『店舗体幹®』を鍛えて利益重視の店舗経営へ
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目次

【経営者/経営幹部の方へ】

 

店舗経営に関する皆さまのお悩み解決をお手伝いいたします。

【経営者-1】ポスト新型コロナの店舗経営

【経営者-2】★社長の右腕&左腕の育て方

【経営者-3】★ブランディング経営の進め方

【経営者-4】★上長のためのビジネスコーチング

【経営者-5】★VUCA時代のPDCAサイクルとOODAループの使い方(その1)

【経営者-6】★VUCA時代のPDCAサイクルとOODAループの使い方(その2)

【経営者-7】企業理念の重要性とは

 

【経営幹部-1】★「指示待ち型人材」から「自立自走型人材」への脱皮

【経営幹部-2】★リーダーとマネージャーの違いは?

【経営幹部-3】★職場のface-to-faceコミュニケーションを円滑にする方法

【経営幹部-4】★間違わないチームビルディングの仕方

【経営幹部-5】★タイムマネジメントでアウトプットを最大化する

【経営幹部-6】★ロジカルシンキングをマネジメントに活かす

【経営幹部-7】★プロジェクトマネージャーになった時は

【経営幹部-8】★クチコミマーケティング

【経営幹部-9】★押さえておきたい人材育成の考え方

【経営幹部-10】★「出来ない」を「出来る」にするOJTの進め方

【経営幹部-11】★店舗経営は「仕組みづくり」と「ヒトづくり」を考える(秘訣1)

【経営幹部-12】★店舗経営は「仕組みづくり」と「ヒトづくり」を考える(秘訣2)

【経営幹部-13】★ホスピタリティレベルを向上させるには

【経営幹部-14】★多店舗マネジメント:組織体制の作り方(その1)

【経営幹部-15】★多店舗マネジメント:組織体制の作り方(その2)

【経営幹部-16】★多店舗マネジメント:店舗でのキャリアの作り方

【経営幹部-17】★多店舗マネジメント:店舗サポート部門でのキャリアの作り方

【経営幹部-18】★多店舗マネジメント:コミュニケーションルールの作り方(本部➡店舗)

【経営幹部-19】★多店舗マネジメント:店舗形態の使い分けとは

【経営幹部-20】★多店舗マネジメント:人材育成の視点(その1)

【経営幹部-21】★多店舗マネジメント:人材育成の視点(その2)

【経営幹部-22】★多店舗マネジメント:エリア内定例週間ミーティングの進め方

【経営幹部-23】★多店舗マネジメント:覆面調査の効果的な進め方

【経営幹部-24】★動機づけの仕組み:トータルリワードとは

【経営幹部-25】★動機づけの仕組み:効果的な褒め方・認め方・感謝の仕方

【経営幹部-26】★動機づけの仕組み:継続的な動機づけの源泉とは

【経営幹部-27】★ブランドコンセプトの再構築の仕方

【経営幹部-28】★ブランドコンセプトの顧客への訴求の仕方

【経営幹部-29】★ブランドコンセプトの社内への浸透の仕方

【経営幹部-30】★おもてなしの感性を磨くには(その1)

【経営幹部-31】★おもてなしの感性を磨くには(その2)

【経営幹部-32】★店舗経営の改善手順

【経営幹部-33】★店の強みとは

【経営幹部-34】★年度の店舗方針を決める(その1)

【経営幹部-35】★年度の店舗方針を決める(その2)

【経営者-1】★ポスト新型コロナの店舗経営

 2021年も半ばに差し掛かり、緊急事態宣言が発出され、まだまだ予断を許さない状況が続きそうですが、ここでは新型コロナの収束に向けての店舗経営の考え方をご説明いたします。

やがて来る新型コロナの収束時のために今から考えておくポイントは以下の3つです。

①必ず来るリバウンド消費に備える

②リアル店舗の新しい価値を創る

③集まる習性のための場を作る

 

①早晩、新型コロナは収束に向かいますが、それまでの抑制された生活・消費から解放されたい消費者は、新型コロナ以前の生活に少しずつ戻るのではなく、急激に外に出始めることが予想されます。それに伴って消費意欲も高まり、消費活動が一気に活発になることになります。

この消費者の動きに予め店舗経営側も備える必要があります。即ち、新型コロナの流行期を通して消費者の目がいくようになった安心・安全な商品/メニュー/サービスを新たに用意すること、更に新型コロナ流行期に縮小された店舗オペレーションを急激なリバウンド消費にも対応できるものに再度構築し直すことが必要になります。

 

②新型コロナの収束時期は、消費者の生活が単に元に戻るだけではなく、元の生活がいかに良かったか、大切なものだったかを消費者が再度実感し認識する時期でもあります。

それらの消費者に対しては、リアル店舗でしか味わえない臨場感を演出することはとても有効です。

例えば、商品/メニュー/サービスをその場で無料で試してもらう、実演するところを見てもらう、店内に人込みを意識的に作る、店内に香りを漂わせる、店内で顧客参加型の販促・イベントを行うなどはリアル店舗ならではの演出と言えます。

新型コロナの流行期にオンライン消費へ移行していたものの中で、「やっぱりリアル店舗がいいね」と思ってもらえる仕掛けを作ることはとても重要です。

 

③元々人は集まることが好きな習性がありますが、新型コロナによる緊急事態宣言の発出などにより、密を防ぐためにもなかなか集まることができませんでした。そのため当初はオンライン飲み会なども行われていましたが、その後それは家飲みや路上飲みに変わっていきました。

このように、人は集まって何かをすることに楽しみを感じる習性がありますので、店舗でも単に商品を買う/美味しいものを食べるだけではなく、集まりたいという欲求への提案をすることは有益なことと言えます。

例えば、店舗でトークショーを開催する、お客様が作った作品を店舗に展示する、家族で参加するイベントを開催するなどは店舗への新しい来店動機になると言えます。

ここで見てきましたように、新型コロナの流行の前後では、消費者の意識や行動が変化していますので、店舗経営もそれに対応して変わることが必須となります。

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経営者-2】★社長の右腕&左腕の育て方

事業の成長を目指すためには、頼りになる社長の右腕・左腕が欠かせません。ここでは社長の右腕・左腕を育てる時の考え方をご説明いたします。

 右腕・左腕の方が既に社内にいる場合でも、これから育てる場合でも、まずは大前提として会社のミッション・ビジョン・バリューが言語化されていることが必須です。

会社によってその呼称と意味合いは様々で、経営理念、経営方針、行動指針などの言葉が使われていることも多いですが、前提として必要なことは、会社や事業は何のために存在しているのか、現在から将来にかけてどのような姿になっていたいか、会社として大事にしていることは何か、がそれぞれ言語化されているということです。

その前提の上で、右腕・左腕を育てるための基本的な方針としては、右腕・左腕を「社長が育てるつもりで育てる」ということです。時々「優秀な人材はかってに育つものだ」ということを耳にすることがありますが、そのこと自体は間違いではありませんが、より早く、より社長の期待通りに育っていただくためには、社長が育てる意思を持って育てることが大事です。

前提、基本方針まで確認できましたら、いよいよ右腕・左腕の育て方を見ていきましょう。そのポイントは次の3つです。

①社長と右腕・左腕の各役割を決めた上で、3人の権限と責任範囲を明確にする

②顕在化している問題(目の前の問題)とその背後にある問題(本質的な問題)を見極める力を養っていただく

③会社全体が具体的に動ける行動計画(進捗管理も含めて)を立てることが出来る力を養っていただく

 

①については、TOP3人の誰がどこまでの最終決断を下せるかが曖昧になっていることがよくあります。全てのことに社長の最終決断が必要であったり、最終責任者(1人)が誰であるかが不明であったりすることなどは避けなければなりません。

 

②は問題に対する解決策を考える際、顕在化している問題には対症療法的な解決策を、背後にある本質的な問題には原因療法的な解決策が取られることが多いですが、現実的には対症療法的な解決策の実施をしていることがほとんどではないでしょうか。

それ自体は決して間違いではありませんが、本質的な問題を解決しない限り、また同様の問題が起きたり、違う店舗や部署で同じことが起きたりすることになりかねません。顕在化した問題が起きた時には、目の前の問題の対処と同時に、その問題の本質的な問題を探り当て、その問題の解決も図っていくことが求められます。

 

③については、「●●●を向上させよう!」などの声掛けまでは出来るものの、それを達成するために従業員が具体的にどう動けば良いかが分からず、結局声掛けだけに終わってしまうケースも良く耳にします。

右腕・左腕の方には、どのような声掛けにするかだけではなく、それを達成するための具体的な行動プランまで落とし込んでから社内に発信していただきたいですね。事業の成長を目指すためには、頼りになる社長の右腕・左腕が欠かせません。ここでは社長の右腕・左腕を育てる時の考え方をご説明いたします。

