「店と本部の間には溝を感じます」という声をよく耳にします。本部が指示する側で、店がそれを実行する側という認識があります。
それ自体は間違いとは言えませんが、店の状況を分からずに指示を出していたり、本部の意図や調整の大変さが店にきちんと伝わっていなかったりといった、相互認識が足りないことから発生してしまう不必要な溝があるようです。
ただ、本来は同じ目標に向かって進む組織やチームですので、より一体感が持てるような試みが大切ですね。
今回は、実際に効果があった試みをご紹介いたします。
1)本部の指示にはその理由も明記する
本部から指示を出す時は、何故それをやるのか、何故その数値目標になるのか、それが達成されるとどのような良いこと(価値)が生まれるのか、などを指示と一緒に店に伝えることが大事です。実行する店にとっては、納得感が高ければ高いほど実行しやすくなります。
2)本部に店の出身者を配属する
店がどのように動き、どのようなことに困っているかを理解している人が本部にいると、施策のボトルネックも避けられ、よりスムーズな実行に移せる施策にすることができます。
店のオペレーション的なことや店が施策を実施できるレベルにあるかなどは、店経験者の人でなければ分かりませんよね。
3)本部と店の仕事をそれぞれ体験できる制度を導入する
本部スタッフが店で実務体験をしたり、店のスタッフが本部の仕事を体験したりできる機会は、相互理解を進める上でとても効果的です。
一般的には店のスタッフの数の方が多い場合がほとんどですし、店が全国に展開されている場合もありますので、全員が参加できる制度ではありませんが、参加したスタッフの声を全社に共有する仕組みも併せて作っておくと良いでしょう。
4)店を主役にする場を設ける
直接的に利益を生み出しているのは店(間接的には本部も生み出していますが)ですので、店のスタッフの成功事例を全社にプレゼンする機会をつくったり、店のスタッフを本部の会議などに招き、現場の声を直接経営TOPに伝える機会を作ったりすることも良いアイデアです。
5)店スタッフを巻き込んで売出などの企画をする
顧客の声と毎日接しているのは店のスタッフですので、それらを活かしながら本部スタッフと店のスタッフが一緒に売出などの企画をすることも良いでしょう。
店のスタッフも単なるアイデア出しではなく、どうしたら売れるか、どのくらい売れるかという観点から責任ある提案をすることによって、本部スタッフとの一体感が養われていきます。
<後編に続きます>