスケジュールを初めから立てておくことが重要になってきます。
また、短期間の習得度については、完成度100%を目指すよりは、完成度70~80%を目指して早く業務を進めること、或いは業務を進めながら完成度を上げていくことをより重視する姿勢が大切です。
②多重経験も視野に入れる
従来は一度与えられた業務だけを推進することが各自の大きな責任になっていましたが、今後は種類・性質の異なる業務を同時にこなすことによって、本人の能力を伸ばすことができると認識しましょう。このことにより、業務を複眼的に見る目が養われ、業務対応力や業務改善力、新しい発想力などが高まります。
③異なるバックグランド人材のチーム編成をする
前項では一人の人材に色々な業務を同時にすることをお話ししましたが、ここでは異なる考え方や経験を持った人材でチームを作ることをおすすめいたします。
この効果も前項と同様ですが、チーム全体が色々な考え方を踏まえて業務にあたることになりますので、個々人の成長と共にチームとしての成長も同時に果たせることになります。
5.常に3年後のビジョンを持つ
事業の発展に欠かせない考え方として、「常に3年後のビジョンを持つこと」が挙げられます。通常、3か年計画といったものの中に、3年後のビジョンの設定をするケースは良く耳にしますが、実際の環境の変化は3年ごとに区切られているわけではなく、常に変化しているものです。
従って、3年後のビジョンは毎年持っておくことが望ましいことと言えます。事業の継続性を維持するという観点からも、3年後のビジョンを常に持って、それに至るまでの戦術(行動プラン)も毎年アップデートすると良いでしょう。
【店舗経営クライアント-32】★研修の進め方
様々な目的のもとに各社で企業内研修が実施されていますが、ここでは研修を企画・実施する際に知っておきたいポイントをお伝えします。
1.研修実施のポイント
研修を企画する際には、以下の3つのポイントを押さえておく必要があります。
①研修の目的を明確にする
研修を企画する際には、まずは研修の目的を明確にすることが大切です。何のためにこの研修をするかがはっきりしていないと研修内容もブレてしまい、研修の効果も期待できなくなってしまいます。
②研修のゴール(目標)を明示する
研修が終わった時にはどうなっていることが期待されるかというゴール(目標)を伝える必要があります。ゴールは出来るだけ具体的なものにしましょう。
ここで研修の目的とゴール(目標)を混同しないようにすることも大切です。例えば、店長研修で数値管理をする場合、「店舗運営に必要な数値指標を正しく理解し、店舗運営の改善に役立てる」ということが目的にあたり、「研修で自店のP/Lの指標の意味を理解し、改善策を作成する」ということがゴール(目標)になります。
③研修のフォローアップまでを計画する
研修は通常1日や2泊3日などの場合が多く、基本的には連続した中長期のものではなく、単発型のものがほとんどです。
但し、単発の研修だけではなかなか習得することが難しく、習得するためのきっかけに終わってしまうことになりがちです。従って、研修目的を達成するために、研修+2か月後のフォローアップ研修をして定着を図ることや、研修+現場でのOJT研修で完全に身につけてもらうことなどを初めから計画しておくと良いでしょう。
2.研修の形式
①対面型/オンライン型/自習型
対面型とは、講師と受講者がリアルで対面しながら研修が行われることです。お互いが理解度などの温度感を感じながら研修を進めることができるという利点があります。オンライン型とは、講師と受講者がオンライン上の画面を通して研修が行われるものを指します。一か所に集まる必要がなく、受講者がどこからでも参加できるという利点があります。自習型とは、研修のコンテンツが事前に用意されていて、受講者の都合に合わせて自分だけで学習するというものを指します。受講者にとっては場所や時間を自分で決めることができるという利点があります。
②OJT/OFF-JT
OJTとは、実際の業務の中で教えていくやり方で、やりながら覚えるという研修のことです。それに対してOFF-JTとは、現場からは離れて研修室などで学習するやり方のことを指します。
3.研修講師の選定
①社内講師(トレーナー、インストラクター)
研修の内容と社内のリソースを見ながら、社内講師にするか社外講師にするかを決めていきます。
社内講師はトレーナー、インストラクターなどと呼ばれることが多く、研修内容によって担当する社内講師を選ぶことになります。
②社外講師
社内のリソースが足りない時や専門性の高い内容の場合には、社外講師を頼むことも選択肢の一つです。特に専門性の高い内容については、社外講師に依頼した方が質の良い研修になることが期待できます。