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【経営者-3】★ブランディング経営の進め方

「ブランドは一日にしてならず」とよく言われますが、だからこそブランディングの要所は押さえておきたいところです。ここではブランディングの進め方をご説明いたします。

ブランディングを進めていく時のステップは次のとおりです。

Step 1:ブランド『らしさ』を言語化する

Step 2:ブランド『らしさ』の一貫性を保つ

Step 3:顧客との接点を管理する

 

Step 1:ブランディングの出発点は、ブランドを顧客にどう思って欲しいか、どう言って欲しいかを言語化することから始まります。

それはブランド『らしさ』と言い換えることもでき、ブランドとして大切にしていることを表します。通常は3~5つ位にまとめると良いでしょう。

例えば、「フレンドリー」「専門性」「新鮮」「職人技」「ライブ感」「高品質」「高級感」「発見」「おもてなし精神」など様々なものがあります。

まだ言語化されていないようでしたら、社史、創業者・歴代代表者の言葉、社員がよく口にしていること、顧客・取引先の評判などを一度集めてみることも良いと思います。

ここで注意したい点として、これらのブランド『らしさ』は、特に競合ブランドのそれと比べてみる必要があります。

何故ならば、競合ブランドが同じ『らしさ』を訴求している場合は、顧客から見て競合ブランドとの訴求点が同じになり、単にブランド名が違う同じような商品やサービスになってしまい、自ブランドの魅力が分かり難くなってしまう可能性があるからです。

 

Step 2:ブランド『らしさ』の一貫性と保つとは、主に時間的一貫性、場所的一貫性、人的一貫性を保たなければなりません。

例えばブランド『らしさ』の一つが【フレンドリー】だった場合、接客のフレンドリーさが「先月はフレンドリーだったけれども、今日はなんとなく事務的な感じがした」という場合は時間的な一貫性が保たれていないと言えます。

また、「A店ではいつもフレンドリーな接客ですが、B店ではいつも元気がなく暗い感じの接客です」は場所的な一貫性がなく、「Cさんはいつもフレンドリーな接客ですが、Dさんはいつも暗い感じの接客です」は人的な一貫性がないと言えます。

顧客から見て、いつ何処でも誰とでも【フレンドリー】な接客に触れることができて初めて一貫性が保たれ、ブランドの信頼度も上がると言えます。

 

Step 3:顧客がブランドに触れる場は商品やサービスだけではありません。Webサイトや広告、店頭ウィンドウ、店頭ポスター/看板、店内什器/テーブル/施設、店内音楽、接客、陳列、コスチューム、メニュー/販促用パンフレット/チラシ、ショッピングバッグ、イベントの内容など、全てがブランドと顧客の接点になります。

これらの接点でブランド『らしさ』が適切に伝えられていることは、とても大切なことです。例えばWebのコンテンツを更新する時も、顧客が見やすく読みやすく作られているかという視点は、ユーザー【フレンドリー】という点で欠かせません。

また、商品の陳列が手に取り易くなっているか、セットメニューの写真と価格は分かり易くなっているか、サービスコースのパンフレットは分かり易くなっているかなども【フレンドリー】を訴求するための大切なポイントとなります。

 

このようにブランド『らしさ』を訴求し続けることがブランディングのポイントになりますが、顧客にブランド『らしさ』を感じてもらうためにはかなり時間もかかることを認識しておきましょう。

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【経営者-4】★上長のためのビジネスコーチング

コーチングの時、上長が守るべき3つのことは、①指示しない ②否定しない ③答えを言わないです。このことを踏まえた上で、ここでは上長が部下に対して、ビジネスの場でコーチングを行う効果的な方法をご説明いたします。

ビジネスコーチングをする上で重要なことは、次のようなコーチング・サイクルを念頭において進めることです。

Step1:部下の困っていること、課題を洗い出す

Step2:部下の困っていること、課題の背景・原因を明らかにする

Step3:部下に解決策を自分で考え、自分で決めてもらう

Step4:部下に解決策を実行してもらう

Step5:部下に実行したことを振り返ってもらう

Step1へ進み繰り返す ※サイクルを回し続けるというイメージです

 

Step1:部下が困っていることや直面している課題などを、まずは部下に洗い出してもらいます。できれば口頭だけでなく、メモやホワイトボードなどに書いて視覚化してみましょう。視覚化することによって、内容の整理ができたり、課題どうしの関係性が見えてきたりします。

また、部下が気づいていない課題がある場合は、その課題を伝えるのではなく、その課題に気づけるような質問をしてあげましょう。

 

Step2:部下が困っていることや直面している課題の背景や原因を部下に掘り下げてもらいましょう。上長としては、5WH型の質問をしてその問題の姿を見える化してあげると良いでしょう。

問題の背景や原因を明確にしておくことは、この後のStep3で解決策を考える時にとても役に立ちます。決してStep1の問題からすぐにStep3の解決策の検討に進まないように気を付けて欲しいです。

Step1からStep3に進んだ場合には、解決策が対症療法的な表面的な解決策になりやすいためです。問題の解決には、その背景や原因を探って、出来るだけ原因療法的な根本的な解決策を見つけ出せるようにしてあげましょう。

 

Step3:課題とその背景や原因が明らかになりましたら、いよいよその解決策の検討に入ります。部下が出来るだけ色々な角度から解決策のアイデアが出せるように、異なる視点からの解決策へのアプローチ方法も提示してあげると良いでしょう。

最終的にどの解決策にするかも部下に決めてもらいましょう。その際、その解決策を選んだ理由も明らかにしておくと、振り返りの際に役に立つでしょう。

 

Step4:部下に決めてもらった解決策を実行してもらいます。始める前に振り返る時期も決めておきましょう。

また、部下が実行している間は、進捗は見ていなくてはいけませんが、それに対する細かい指示を出すことは控えましょう。何か進行上の問題があるようでしたら、部下がそれに気づくようなフィードバックをする程度で良いでしょう。

 

Step5:予め決めておいた振り返り時期に、解決策を実行した結果(又は途中経過)を部下と一緒に振り返ってみましょう。結果の良し悪しだけでなく、そのプロセスについても充分時間をかけると良いでしょう。

ここで振り返った内容をもとに、次の課題(まだ課題が解決しきれていない、別の優先すべき課題が見えてきたなど)について部下に話してもらい、次のサイクルに入ってもらいましょう。

 

このようにビジネスコーチングは、コーチング・サイクルを意識しながら進めることによって、部下の意思で課題解決ができるという有意義なスキルと言えます。

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 【経営者-5】★VUCA時代のPDCAサイクルとOODAループの使い方(その1)

現在はVUCA時代と言われていますが、VUCA時代に適応するためのマネジメント手法を身につける必要があります。

ここでは、PDCAサイクルとOODAループの使い方についてご説明いたします。

 

使い方の秘訣は以下のとおりです。

秘訣1:VUCAと2つのマネジメント手法

秘訣2:PDCAOODAの長所・短所と使い方

 

秘訣1-1:VUCAとは何か

VUCAとは、次の言葉の頭文字をとった造語です。

V: Volatility(変動性)

U: Uncertainty(不確実性)

C: Complexity(複雑性)

A: Ambiguity(曖昧性)

 

元々は軍事用語として使われていましたが、ビジネスにおいても、マーケットの変化が激しく、将来の見通しが立てにくい状況を指して近年使われることが多くなってきました。

 

VUCA時代において各企業が直面する課題の特徴としては、次のようなことが挙げられます。

①正解が分からない状況、見えにくい状況での判断が求められる

②予測不能な事態が起きて、計画を変更せざるを得ないことが頻発する

③従来の経営手法だけでは通用しないことが増える

④今までにない顧客ニーズの変化が起こる

⑤不安やストレスが増えて消費マインドが冷え込む

 

今までにもマーケットの変化は常に起きていましたが、近年の変化が以前と何が違うかといいますと、より変化のスピードが速くなっていること、変化の内容が予測不能になっていること、変化を起こしている要因が益々多岐にわたっていることなどが挙げられます。

 

更に、このようなVUCAの状況に対応できる企業内の仕組みやヒトの意識が充分に追いついていないという課題も浮き彫りになってきています。

 

秘訣1-2:PDCAサイクルとOODAループとは

従来のPDCAサイクルに加えて、近年OODAループというマネジメント手法にも注目が集まっています。このOODAループが注目を浴びるようになった背景には、VUCA時代において、著しい変化になるべく早く対応する必要性が益々増してきたという事情があるといえるでしょう。

 

ここではまずPDCAサイクルとOODAループとは何かを、再度振り返っておきましょう。

PDCAサイクル>

PDCAとは、Plan(計画する)-Do(実行する)-Check(評価する)―Act(改善する)というマネジメントサイクルを指し、より大きな成果を出すために、そして継続的に成果を出すために、このサイクルを回し続けるというマネジメント手法です。

