今月上旬、Gallup Japan社と英国経営者協会が共同で、『変革への挑戦:日本の職場の新しい姿』を発表しました。(※)
このレポートに、従業員エンゲージメントを高める方法の一つに「従業員の強みを活用する」という提言があります。
会社と個人が成長していくためには、個々人の強みを発揮できる職場になることは、とても有効だと言えますので、
今回は部下の強みを活かす方法についてここでも考えてみましょう。
※本レポートの詳細はGallup Japan『変革への挑戦:日本の職場の新しい姿』をご参照ください
部下の強みを活用するには、強みの発見→上司と部下の共通認識→強みの活用というステップを踏むことが大事ですので、上司・部下それぞれの立場からできることを確認していきましょう。
第1ステップ:強みの発見
【上司として】
・部下は自分自身の強みを適切に認識しているとは限りませんので、上司としても部下の強みを把握することが必要です。
例えば、部下の仕事の内容の精度が高かったり、早く仕上がったりするものは、目に見えるもので判断することができます。
また、本人が得意とするものは、その仕事をする時の取り組み姿勢が積極的であることや、
難しい壁も乗り越えようとする熱意がありますので、普段からよく観察するようにしましょう。
・部下がまだ出会っていない強みがあるかもしれませんので、部下に色々な仕事に挑戦させる機会を与えることも大事です。
また、仕事自体の内容ではなく、仕事の進め方などについて多様なアドバイスを与えることも、強みの発見につながる可能性がありますね。
【部下として】
自分の強みが何かということを、普段はあまり考える機会がない人も多いので、定期的に自分を振り返る時間を設けると良いでしょう。
最も簡単な振り返り方法は、自分だけのための職務経歴書を作ることです。
それは今までやってきた仕事の内容とその成果を言語化して記録しておくことです。できるだけ数値で表現できていると尚分かりやすいでしょう。
これを少なくとも半期に一度、自分自身で振り返ることによって、自分の強みが見えてくることになります。
強みは時間と共に変わることもありますし、強み自体は変わらずに益々強化されることもありますので、
その変化を自分で確認するためにも振り返りはとても大事です。
第2ステップ:上司と部下の共通認識
【上司・部下として】
ここでは上司と部下が、部下の強みについて共通の認識を持つことが大切です。
お互いが共通認識を持つためのポイントは以下のとおりです。
1)認識のギャップがないかを確認する
部下が強みと思っていることが、上司から見るとあまり強みには見えていない場合や、
その逆のパターンもあり得ますので、このような認識のギャップを埋めておくことが大切です。
1on1ミーティングや人事評価フィードバックミーティングなどを利用して、お互いの認識を確認すると良いでしょう。
2)強みによる成果を確認しておく
強みを発揮した仕事の成果は、そうでない仕事の成果より大きいことがほとんどです。
そのことは本人のその後のモチベーションにも影響しますので、きちんと上司として評価して部下に伝えることが大切です。
3)他の強みがないかを確認する
強みがお互いに確認されているとしても、他にも強みがあったり、これから開発できたりする可能性もあることを認識しておきましょう。
また、強みの認識は、固定化するものではありませんので、
常に変わったり、追加されたり、場合によっては弱まったりするものと捉えておくとよいでしょう。
第3ステップ:強みを活用する
【上司として】
・部下の強みが把握できましたら、それを活かす仕事の与え方をすることが大切です。
もちろん仕事全てをそのように部下に割り当てることは難しいですが、
そのような中でも部下の強みを活かせるような仕事の配分はできるはずですし、
その方が効率良く仕事が進み、部下本人もやりがいを持って取り組んでくれるようになります。
・部下の強みを更に伸ばしてあげることも上司の大事な役目です。
専門的な関連研修に参加させたり、役に立ちそうな情報を伝えてあげたりすることも有効ですね。
【部下として】
・強みが自分で認識できましたら、自分でもそれを伸ばす努力をしましょう。
自分の得意なことですので、早く上達したり、レベルが平均より高くなったりしますので、
自分としての達成感や満足感も味わえることになります。強みについては積極的に自己投資する姿勢が大切ですね。
・強みの強化を仮に「深さ」の強化だとしますと、「横幅の広さ」の視点を忘れないようにすることも大事です。
強さはそもそも人と比べての相対的なものですので、他にどのような強みを持った人がいるのかに興味を持つようにしましょう。
自分の視野が広がることは、結果的に自分の強みの重要性や他の人の強みとの組み合わせなどを考える力もついてきます。
以上
あなたの部下の強みを部下と話し合って、一度言語化してみませんか?
