現在の就業環境は売り手市場と言われています。比較的仕事は見つかりやすくなっており、20代社員の転職もさかんになっているようです。
今回は人手不足で悩む企業にとっての20代若手の採用戦略について考えてみましょう。
【採用戦略のフレームとは】
採用するにあたっては、どのような人財が欲しいのか、どのように会社のメッセージを伝えていけばよいのかなどの採用戦略を立てることが大切です。
それを可視化した代表的なフレームワークがTMPです。TMPとは、Targeting、Messaging、Processingのことです。
1.Targeting
まずどのような人財を採用したいのかということを言語化します。その際に役に立つのが「ペルソナ分析」です。
「うちの会社に合いそうな人」などのように曖昧なものではなく、「●●ができる人」「苦労してチームをまとめたことがある人」「自分のやりたいことが明確な人」など、
人物が想像できるようにいくつか言語化しておくと良いですね。
2.Messaging
何をどのように伝えるかを言語化します。
そのためには、「採用環境分析」→「就業希望者へのメッセージの作成」という手順で進めていきます。
まず「採用環境分析」では、3C分析とSWOT分析を合わせたものをおススメしています。
それは「採用市場」の客観的な状況をまとめた上で、「競合会社」「自社」について、それぞれ「強み」「弱み」を把握していくというものです。
採用市場では、就業希望者の数や近年の動向、有効求人倍率、離職率などを知っておくと良いでしょう。
競合会社については、競合会社の募集条件や特徴などを把握しておくとともに、競合会社の強みや弱みも分析しておきます。
自社については、競合会社との差別化のポイント、働き方の柔軟性、社内カルチャー、従業員の声などを整理して、自社の強み・弱みとともに言語化しておくとよいでしょう。
採用環境を分析した上で、次に就業希望者へのメッセージを作成します。このメッセージのポイントは次の3つです。
1)会社の理念(あなたの会社が実現したいことは何か)
20代の人にとっても、自分が会社で働く意味はとても重要なことです。自分が仕事に関わることで、あなたの会社が世の中にどのような貢献ができるのかということは、モチベーションの維持・向上にも直結しますので、きちんと言語化していきましょう。
2)会社の強み(他社にない強みは何か)
あなたの会社にしかない、あるいは他社よりもあきらかに優位な強みを言語化しておくことはとても大事です。
これは会社が成長していくためにも欠かせないものですので、社内で共通認識が持てるようにしておきましょう。
3)就業者のメリット(あなたの会社で働くと得られるものは何か)
企業側が忘れがちなのですが、就業希望者は会社の成長と同時に自分自身のメリットも求めています。
事業内容を説明するだけではなく、あなたの会社で働くことで、就業者にはどのようなメリットがあるのかを伝えていきましょう。
専門的な知識やスキルが身につけられることでしょうか。働きやすい環境で働けることでしょうか。就業希望者の視点に立って考えてみましょう。
3.Processing
採用活動のプロセスを可視化していきます。ファネル分析と言われることもあります。
ファネル(漏斗)が下にいくほど間口が狭くなっていることから、人数が絞られていく様子を表現する時に使われます。
採用では通常、募集→書類選考→面接(1次・2次)→内定→入社というプロセスに沿って人数が絞られていきますが、各プロセスにおける想定人数をあらかじめ設定しておきます。
このことによってどのプロセスに問題があるかが可視化されますので、その後の改善に活かすことができます。
4.採用する際の留意点
1)短期就業志向ではないか
売り手市場であることから転職をしやすくなっています。転職自体はネガティブなことではありませんが、短い期間に転職を繰り返している場合は、何も身についていないまま次の会社に移っているケースがありますので注意が必要です。短期で移る人は、あなたの会社も短期で辞める可能性があることを認識しておきましょう。
2)チームプレーができるか
店舗ビジネスではチームプレーが必須です。仕事を協力してやり遂げることができる人かどうかを確認すると良いでしょう。
3)相手視点に立ったコミュニケーションができるか
店舗ビジネスでは、社内だけではなく顧客との対面コミュニケーションが必須です。必ずしも上手に話せる必要はありませんが、相手の立場にたってコミュニケーションができることがとても大事な要因になります。
以上
あなたの会社の採用戦略は整っていますか?