短期のものは週単位のPDCAから、中長期では四半期、半期、年度、3か年、5か年など、サイクルの長さも必要に応じて設定することができます。

 

OODAループ>

OODAとは、Observe(観察する)-Orient(判断する)-Decide(意思決定する)-Act(実行する)というマネジメントループを指します。

より外的要因の変化に柔軟に対応できるように、状況の変化に合わせてループの前のステップに途中で戻ったり、最初からやり直したりすることが臨機応変にできるマネジメント手法です。

従って、ループの長さ(期間)はPDCAに比べて短く、長くても1ヶ月以内のものが多くなります。

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【経営者-6】★VUCA時代のPDCAサイクルとOODAループの使い方(その2)

現在はVUCA時代と言われていますが、VUCA時代に適応するためのマネジメント手法を身につける必要があります。

ここでは、PDCAサイクルとOODAループの使い方についてご説明いたします。

 

使い方の秘訣は以下のとおりです。

秘訣1:VUCAと2つのマネジメント手法

秘訣2:PDCAOODAの長所・短所と使い方

 

秘訣2-1:PDCAサイクルとOODAループの長所・短所とは

PDCAサイクルとOODAループは、それぞれ異なった特徴を持ったマネジメント手法ですので、それぞれの長所と短所を整理しておきましょう。

 

PDCAサイクルは、元々品質管理の考え方として提唱されたもので、その後ビジネス全般に広まり、現在では業務プロセスの改善、計画的な業務の進捗管理などの手法として使われています。そのような背景をもとにPDCAサイクルの長所と短所は次のように整理することができます。

<長所>

・中長期的な視点を持って業務の計画を立てることができる

・計画に対しての業務の進捗の管理ができる

・業務の本質的な課題を探求することができ、原因療法的な対策を立てることができる

・期間軸を短期(週単位)~中長期(35年単位など)にまで設定することができ、汎用性が高い

<短所>

・中長期の計画に使われることが多いため、意思決定に時間がかかりやすい

・マーケットに著しい変化が起きた時には、大きな計画変更が必要となり、計画の修正に時間がかかりやすい

・目の前にある問題を、取り急ぎ素早く解決することには向いていない

 

OODAループは、元々軍事理論として提唱されたものですが、近年ビジネスを取り巻く環境の変化が激しくなり、より早い意思決定~実行が求められていることから、ビジネスにも転用できる理論として注目を集めています。そのような背景をもとにOODAループの長所と短所は次のように整理することができます。

<長所>

・意思決定が早いので、著しい変化に素早く対応することができる

・早い意思決定と実行により、早く結果を得ることができ、次のループに短期間で活かすことができる

・状況の観察がループのスタートのため、状況が変わればループのどこにいる段階でも最初の観察に戻ってやり直すことが容易にできる

<短所>

・目の前の課題への対処が中心になるため、対症療法的な判断や解決策になりやすい。その結果、同じような問題が何度も起きる可能性がある

・中長期的な視点を持ちにくいため、本来の事業の目的・方向とズレてきてしまう可能性がある(中長期的な対応には向いていない)

・意思決定~実行のスピードを重視しているため、充分な観察ができていないこともあり、実行した結果が失敗する確率も高くなる可能性がある

 

秘訣2-2:2つのマネジメント手法の効果的な使い方

企業を取り巻く環境は益々厳しくなっていますが、だからこそこの2つのマネジメント手法を駆使することが必要になってきます。

変化の激しい時代では、PDCAサイクルよりもOODAループを使うと良いと言われることもありますが、この2つのマネジメント手法はどちらかを使うのではなく、状況に合わせて使い分けるということが大事です。

使い分けのひとつの目安としては、現場で素早い対応が必要な案件についてはOODAループを使い、中長期的な計画や業務の仕組みづくり、人材育成などにはPDCAサイクルを使うといった具合です。

 

また、OODAループを使った時は、早く結果を得ることができるため、その結果を評価(Check)して改善(Act)した上で、その後はC-Aを繰り返し、より良い成果に結びつけていくということが大事です。即ち、異なるOODAループを数打つのではなく、OODACACACAというPDCAサイクルとOODAループのミックス型が効果的ということです。

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【経営者-7】★企業理念の重要性とは

企業が成長し、それに伴って組織も大きくなってきた時に、改めて企業理念を策定する必要に迫られる時があります。創業期から成長期への移行時、時代の変化に対応するための第2創業期への移行時などに改めて企業理念を言語化する必要がでてくる場合があります。

ここでは、企業理念の重要性についてご説明いたします。

 

1.企業理念とは

企業理念とは、企業活動をする上で根幹をなす価値観や考え方のことを指します。一般的には、企業理念はミッション・ビジョン・バリューという形で構成されることが多いです。

ミッション(使命)とは、何故その企業が存在しているのか、何を目的に経営を行うのかを表したものです。ビジョン(未来像)とは、その企業の将来のあるべき姿をイメージしやすいように表現したもののことです。また、バリュー(価値)とは、ミッションやビジョンを実現していくための行動指針や取り組み姿勢などを言語化したものです。

このほかに、ミッション・ビジョン・バリューという3つの主要な考え方を広く顧客に伝える手段としてスローガンを作っていたり、社内の従業員の行動のあり方をまとめた行動規範などを策定していたりする企業もあります。

 

2.企業理念と経営理念の違いとは

企業理念とよく似た言葉に経営理念という言葉がありますので、その違いをしっかりと認識しておきましょう。

企業理念とは、企業として大事にしてきたもの、今後も大事にしていくものを表しているのに対して、経営理念とは、経営者自信が大事にしている価値観や想いを表したものと言えます。従って、経営者が交代した場合でも企業としての変わらない姿勢が企業理念であり、経営者が交代すると変わる可能性があるものが経営理念ということができます。

 

3.企業理念を策定するメリットとは

企業理念は経営者の交代により変わるものではありませんが、時代の著しい変化や人の意識の大きな変化、企業の成長に伴う企業ができることの変化などに適応して、企業理念を見直す必要性が高まることがあります。

このような大きな変化に合わせて企業理念を再度策定するメリットは以下のとおりです。

①企業理念は顧客に対して企業の方向性を宣言することですので、顧客に対しての約束と考えることができます。この企業理念に沿って企業活動をすることによって、企業の信用が高まり、同時に企業の価値が高まります。

②企業理念を掲げることにより、従業員の思考や行動に一貫性が保たれ、同じ目標に向かっていく良いチームビルディングができる可能性が高まります。企業活動でも様々な困難に直面することもありますが、企業としての拠り所となる企業理念がしっかりしていれば、従業員はぶれずに考えて行動することができます。

③企業理念が浸透することによって、従業員の帰属意識が高まると共に、何のために働いているのかということを自覚でき、モチベーションの向上も図られます。このことにより、従業員の生産性も高まり、ひいては業績の向上にも結びつきます。

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経営幹部-1】★「指示待ち型人材」から「自律自走型人材」への脱皮

チームメンバーが指示待ち型人材ですと、いつも指示しないと動けなくなっていたり、指示以上のことがなかなか実現できなかったりします。

ここではどのようにして指示待ち型人材から自律自走型人材に変わってもらうかをご説明いたします。

指示待ち型人材から自律自走型人材へ変える時のポイントは次の3つです。

①「あなたの意見」を必ず聞く

②小さな挑戦を数多く与える

③本人の得意なことを活かす

 

①指示待ち型人材からの典型的な相談で、「~はどうしましょうか?」というものがあります。これは普段から指示されたことだけを実行するというクセがついているために、自分の思考が滞っている状態です。

このような時は、すぐに指示をするのではなく、「あなたはどう思うの?」「それはどうして?」と聞いてあげることが大事です。そして次回からは「~はどうしましょうか?私はこの理由でこう思うのですが」のように提案するように言ってあげましょう。

これが出来るようになりましたら、ケースによっては代替案を3つ位事前に考えてくるように言ってあげますと、更に自律自走型の仕事の進め方になってくるでしょう。

 

②既存の業務を進める時は、新しいやり方を考える必要がありませんので、自律自走型の思考になってもらうためには、小さくてもよいので新しいやり方を考えなければ出来ない仕事を数多くこなしてもらうことが効果的です。

それは本人にとって全く新しいことでもいいですし、既存のものを改善することでもいいので、数多くの小さな挑戦をしてもらいましょう。

その際、上長としてはあくまでも相談者になることが大事で、決してやるべきことの回答者(指示者)にならないようにすることが肝要です。

 

③誰でも業務の中で得意な(好きな)分野があるものです。商品/メニュー開発が得意な人、接客が得意な人、ディスプレイが得意な人、ITに詳しい人、デザインを勉強してきた人、アイデア出しが好きな人など、人それぞれの得意分野がありますが、それらを活かさない手はないですね。

人は自分の得意な分野は、自分で考え自分から進んで動けますし、良い結果も出やすくなりますので、得意なことを活かした仕事を、チームの中でリーダーとして進めてもらいましょう。

チームリーダーになると、自分だけではなくチームとして動くことも考えなければなりませんので、自律自走型人材へ向けての良い機会になるはずです。

 

このように、指示待ち型人材でも自分で考え、自分で行動する機会を多く経験してもらうことによって、自律自走型人材へ徐々に脱皮していくことができます。上長としては、その脱皮を暖かくサポートしてあげましょう。

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【経営幹部-2】★リーダーとマネージャーの違いは?