4.研修手法
①講義・説明
講師が受講者に対して、内容を教えていく方法です。幅広い知識の習得をする時には適した方法です。
②実習
知識を習得しただけではなかなか出来るようにならないものについて、実際にその場でやってみるやり方を実習と呼んでいます。ディスプレイやラッピング、調理などは実習することが効果的です。
③グループセッション
受講者を4~5名のグループに分けて、一つのテーマについて話し合う方法です。通常は話し合ったことを簡単に発表してもらうケースが多いです。
④エクササイズ(練習問題)
自分だけで簡単な課題を解いてみることをエクササイズ(練習問題)といい、研修中に自分で課題に取り組むことによって研修の効果が高まることが期待できます。
⑤ロールプレイ
スタッフ役とお客様役に分かれて、実際の場面を想定して練習するやり方です。接客や電話応対などを習得するのに効果的です。
⑥ケーススタディ
実際の現場で起こりうると想定されるケースについて課題の解決策を作るという方法です。通常はグループで話し合うことが多く、色々な視点から課題を見られるという利点があります。
【店舗経営クライアント-33】★研修例:新任店長研修(階層別研修)
研修体系の中には新入社員、中堅社員、管理職などのように階層別に行う研修があります。ここでは新任店長研修を例に取り上げて、その進め方のポイントをお伝えします。
1.目的
「店長に必要な知識とスキルを店舗運営に活かす」
研修の初めに、この研修を何のためにするかということを明確にします。単に業務知識を得るために参加するのではなく、店舗運営に活かしてもらい、その結果として顧客満足の向上に結びつけることを説明します。
2.目標
「店長に必要な知識とスキルを体系的に習得し、それを明日から実践で使えるようになること」
目標とは、この研修が終わった時にどうなっていて欲しいかを言語化したものです。従って、出来るだけ具体的な表現にする必要があります。
3.内容と進め方
今回はOFF-JT/対面(参加者が一堂に会して対面で実施する)での研修を想定します。
①店長の役割と期待されること(社内講師/講義)
初めて部下を持つことになった新任の店長に対する研修ですので、「店長」の役割を体系的に説明する必要があります。何故体系的に説明する必要があるかといいますと、それまでは店長候補として店長の下で働いてきましたので、店長がどのような仕事をしているかは見てきて知っています。場合によっては店長の一部の仕事を代行として既にやっていることもあり得ます。
但し、通常はその全体像を説明されることは稀で、単に店長の仕事の一部を点として知っていたり、実行していたりしているだけです。従って、新しく店長になった際には、店長の役割や期待されることの全体像として体系的に説明してあげることが必要になります。
例えば、「マネジメントとは」「数値管理」「PDCA」「リーダーシップ」「人材育成」「顧客満足」「集客」などが挙げられます。
②自店の方針の立て方・作り方(社内講師/講義・実習)
店の独自性が多く認められている会社はもとより、たとえチェーンオペレーションをしている会社でも、各店の持っている経営資源は異なることが多く、いずれにしても店長の裁量で結果が大きく変わることが常です。
そのために、店長が会社の方針に沿った形で自店の運営方針を決めていくことは極めて重要な役割の一つと言えます。
基本的には年度単位の運営方針を作成することが多く、その内容は売上目標を達成するための「集客」「商品」「接客(おもてなし)」「オペレーション」「クレンリネス」「VMD」などについて具体的に計画し、その場である程度の骨子を考えて定型フォーマットなどに記入してもらいます。
③「自店の課題と解決策」(社内講師/グループセッション)
各店の抱えている課題は、その内容や重要度・緊急度などは店ごとに違います。但し、その課題を解決しなければいけないという店長が感じている責務の重さは、店舗の中では店長にしか分からないものです。
その意味で、店長同士が集まった場で、店長として感じている課題、その解決の難しさなどをグループセッションで話し合うことは、お互いにとても有効だと言えます。
他店の課題を知ること、違った視点で解決策を考えてみること、他店での成功事例が共有されることなどは、その後の自店の店舗運営にとても役に立ちます。
4.研修のフォローアップ
①エリアマネージャーによるOJTフォローアップ
研修で習得したことをすぐに実践していくためにも、店長の上長であるエリアマネージャーとの連携が必要です。エリアマネージャーは店長が受けてきた研修の内容を把握し、それが店舗で実践されているかどうかを観察することが大事です。もしその進捗が滞っているようでしたら、適切な助言・指導を与えるようにします。
