世界的に見ても日本には老舗企業が多いと言われています。
そこで老舗企業の生き残り戦略を紐解いていきますと、大きくは2つの大切な考え方があることがわかります。
一つは、時を超えても変わらない本質的な価値を守り抜いていること、もう一つは、時代や環境に合わせて変化させることです。
変わらない本質的な価値とは、顧客視点の発想、地域貢献、業界最高クラスの技術など、自社のビジネスをしていく上で引き継がれていく会社のDNAとも言えるものです。
時代や環境に合わせて変化させることとは、顧客のニーズの変化、考え方の変化、不測事態などへの対応のように、固定概念にとらわれずに柔軟に対応することが必要とされるものです。
まさに「不易流行」ということですね。ではここで両方の考え方にでてくる時代について見てみましょう。今年2025年に予想される状況を踏まえて、あなたの会社の何を変えず、何を変えていくかを考えていきましょう。
◆2025年のキーワード◆
1.超高齢化の到来
2025年は人口の5人に1人が75歳以上の後期高齢者に、3人に1人が65歳以上の高齢者になり、本格的に超高齢化社会に突入します。
このことが店舗ビジネスに与える影響では、顧客の高齢化という面と働き手の高齢化という面の2つから対応を考える必要があります。
顧客の高齢化では、モノ欲求の減退、味覚の変化、行動範囲の縮小などが挙げられます。働き手の高齢化では、社内活力の低下、業務スピードの低下、言動のマンネリ化などの心配がありますね。
2.デジタル化の進行
業務の中で人からデジタルに置き換えられることが増え、益々デジタル化が進むことになります。
ここでは、道具としてのデジタルを使うことによって、顧客やスタッフがどれだけ便利になるかを考える必要があります。
日々新しいデジタルツールが開発され、市場に投入されていますが、必ずしも新しいもの=自社にとって便利なものとは限りませんので、良く吟味することが大切です。
例えば新しいコミュニケーションツールを導入したけれども、使いこなせなかったり、既存のものと併用されたりして、かえってコミュニケーションが取りにくくなってしまったなどは良く耳にします。
3.働き方の多様化
2019年に働き方改革関連法が施行されて以来、様々な働き方が広まっています。
今後も人手の確保と働き手の考え方の変化の両面から、新しい働き方が増えてくる可能性があります。
正規社員・非正規社員という雇用形態の違いだけではなく、長期・短期・単発という期間別の働き方であったり、雇用・業務委託という違いや本業・副業・兼業という働き方の違い、リカレントやリスキリング後に新しい業務についたり、別の会社に勤めるなど、会社と働き手のニーズのマッチングがうまくいけば、様々な働き方が今後もでてくると考えられます。
4.モノやサービス、コストの上昇
人件費や原材料の上昇が経営に与える影響は大きく、利益を圧迫しているという声は良く耳にします。
コストの上昇が原因で販売価格も上昇傾向が続くと考えられています。販売価格の上昇は、単にコスト上昇分を価格に転嫁するということは難しく、上昇した価格分だけ何らかの価値を一緒にあげないと、なかなか顧客には受け入れられない状況になっています。
価値を見直す良い機会でもありますので、自社で販売するモノやサービスの価値と価格について、精査してみるとよいでしょう。
5.リアルの価値の再認識
コロナ禍を経験して、リアル店舗でなくても受け取ることができるモノやサービスがあることが分かりました。
一方では、モノやサービスをリアル店舗で受け取りたいというニーズが再認識されてきていることも事実です。
但し気をつけなければいけないことは、顧客はコロナ禍以前とまったく同じようにモノやサービスを受け取りたいのではなく、リアル店舗でないと受け取れないもの、あるいはリアル店舗で受け取る方が良い購入体験になるものについて、リアル店舗で受け取りたいと思っているということです。
これは顧客の目がより厳しくなったとも言えることですので、リアル店舗であることの価値をもう一度整理しなおすことが大切ですね。