日常的に使われているリーダー、マネージャーという言葉。実際の肩書としても使われていますが、ここではその役割の違いについてご説明いたします。

 それぞれの役割の違いを見ていくポイントは次の3つです。

①仕組みに対する考え方

②ゴール・方向性に対する考え方

③リスクに対する考え方

 

①経営上・業務上の仕組みは大小様々なものがありますが、リーダーは新たな仕組みを創り上げる現状を改革していくという役割になります。

例えば、前例のない社内プロジェクトをゼロから立ち上げて結果を出すこと、コスト削減に関する従業員の意識改革をするなどはこれに当たります。

一方でマネージャーは、既存の仕組みを標準化していく、現状をより良い仕組みに改善するという役割になります。

例えば、本部への同じ報告業務の仕方がエリアごとに違っているものを、報告用フォーマットを統一して効率化を図ること、各店の成功事例を口頭でシェアしていたものをアプリや社内イントラネットで共有し、いつでも見られるようにすることなどはこれに当たります。

 

②リーダーの視点は、どちらかと言うと中長期的な視点と言え、1年先、3年先などを念頭にビジョン(組織のあるべき姿)を作成するという役割があります。

例えば、3年以内にキャッシュレス会計のみの都心型店舗を10店舗オープンする、3年以内に店舗数100店舗、売上100億円を達成するなどはこれに当たります。

一方でマネージャーの視点は短期的な視点と言え、日常的なものから1年以内のゴール(目標)の設定をする役割があります。

例えば、直近1年の各従業員の個人目標を設定する、全店の店舗スタッフの接客レベルを向上させるために既存の接客研修を全員に受講させるなどはこれに当たります。

 

③ビジネス上のリスクはゼロには出来ないものですが、リーダーはリスクを負ってでも前進するという役割があります。①でご説明しました新しいものの創造や改革には、相応のリスクがありますが、それでも物事を前進させるということがリーダーの行動になります。

例えば、多くの賛成が得られない人事異動や昇進も、現状打破のために必要だという自己判断を信じて実施すること、コストをかけてでも新しい販促手段を使って集客を図ることなどはこれに当たります。

一方でマネージャーは、予想されるリスクを可能な限り回避したり低減させたりして、リスクを管理するという役割があります。

例えば、レジの効率化を進める際に、レジの機能、導入コスト、オペレーションの負担度、効率化の効果などを検討し導入の可否を決めること、イベントの集客人員予測に沿ってイベント会場の混乱を避けるためのオペレーションを決めるなどはこれに当たります。 

 

このようにリーダーとマネージャーの役割には違いがありますが、各人がどちらのタイプに当たるかということではなく、誰もがリーダーの役割を担う時もあり、マネージャーの役割を担う時もあると認識することが重要です。ケースバイケースで両方の役割を使い分けることが大事だということですね。

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【経営幹部-3】★職場のface-to-faceコミュニケーションを円滑にする方法

業務を進める上で、職場内のコミュニケーションは欠かせません。その手段としては、口頭、メール、電話、アプリ、イントラネットなど多岐に亘りますが、ここでは最も機会が多い口頭でのface-to-faceコミュニケーションの取り方をご説明いたします。

 

face-to-faceのコミュニケーションのポイントは次の7つになります。

①コミュニケーションは2-wayでする(キャッチボール型で)

②コンスタントにコミュニケーションをとる

③自分から声を掛ける

④理由もなく否定しない(ダメ出ししない)

⑤一人ひとりを主人公にする

⑥頼りにする(相談する、意見を聞く)

⑦挨拶する/感謝する

 

①コミュニケーションは一方的にメッセージを出せば良いのではなく、継続的な双方向のやり取りをすることが基本です。また、キャッチボールが相手の取り易いところにボールを投げるのと同じように、相手の理解しやすいようなメッセージを送ることもとても重要です。

 

②コミュニケーションは日常的なものですので、仕事に関連したことも雑談のようなこともコンスタントに職場のメンバーと話すことが大切です。今週はあまり会話を交わすことがなかったなどということがないようにしましょう。

 

③「自分から話すことはなく、部下から報連相をするべきだ」という発想ではなく、自分から先に声を掛けるように心掛けると良いでしょう。コミュニケーションは待ちの姿勢ではなく、積極的な姿勢で臨みましょう。

 

④ただ理由もなく相手の意見を否定することは建設的ではありませんので、相手の意見に同意できない場合は、その理由を明確に説明してあげると良いでしょう。何事も「ダメ出し」だけではモチベーションは上がりません。

 

⑤各チームメンバーが担当している業務は、そのチームメンバーが一番よく知っています。チームメンバーに担当業務の進行状況や課題などをシェアしてもらう場を作りましょう。主人公になったチームメンバーは進んで話してくれるでしょう。

 

⑥上司が全ての業務について部下より知っていたり、実行できたりするわけではありません。また、異なる視点で物事を見ることもとても大事なことですので、チームメンバーに相談したり意見を聞いたりしてみましょう。

 

⑦チームメンバーと挨拶することや感謝の言葉を伝えることは、気持ちよく一緒に仕事をする上でとても大切な行動です。全てのコミュニケーションの基本マナーとも言えることですので、積極的に発信していきましょう。

 

このように職場のコミュニケーションを円滑にする方法は、日ごろの小さな習慣の積み重ねです。是非取り入れて実行していきましょう。

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【経営幹部-4】 ★間違わないチームビルディングの仕方

チームビルディングとはチームワークを向上させることですが、店舗ビジネスでは良好なチームワークは欠かせません。ここではチームワーク向上の考え方をご説明いたします。 

チームワークを向上させるためのポイントは次の3つです。

①チームの目標を明確にする

②チームメンバーがお互い協力し合う

③チームメンバーとの普段のコミュニケーションを絶やさない 

 

①チームワークで気を付けなければいけないことの一つが、「チームワーク向上=仲良くなる」という誤解です。仲が良くなるということは、チームで仕事をして、その結果として仲が良くなることはあり得ますが、チームワークを向上させるために仲良くなることが必要ということではありません。

チームワークを向上させる時に必ず必要なことは、チームの目標を明確にして共有するということです。それは短期的な目標でも中長期的な目標でも同じです。チームメンバー全員が同じ方向を見て仕事をするからこそ、チームワークが必要となり、やり遂げることでチームワークが向上するということになります。 

 

②チームメンバーは同じ目標に向かって仕事をしますが、店舗ビジネスにおいては一人ひとりの仕事が完全に独立していることは稀で、大なり小なり他のメンバーと連携しながら仕事をしていることがほとんどです。それは店舗内のメンバー間でもそうですし、店舗⇔店舗や店舗⇔本部、店舗⇔お取引先会社などでも連携しています。

ここで大事なことは、仕事でより良い結果に繋げるためには、いつも同じ片方から他方へというOne-wayの連携だけでは良い結果に結び付き難いですので、お互いに協力し合うというTwo-wayの連携を心掛けることがチームワーク向上には必要になります。また、お互いに協力するということは、他方が出来ないことをしてあげるだけでなく、他方にとって有益な情報を伝えることやアイデアを一緒に出し合うことなども含まれます。 

 

③チームワークの向上のためには、目標の共有を初め、具体的な行動や進捗の共有、問題に関するディスカッションなど、チームメンバー間のコミュニケーションが必須となります。ここでもよくある誤解で、チームメンバー間のコミュニケーションを良くするためにミーティングを開くということをよく耳にします。

ミーティングを開くこと自体は間違っていませんが、チームメンバー間のコミュニケーションを良くするためには、普段の会話の数を増やしていくことがとても大事です。それは挨拶もそうですし、小さな報告・連絡・相談や軽い雑談なども含まれます。普段会話をあまりしていないメンバー同士が、ミーティングの中で活発に発言し合えるということは極々稀なケースだと思った方が良いでしょう。

 

このようにチームワークの向上には、達成すべき目標が共有されていて、その目標達成のためにお互いがコミュニケーションを取りながら協力し合うということが大切です。是非皆さまの店舗でもより良いチームワークになれるようこのことを実践してみましょう。

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【経営幹部-5】★タイムマネジメントでアウトプットを最大化する

タイムマネジメントは単にスケジュール管理をすることではありません。業務のアウトプットを最大化するためにタイムマネジメントをするというように、常にアウトプットを意識することが大事です。ここではタイムマネジメントの考え方をご説明いたします。