②2か月後のフォローアップ研修(オンライン)
研修後のフォローアップ研修も習得したことの定着化を図るために効果的です。フォローアップは進捗の確認と本人の意識再強化が目的ですので、短時間での実施が可能です。少人数ごとに分けたグループごとにオンラインで実施することでも充分な効果を得ることができます。
【店舗経営クライアント-34】★研修例:VMD研修(職種別研修)
研修体系の中には職種として必要な知識とスキルを習得するための研修があります。ここではVMD研修を例に取り上げて、その進め方のポイントをお伝えします。
1.目的
「売り場づくりに必要なVMDの知識とスキルを習得し、店舗運営のレベル向上を図る」
研修の初めに、この研修を何のためにするのかということを明確にします。単に業務知識を得るために参加するのではなく、店舗運営に活かしてもらい、その結果として顧客満足の向上に結びつけることを説明します。
2.目標
「売り場づくりに必要なVMDの知識とスキルを体系的に習得し、それを明日から実践で使えるようになること」
目標とは、この研修が終わった時にどうなっていて欲しいかを言語化したものです。従って、出来るだけ具体的な表現にする必要があります。
3.内容
VMD研修では、知識の習得は研修室で行い、実践的なスキルの習得は売場で実施することが望ましいです。もし売場での実施が難しい場合は、研修室に一部の商品を持ち込んで実施すると良いでしょう。
①VMDとは
VMDとはVisual Merchandisingの略で、MD(Merchandising:商品計画)を視覚化したものです。VMD=陳列と理解されていることも多く、まずはVMDとは何かを正しく理解してもらうことが必要です。
特にMDとVMDの繋がりを知っておくことはとても重要で、何故この商品の展開時期が決まっているのか、何故この商品がここで展開されるのかなどを理解した上で展開することが大切です。
②お客様視点を持つ
店舗ではお客様視点を常に持って仕事をすることが大事ですが、VMDとしてのお客様視点とは、お客様にとって見やすく、分かりやすく(探しやすく)、手に取りやすくなっているかといった観点から売場を見ることです。
普段は、納品~売場作成~品出し(補充)~売場移動などの忙しさに追われていることも多々ありますが、売場づくりの原点であるお客様視点を忘れないことを伝えることも大切です。
③店内のレイアウトとマグネット売場
店舗ごとに異なる店内のレイアウトでは、顧客にどのように店内を歩いて欲しいかという顧客導線を決めると共に、店内のどこに顧客を引きつけるマグネット売場を作るかということは、顧客の店内滞留時間を左右する大事なポイントとなります。
店内滞留時間が長くなればなるほど、購入金額が上がると言われていますので、顧客に商品展開を楽しんでいただくことがいかに大切かということが分かります。
④陳列の場所と役割
陳列の場所の中でも役割があることを知っておくと良いでしょう。例えば、床から180㎝以上の手の届きにくい場所は商品の見せ場と言われ、そこにある商品を離れた場所にいる顧客に知らせるという役割があります。
反対に顧客がかがんだり、しゃがんだりしないと見えにくい場所は、一般的にはストック場と言われており、商品の在庫などを置いておくと良い場所です。
一番顧客にとって買いやすい場所は、目の前にあってすぐに手にとれる高さのところで、ゴールデンゾーンなどと呼ばれています。
これらの場所と役割を知っておくことによって、顧客には買いやすい売場となり、スタッフにとっても売場づくりの面で効率良い売場になると言えます。
⑤陳列の方法
顧客にとって見やすく、分かりやすく、手に取りやすい陳列の仕方を学んでおくと、より楽しい売場、より売れる売場になります。
よく使われる基本的な陳列の方法としては、1)ボリューム陳列 2)段差陳列 3)三角構成 4)リピーティング 5)シンメトリー などがあります。
アパレル店、雑貨店、食品店など、店によっても使う陳列方法が異なりますので、自店に合わせて使いこなせるようにしておくと良いでしょう。
4.研修のフォローアップ
①事例の共有
VMDの事例は、写真に撮っておくと他店にも共有しやすいので、共有クラウドなどに保管しておくと良いです。
これらの写真は、他店に共有する時だけではなく、同じような商品の展開事例として自店でも参考にできるというメリットがあります。
②VMDリーダーの任命
VMDの得意なスタッフをVMDリーダーに任命し、店舗内のVMD業務を任せるという活かし方もあります。
本人も得意な分野なので、モチベーションも上がり、やればやるほどスキルも上がっていくので、店舗全体のVMDレベルも上がっていくことになります。