アウトプット最大化のためのタイムマネジメントのポイントは次の3つです。

①予定を言語化・可視化する

②優先順位を付ける

③まずは60点を目指してすぐに取り掛かる

 

①タイムマネジメントの第1歩は、業務を言語化・可視化することから始めます。その基本的な期間は1週間が良いでしょう。

まず週の初めにその週にやるべきことをリストアップしていきましょう。毎週同じ時間にこの作業の時間を設定して習慣づけることが大事です。

業務を言語化・可視化する際に気を付けたいことは、「~を検討する」だけではなく、達成した時のゴールが具体的に見えるようにしておくことです。例えば「~を検討する」ではなく「~の実施案を3つ作成する」とか、「~を早急に実施する」ではなく「~を今週の木曜日までに実施する」などのように具体的なゴールを設定するようにしましょう。

 

②業務の優先順位をつけて実行に移しましょう。優先順位をつける時には、業務の重要度と緊急度を考慮しながら優先順位をつけると良いでしょう。

●緊急度高&重要度高:今すぐにやるべき重要案件ですので、優先順位は一番になります。

●緊急度高&重要度低:今すぐにやるべきですが、あまり重要ではない案件です。緊急度が高いので優先順位は二番ですが、時間をかけずに案件を処理し、この業務が今後増えないようにする対策も講じておきましょう。

●緊急度低&重要度高:今すぐに出来ることではありませんが、重要度が高いものですので、中長期的な視点で考える必要があります。優先順位は三番ですが、中長期的な重要事項ですので、今から継続的に取り組むということが必要になります。

●緊急度低&重要度低:急ぎでもなく重要でもない業務ですので、優先順位は四番です。出来る限り少ない時間で処理する方法を見つけて、効率よく進めることが必要です。

ここで特に気をつけたいことは、緊急度低&重要度高の業務は、日ごろの忙しさに紛れてなかなか考える時間が取れないことが多いということです。

ここに入る業務としては、例えば、店舗人材のマネジメント力の向上、業務の標準化の仕組みづくりなどです。

これらの緊急度が低いというのは、今すぐやらなくてもよいという意味ではなく、時間をかけないとゴールに達成できないものということですので、ゴールが設定できればすぐにでもゴール達成のための実行プランはやり始めなければなりません。

 

③初めから合格点のものを作ることを目指すのではなく、60点を目指すでもいいのですぐに動き始めるということがとても大切です。

動き始めた後に、動きながら考え、動きながら修正していくということが、結果的には効率よく業務が進むことになります。

今の時代は変化のスピードが益々速くなっており、仕事のスピードも求められているということを常に頭に置いておきましょう。

 

このように、タイムマネジメントはアウトプットするための手段ですので、各自の時間を効果的に活用することがとても大切ですね。

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【経営幹部-6】★ロジカルシンキングをマネジメントに活かす

ロジカルシンキングは、実際のマネジメントに活かしてこそ役に立つツールと言えます。ここではロジカルマネジメントの考え方と使い方をご説明いたします。

ロジカルシンキングの基本的なポイントは次の2点です。

①課題の整理のために必要な「枠組みの全体像」は何か

②根拠と結論=こうだからこうである、という筋道があるか

 

①「枠組みの全体像」が何かを把握することが何故必要かといいますと、課題の整理をする際に、考えておくべきことにモレがないようにするためです。また、②については、結論に対する納得性を高めるために必須のことと言えます。

例えば、「先月の売上が前年実績に達しなかったことの原因を探る」という課題の場合、枠組みの全体像としての例をいくつかあげてみましょう。

1)売上=客数×客単価 ※客数が下がったのか、客単価が下がったのか、その両方が下がったのか

2)売上=A商品群+B商品群+C商品群 ※どの商品群の売上が不振だったのか

3)売上=新規顧客の売上+既存顧客の売上 ※どちらの顧客の売上が不振だったのか

4)競合店の販売状況=告知、販売促進、人員、新商品/メニュー、接客、VMDなど、は前年と比べてどうだったのか

5)自店の販売力=告知、販売促進、人員、新商品/メニュー、接客、VMDなど、は前年と比べてどうだったのか

6)顧客の購買動向=景気・災害・天候・コロナ・オリンピックなどの国民的行事などによる消費意欲、は前年と比べてどうだったのか

これらの枠組みの中から、前年実績に達しなかった理由を説明できる枠組みを見つけ出し、必要であれば更にその原因を深掘りしていく(原因の原因)ことになります。

そして最終的には、これが原因で売上が不振だったというように、根拠のある結論を提示していくことにより納得性が高まることになります。

 

一方で、ロジカルマネジメントの留意点として次のことを認識しておくと良いでしょう。

即ち、ビジネス上の課題に対する解決策は決して1つとは限らず、むしろ多くの解決策があり、ロジカルマネジメントはその解決策の中で自分の正解をロジカルに導き出すためのツールであるということです。

場合によっては、貴方と他のチームメンバーがそれぞれ異なる解決策に辿り着き、どちらもロジカルに導き出されたものであるということは起こり得ることです。そのような場合は、どちらが正しいかではなく(どちらも正解ですので)、どちらがより納得性が高いか、より解決の実現性が高いかで決めると良いでしょう。

 

このようにロジカルマネジメントは、様々な課題に対して、より納得性の高い解決策を導き出すツールとしてとても役に立つものです。ロジカルマネジメントは決して難しいものではありませんので、身近な課題からすぐに取り組んでみましょう。

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【経営幹部-7】★プロジェクトマネージャーになった時は

プロジェクトには、短期のもの/中長期のもの、単発のもの/継続のものなど、様々な形態がありますが、プロジェクトの進行管理者としてプロジェクトマネージャーは重要なポジションです。

ここではスムースなプロジェクト進行のためのプロジェクトマネージャーの役割についてご説明いたします。

 

プロジェクトマネージャーの重要な役割は次の3つです。

①プロジェクト全体の進行を管理する

②タスクごとの責任者を指名し、常に進行状況の情報を共有する

③組織横断的なコミュニケーションを円滑に行う

 

①プロジェクト進行のステップは、Step1)目標とタスク(やること)を明確にする、Step2)スケジュール(プロセス)管理をする、Step3)目標(成果物)に到達させる、のように進めていきます。

 例えば「新店のオープン」が目標の場合は、それに必要なタスクをまず洗い出します。店舗内装・外装工事の手配、店舗什器の手配、商品・料理の決定、人員の採用・教育、告知の準備、物流の手配等々、やるべきことをリストアップします。

次に、今日から新店オープンまでの期間(場合によってはオープン後オペレーションが落ち着くまでの期間)に、上記のタスクをスケジュールに落とし込み、動き始めた後も遅れやモレなどがないかをチェックします。

最後に、新店オープン日に予定していたものがきちんと出来上がっているかを確認します。もしこのオープン時に期待していたレベルには達していないタスクがあった場合は、リスト化して、当該責任者に引き継ぐことが必要です。

 

②各タスクは通常多岐にわたっていますので、タスクごとに責任者を1名指名しておくと良いでしょう。別タスクとの兼任や1つのタスクに2名の責任者を置くなどは、責任の所在があいまいになり易いので注意が必要です。

※この場合のタスクとは、店舗什器の手配に1人の責任者、告知の準備に1人の責任者といった感じです

また、各タスクの責任者間では、常に最新の情報がシェアされていることが必要ですので、ミーティングだけではなく、ファイル共有アプリや社内イントラなども有効に活用していくと良いでしょう。

 

③プロジェクトは大抵の場合、組織横断的なメンバーでタスクを進めることになりますので、時には各組織の利益とプロジェクトの利益という点で相反することが起きることも充分にあり得ます。

例えば、各組織のタスクとプロジェクトのタスクの時期が重なり、どちらを優先してやるかなどはそれに当たります。

このような時は、プロジェクトのタスク責任者とよくコミュニケーションをとることが大切です。それぞれのタスク納期はいつで、納期に間に合うようにする案はどのようなものがあり、納期の変更は可能なのか、納期が遅れた場合の他のスケジュールへの影響などをディスカッションして、双方にとって良い解決策を探さなくてはなりません。

 

このように、プロジェクトマネージャーは、プロジェクト全体の責任者として、各組織間の調整を図りつつ、遅れることなくプロジェクトの目標を達成することが求められています。

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【経営幹部-8】★クチコミマーケティング

クチコミは商品やサービスを広めていく上で欠かすことができない販促手段です。クチコミを直接コントロールすることは難しいですが、クチコミ対策として、ここでは顧客(個人)から自然発生的に発信されるクチコミの対策についてご説明いたします。

クチコミ対策としてのポイントは次の3つです。

①クチコミされる対象を確認する

②クチコミ内容の特徴を押える

③クチコミは対象と特徴の掛け算と心得る

 

①通常クチコミして欲しい対象は、扱っている商品/メニュー/サービスがメインになることが多いです。

勿論、他店との差別化を図るために最も必要なことは、他店にはない商品/メニュー/サービスを提供することですが、それら以外にも特徴的な店内のデザインや装飾、印象に残る商品ディスプレイ、ワクワクする店頭イベント、オールキャッシュレス会計などのオペレーション、実演販売やオープンキッチン、スタッフからの有益な情報、会話がはずむ感じの良い接客、新商品/新メニュー/新サービスのご案内など、店舗内での顧客体験の中には、多くのクチコミ対象となり得るものがあると認識しておきましょう。

 

②一般的にクチコミされる内容の特徴は、次の6つに集約されます。

1)『独自性・限定感』:他店にないもの、今しかないもの、数が限られているもの

2)『楽しさ・面白さ』:ワクワクする気持ちになれるもの

3)『驚き・感動・共感』:予想外のもの、期待以上のもの、心に響くもの

4)『目新しさ・非日常性』:今までにないもの、普段体験できないもの

5)『お役立ち情報』:開店、プロモーション、お買い得品などの情報

6)『店(ブランド)らしさ』:店の強み、店のカルチャー、店が大事にしていること

これらの特徴は、クチコミされる理由と言い換えることもでき、当てはまるものが多ければ多いほどクチコミされる可能性は高まります。

逆に、店側がいくら良い商品、美味しいメニュー、素晴らしいサービスと言っても、顧客からみて上記の特徴が備わっていないものは、クチコミされることはあまり期待できないと言えます。

 

③店がクチコミを増やしたいという時は、「クチコミされる対象」と「クチコミ内容の特徴」の掛け算を考えましょう。

例えば、この商品では予想もしなかったこんな楽しさを味わうことができる、この店にしかないこのメニューのものを食べると期待以上の芳醇な香りがする、このサービスは今の季節限定で家では味わえない癒しの空間を体験することができるなどはそれに当たり、顧客への訴求ポイントとして情報発信することもできます。

 

このように店舗での様々な体験がクチコミされる可能性がありますので、どのようにクチコミされたいかということを出発点にして、店の魅力を再検証してみると良いでしょう。

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【経営幹部-9】★押さえておきたい人材育成の考え方

人材育成はどの会社・組織にとっても、常に重要なテーマであることには疑いの余地はありません。ここでは人材育成の考え方をご説明いたします。

 

人材育成のベースとなる考え方は、「育てる側が意思を持って、育てるつもりで体系的に育てる」ということです。そのポイントは次の5つです。

 

①「全体の底上げ」と「選抜育成」を分けて考える

②「経験する機会」と「挑戦する機会」を与える

③「責任」と「権限」を同時に与える

④「キャリア実績の棚卸(過去)」と「キャリアプランの作成(未来)」をコンスタントに行う

⑤「人の育成」と「組織の成長」のバランスをとる

 

①対象者全体としてのレベルの平準化を目的にする場合と選ばれた人だけに上位の職務や特殊な業務を習得してもらう目的の場合を明確に分けて考える必要があります。

例えば全てのスーパーバイザーや店長職に必要な基本知識を習得するための研修などは前者にあたり、スーパーバイザーや店長職の中から上位の職位の可能性がある候補者だけを集めてやる研修などは後者のものになります。

それらの研修は目的が異なりますので、当然のこととしてその内容も参加者への期待値も異なってきます。

 

②人は新たな経験を積むことで大きく成長することが期待できます。一つは既存の職種で自分がまだ経験したことのない仕事がそれにあたります。この場合は今までも見聞きできる仕事であり、言ってみれば見本がある仕事になりますので、比較的習得もしやすく成長も期待できます。

一方で今までにない新しい仕事をする場合は、見本もありませんので、自分でやり方を見つけて道を切り開いていかなければなりません。ほぼ全てが挑戦の連続になりますので、決して容易とは言えない仕事になります。この挑戦する機会は全ての人に与えることはできませんが、与えられた人は大きな成長の可能性を期待できます。

 

③責任だけ与えられて権限がないことの典型的な例は、やってみろと言われてやろうとしたものの、細かいことも結局上長の許可が全ているというケースです。

上長としては部下のやっていることが心配でつい口を出してしまうことも頷けますが、これを続けている限りは部下は育ちませんし、場合によってはかえってモチベーションが下がってしまうこともあります。

やはり責任を与えるからには、その結果に責任を持つという意味でも決定できる権限を一緒に与えることが大事です。

 

④同じ会社に長く勤めようが、転職で会社を変わろうが、自分の総キャリア実績の棚卸をすることは、自分の将来を考える上でとても有意義です。

今まで自分がしてきたことの会社内での価値だけではなく、会社外の人的マーケットでの価値を知ることで、今の自分の強み・弱みなどをより客観的に見ることができます。

そして、その客観的な価値をどのように活かして今後のキャリアプランを立てるかということは更に重要になってきます。キャリアプランは少なくとも、直近の1年間と3年後位までは考えておきたいものです。

これらのことを人材育成として考える場合、本人にそのようなことを考える機会を作ってあげることが大切です。

所謂年に1回の人事評価の時では、会社の規定に沿った様式と方法で振り返りを行うのが多いのではないでしょうか。それとは別に、今までの総実績の棚卸と今後のなりたい自分を考える時間をコンスタントに作ってあげることが大事です。 

 

⑤個々の人材育成は、基本的には強いところを伸ばし、弱いところは必要な最低限レベルでもよしとします。

とかく弱いところに目がいきがちで、何とか高い期待値まで上げようとしがちですが、それでは結局は金太郎飴のように全員が同じ様なことができることを期待していることになり、組織としては必ずしも強い組織とは言えません。

何故ならば組織には、得意分野が異なる人材がたくさんいて、それらのチームが共通の目標に向かっている状態が最も強くなり、組織としても成長するからです。

もちろん個人の得意分野だけを育てていると、組織としてのまとまりがなくなってしまう可能性もありますので、人の育成と組織の成長のバランスを取ることは重要なポイントだと言えます。

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【経営幹部-10】★「出来ない」を「出来る」にするOJTの進め方

組織にとっての新人(新入社員、新規異動者)に必要な知識やスキルを教える時、OJTはとても有効なトレーニング方法です。ここではOJTの実際の取り組み方についてご説明いたします。

OJTの取り組み方のポイントは次の3つです。

OJTのプロセスを踏む

②知識・スキルのマニュアルを用意する

③トレーナーは専任制にする

 

OJTには大きく言って3つのプロセスがあります。Step1:トレーナーが必要な知識やスキルを説明して、それをやってみせる、Step2:トレーニーに同じようにやらせてみる、Step3:トレーニーがやってみたことを評価しアドバイスするというものです。

トレーナーはまずどのような知識とスキルが必要かを説明し、トレーニーにこれからやることをイメージしてもらいます。イメージが出来たら、お手本としてトレーナーが実際にそれをやってみせることが大事です。

次に、やることを理解しお手本を見たトレーニーに同じことをやらせてみましょう。最初は上手に出来なくて当たり前ですので、トレーニーにもそのことを伝え、まずはトライさせてあげましょう。上手にやることよりも、その知識・スキルに慣れることに重点を置くことが大事ですね。

最後に、色々とトライしたトレーニーに、結果についてのフィードバックをします。その時に出来ていないことだけでなく、出来ていることもきちんと伝えて褒めてあげることが大切です。出来ていないことについては、どこが出来ていなくて、どのようにすれば改善できるかを教えてあげましょう。

 

OJTが有効な知識やスキルの習得には、マニュアルが必須です。OJTは誰が教えても同じようにトレーニングができることが必要ですので、その基準となるマニュアルがなければなりません。

逆にマニュアルがないままにOJTを進めますと、トレーナーによって教えることや教え方が違ってしまい、結果としてトレーニーの出来ることにバラつきができてしまいますので要注意です。

また、OJTは「出来ない」を「出来る」にするためのトレーニングですので、「出来る」状態の目標(到達点)をはっきりさせておくことがとても重要になります。それをマニュアルにも明記しておくことが望ましいですね。

 

③誰に教えてもらっても同じことが出来るようになるのがOJTですが、実際に進める時のトレーナーは専任制にした方が効果は高まります。

何故なら、教える内容はマニュアルによって標準化されていますのでブレることはありませんが、トレーニーの習得度や性格、得意なことなどまでは、なかなか別のトレーナーに引き継ぐことは難しいからです。

トレーニーにとっても、同じトレーナーに教えてもらった方が何かと相談や質問もしやすくなります。また、トレーナーにとっても専任制にすることによって、トレーニーを最後まで育てるという責任感が生まれ、より良い結果に結び付くことになります。

 

このように、OJTはプロセスを踏み、マニュアルを活用しながら、専任制で進めることによって、新人の「出来ない」を「出来る」に変えていく効果的な方法だと言えます。

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【経営幹部-11】★店舗経営は「仕組みづくり」と「ヒトづくり」を考える(秘訣1)

店舗経営の健全化を進める際には、おさえておきたい考え方の枠組みがあります。

ここでは店舗経営における「仕組みづくり」と「ヒトづくり」の秘訣についてご説明いたします。

秘訣は以下のとおりです。

秘訣1:仕組みづくりとヒトづくりの2つの軸で考える

秘訣2:どちらが今不足しているかを見極めて対応策を作る

 

秘訣1-1:店舗経営の枠組みとは

店舗経営を健全に維持する・向上させるために必要な枠組みは、「仕組み」と「仕組みを回すヒト」が2つの主要な枠組みです。

「仕組み」とは、店舗経営に必要なノウハウや制度、体系などのことをさします。具体的には、各種マニュアルや手順書、社内ルール、アプリやITシステム、会議体、社内コミュニケーションルール、人事・教育体系、CRM、店舗評価制度など、店舗経営をするために必要な道具のようなものは全て含まれます。道具なので「仕組み」自体には人格は伴いません(ヒトは入りません)。

「仕組み」に対して、店舗経営には「仕組みを回すヒト」が必要になります。「仕組みを回すヒト」とは、仕組みを作ったり、仕組みを使ったり、時には仕組みの良し悪しを判断したりするヒトのことをさします。

前出の「仕組み」が道具だとしますと、必要な道具を新たに作るヒト、既にある道具を使うヒト、既にある道具の使い勝手を評価するヒトと考えると分かりやすいですね。

 

秘訣1-2:何故枠組みを分けて考えるか

何故健全な店舗経営のための「仕組み」と「仕組みを回すヒト」を分けて考える必要があるのでしょうか。

「マニュアルはあるのに使われていない」「社内で決めたルールなのに、最初だけ守られていて今は誰も守っていない」「何のための会議か良く分からない会議がある」といったことや、「この件については●●さんに聞かないと分からない」「店舗ごとに違うやり方になっている」「本部の各部署からバラバラに急な指示がくる」といった声を聞くことはありませんか?

前者の3つは、「仕組み」はあるのに、それを上手に使うヒトがいないという状態ですね。店舗経営の道具は持っているのに、それを使いこなせるヒトがいないので、結局はその場しのぎの仕事の仕方になってしまい、会社全体としては、非効率な店舗経営になってしまいます。

後者の3つは、全社共通の「仕組み」はないものの、仕事を進めることができるヒトはいるという状態ですね。店舗経営の道具はないけれど、自分だけが使える道具を持ったヒトが自分なりのやり方で仕事をしてしまっているということです。

その結果、上手くいっている店舗や部署もあれば、上手くいっていない店舗や部署もあるといったことが起こり、会社全体としては、アンバランスな組織やチームになってしまいます。

このように「仕組み」だけを持っていても、または自分なりのやり方ができるヒトだけがいても、会社全体としては健全な店舗経営ができているとは言えません。

従って、どこに問題があるかを見極めるために、「仕組み」と「仕組みを回すヒト」の有無を分けて考える必要があると言えますね。

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【経営幹部-12】★店舗経営は「仕組みづくり」と「ヒトづくり」を考える(秘訣2)

店舗経営の健全化を進める際には、おさえておきたい考え方の枠組みがあります。

ここでは店舗経営における「仕組みづくり」と「ヒトづくり」の秘訣についてご説明いたします。

秘訣は以下のとおりです。

秘訣1:仕組みづくりとヒトづくりの2つの軸で考える

秘訣2:どちらが今不足しているかを見極めて対応策を練る

 

店舗経営の健全化のためには、「仕組み」と「仕組みを回すヒト」の現状を把握してから、課題の解決策を練りましょう。

この現状把握で考えられるケースは次の4つです。※〇:有り、×:無し

1)「仕組み」〇 「仕組みを回すヒト」〇

2)「仕組み」〇 「仕組みを回すヒト」×

3)「仕組み」× 「仕組みを回すヒト」〇

4)「仕組み」× 「仕組みを回すヒト」×

 

1)は両方ありますので、現状として短期的には問題はないはずです。今後中長期的には「仕組み」がマーケットの変化や社内事情の変化に合っているか、「仕組みを回すヒト」が異動・退職などでいなくなっていないかなどを随時注視していく必要があります。

 

2)は「仕組み」があるにもかかわらず、「仕組みを回すヒト」がいない状態ですので、至急ヒトの育成又は採用に動かなくてはなりません。育成も採用もすぐに結果が出るものではありませんので、この現状が把握できた時点ですぐに対応策を練って、実行に移す必要があります。

 

3)は「仕組み」がなく、「仕組みを回すヒト」がいる状態ですので、各人なりのやり方で仕事が進められている、言い換えますと仕事のやり方が特定のヒトについてしまっている状態になります。この状態では、標準化できる仕事はすぐに標準化して、誰がやっても同様の結果が得られるような仕組みを作ることが肝要です。

 

4)は「仕組み」もなく、「仕組みを回すヒト」もいない状態ですので、優先順位としては「仕組み」を作ることから始めます。その理由は、ヒトを育成するのにはある程度時間がかかりますが、最初の「仕組み」は完全なものでなくても良いとすれば、すぐに作れるためです。

一方では、「仕組み」も完全なものにしないと、かえって修正などで時間がかかってしまうという考え方もあり、それも間違ってはいませんが、この状態の中では、完成度は100%ではない「仕組み」で走り始めて、走りながら「仕組み」をバージョンアップしていくという方法を取る方が結果的には早く良い仕組みができます。

また、この行程の中で、「仕組みを回すヒト」も少しずつ育っていくという良い副産物が生まれますので、やる価値は充分にあると言えます。

 

具体的には、例えば「全店の接客のレベルを上げる必要がある」という課題で上記のことを説明しますと次のようになります。

1)は接客のレベルを維持・向上させるためのマニュアルや研修内容、OJT体制(やり方)が整っており、研修やOJTを進める社内人材もいるという状態です。従って、接客のレベルを上げるための研修やOJT体制の導入などがスムースに始められると言えます。

2)では接客のマニュアルや研修内容、OJT体制(やり方)は整っているものの、それを推進できるヒトがいない状態です。従って、接客研修については、トレーナーを社内で至急育成したり、外部の接客講師に依頼したりすることが考えられます。

OJT体制については、OJTモデル店舗(OJTをするヒトの任命を含む)を選んで、そこでOJTの進め方を確立し、他店へ進め方を共有するなどの方法が有効です。

3)では接客のマニュアルや研修内容、OJT体制(やり方)はなく、各店舗で接客の上手なスタッフ、不得意なスタッフがそれぞれいて、接客について教える体制ができていない状態です。

ここでは、まずは基礎的な接客マニュアルを作成し、それをもとに店舗のリーダー格のヒト、又は接客の上手なヒトが不得意なヒトや新人に教えていくという体制づくりなどが考えらます。

4)では接客のマニュアルや研修内容、OJT体制(やり方)もなく、それを推進できるヒトもいないという状態です。現実的にはこのような何もない状態は少ないかもしれませんが、もしこのような場合は、まずは基礎的なマニュアルを作ると同時に、全社共通の新人教育用の入社時研修内容を作ります。

それを本部の当該部署の担当者、または店舗の責任者が入社時研修の講師として実施するということから始めると良いでしょう。もちろん研修内容を少しずつ高度にしていくことや、講師をできるヒトの数を徐々に増やしていくことなどが次のステップとしては必要です。

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【経営幹部-13】★ホスピタリティレベルを向上させるには

自社・自店の提供するサービスについて、顧客に満足していただくためには、ホスピタリティレベルを常に向上させることが大事です。

ここではホスピタリティレベル向上の基本的な考え方をご説明いたします。

1.ホスピタリティとは

ホスピタリティの語源は、「客人の保護者」という意味のラテン語と言われていますが、そこから転じて現在では「厚くもてなすこと」「心からのおもてなし」という意味で使われています。

これを小売業/飲食業に当てはめますと、ホスピタリティとは自社・自店のサービス全般を提供することによって、心をこめて顧客をもてなすことと言えます。

 

2.ホスピタリティレベルの向上のために必要なこととは

顧客のためにホスピタリティレベルを向上させるためには、どのようなことが必要なのでしょうか。

それをひと言で言いますと、「顧客の視点を持つ」ということです。顧客の視点を持つとは、売り手側(サービス提供側)の視点ではなく、買い手側(サービス受領側)の視点に立って物事を考えるということです。

例えば、商品・料理を顧客が見た時、購入した時、食した時に、顧客はどのように感じるか、満足していただけるかといった視点で考えるということです。

 

3.顧客の期待と満足度の関係

顧客には自社・自店のサービスに対して、顧客の持っている期待レベルがそれぞれあります。そのレベルは各顧客によっても違いますし、自社・自店の個々のサービスに対してもそれぞれ違います。

ここで顧客の期待と満足度の関係を整理しておきましょう。

①顧客の期待=実際のサービスレベル

顧客が期待していたことと実際のサービスレベルが同じだった場合は、期待通りだったので、顧客は満足していただけます。

②顧客の期待>実際のサービスレベル

顧客の期待していたことより実際のサービスレベルが低かった場合は、顧客は不満足を感じてしまいます。

③顧客の期待<実際のサービスレベル

顧客の期待していたことより実際のサービスレベルが高かった場合は、顧客は感動してくださいます。

このことから、サービスの提供側としては、顧客の期待以上のサービスレベルを常に提供しなければならないことが分かります。そして、この顧客の期待そのものを知るためには、顧客の視点が必要になってくるということです。

従って、顧客の視点を持つことが、顧客に満足・感動を感じていただく上で、とても大事だということが分かりますね。

 

4.ホスピタリティレベル向上のメリット

顧客の視点を持ってホスピタリティレベルを向上させると、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

①ホスピタリティレベルの向上は、顧客満足の向上に繋がります。それはご来店していただいた顧客のリピート率の向上(再来店者が増える/再来店頻度が増える)に結び付きます。

②ホスピタリティレベルの向上は、顧客満足の向上に繋がり、その顧客の口コミによって新規顧客のご来店が見込まれます。

上記のような流れで、ホスピタリティレベルの向上によって、既存顧客のリピート率もあがり、新規顧客も増えるということになり、その結果売上も向上するというメリットを得ることができます。

 

5.ホスピタリティレベルを向上させるには

ホスピタリティは必ずしも人が行うこととは限りません。もちろん「接客」によるホスピタリティが最も大きな要素ではありますが、その他にも「店舗・什器デザイン」「商品・料理そのもの」「店内のオペレーション」「VMDや店内装飾」などもホスピタリティの大事な要素になりますので覚えておきましょう。

ここでは一番分かりやすい接客を例にして、ホスピタリティのレベル向上についてご説明します。

まず接客をする上で、身だしなみをルールに則って整えることや店に合った言葉遣い・接客用語を使うことなどは、ホスピタリティを実行するために必要な基本的な前提条件です。

その上で、心のこもった笑顔で対応すること、場に応じた声のトーンで会話をすること、場に応じた身のこなし・ふるまいをすること、顧客への気配り(目配り、心配り)をすることがホスピタリティレベルを向上するためには必須のことになります。

 

特に顧客への気配りでは、顧客より先に気づき、顧客より先に動くことが重要になります。この先読み・先行動は顧客の視点を持っていないとできませんので、やはり顧客の視点を持つことはホスピタリティレベルを向上させるためには必須ということですね。

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【経営幹部-14】★多店舗マネジメント:組織体制の作り方(その1)

複数店舗を運営するための組織体制では、多店舗マネジメントを取り入れることが必要です。店舗展開規模が、初めの2~3店舗を運営している時には、社長、幹部などの個人の力で回すことはまだ可能ですが、それ以上の店舗規模になってきた時は、組織体制で回すことを考えた方が効率的です。

ここでは、多店舗マネジメントの組織体制を組み立てる際のポイントを3つご説明いたします。

※本コラムに続き、(その2)で更に2つご説明いたします

 

1.多店舗マネジメントとは

通常5店舗以上の店舗を経営する時に、店舗運営の効率化、人材育成の体系化、業績管理の標準化を目指して、組織や制度、仕組みを整えて店舗経営する手法のことを多店舗マネジメントと言います。

単店、2~3店舗のマネジメントと多店舗マネジメントとの違いは、

・本部の目の届きやすさ

・業務の属人化の度合い

・従業員の成長・育成の機会の質と多さ

・業績管理指標の整備の度合い

・コスト交渉力の度合い

などに表れてきますが、店舗規模が大きくなればなるほど、個人としてよりかは、組織として状況に適応することが求められます。

 

2.多店舗マネジメントの組織を組み立てるポイント

ここではイメージしやすいように、1店舗当たりスタッフ10/年商1億円、総店舗数10店舗100/年商10億円、本部15名(役員含む)、総勢115名人員で、10店舗は首都圏と関西圏に5店舗ずつある会社を想定してみましょう。

 

①社内のコミュニケーションの風通しをよくする

店舗規模が大きくなるにつれて顕著に問題化しやすいことの一つとして、社内のコミュニケーションの風通しの良さがあります。

社内のコミュニケーションを考える際には、店舗内、店舗間、エリア間(首都圏店舗と関西圏店舗間)、店舗と本部間、エリア長(首都圏担当、関西圏担当)間、エリア長と本部間、従業員と経営幹部間などのコミュニケーションがどのように取られているかをよく把握しましょう。

また、コミュニケーションというと本部から店舗への指示・情報共有が想定されますが、店舗から本部へのコミュニケーションという流れも大事であることを認識しましょう。

いずれにしても、社内のコミュニケーションが円滑に行われているかを常に確認し、もし滞っているところがあれば、すぐに改善することが肝要です。

 

5店舗ずつの2エリアに分けて管理する

1人のエリア長が管理・サポートできる店舗数は5店舗~8店舗位が妥当と言われています。従って、ここでの想定ケースでは、関東圏の5店舗を担当するエリア長と関西圏の5店舗を担当するエリア長が必要になります。

担当店舗の決め方としては、上記のような「エリア別」のほかに、「売上規模別」や「出店先タイプ別」などもあります。

「売上規模別」では、例えば、年商5,000万円の店と5億円の店とでは、集客方法、人員体制、店舗運営体制などが大きく異なります。従って、大型店担当と小型店担当に分けて管理する方が、担当内店舗の管理の仕方が同じなので効率よく管理することができます。

また、「出店先タイプ別」は、例えば路面店と郊外SC(ショッピングセンター)、駅ビル商業施設ごとなどに分けるということです。ここでは集客方法、出店先との共同施策などがそれぞれ異なりますので、出店先タイプ別に分けて管理する方が効率よく管理できるということです。

 

③現場のサポート部門の業務を整理する

現場ラインとしては、店長―エリア長―店舗運営部長となっていることが多いですが、この現場ラインは基本的には売上を取りにいく実行部署として考えます。一方で、色々な施策や制度を練ったり決めたりするのは本部の別の部署という体制にした方が、全体として効率よく店舗経営をすることができます。

「営業支援担当」や「店舗支援担当」といった部署(担当者でも可)がそれにあたり、店舗運営部長の下に、現場ラインとは別の部署(または担当者)として置かれます。ここでは、主に全店に共通して関わる業務を担当し、例えば、集客策の企画、販促物の制作、制服の購入、店舗備品の購入、売上予算/実績の集計・管理、人件費の集計・管理などを行うことが想定されます。

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【経営幹部-15】★多店舗マネジメント:組織体制の作り方(その2)

2.多店舗マネジメントの組織を組み立てるポイント(続き)

組織体制の作り方(その1)同様に、ここではイメージしやすいように、1店舗当たりスタッフ10/年商1億円、総店舗数10店舗100/年商10億円、本部15名(役員含む)、総勢115名人員で、10店舗は首都圏と関西圏に5店舗ずつある会社を想定してみましょう。

 

④標準化と個別化の業務を整理する

業務の標準化とは、誰がいつやっても同じやり方で進められる業務を、定型化して誰もがすぐにそのやり方にアクセスできるようにしておくことです。ここでの想定ケースでは、10店舗のどこでも同じやり方をするということになります。

例えば、新規スタッフの受け入れ手続き用書類とその書き方、売上に関する日別目標・実績管理表とその入力の仕方、顧客の入店~退店までの接客の基本マニュアルとその活用の仕方、人事異動届とその書き方、イベント報告書とその書き方、全店共通備品の依頼表(制服、文具類、POPなど)とその書き方などがそれにあたります。

業務の個別化とは、店舗ごとに異なるやり方を進めることです。ここでの想定ケースでは、10店舗の各店舗で異なるやり方をするということになります。

例えば、取扱商品 (小売業)や提供メニュー(飲食業)などを、店舗ごとに地域の特性や売れ筋に合わせて変えていく、他社との販促コラボ施策を店舗ごとに進める、店舗ごとの重点施策を変える(省人化によるオペレーションの効率重視か、個々の顧客対応の接客重視か)などがそれにあたります。

ここで大事なことは、標準化する業務と個別化する業務を整理して周知し、標準化によって業務の効率化を進め、個別化によって店舗ごとの競合他社との差別化を進めるということです。

 

⑤経営会議・営業会議・エリア会議を実施する

経営会議とは、会社の進む方向性、経営資源の最適配分、年度の実行計画の進捗状況などを確認し、必要に応じて修正する場になります。会社によって、月ごと、四半期ごと、半期ごと、年度ごとに実施します。

営業会議とは、全社の営業利益向上のための方向性、具体的な施策の作成・進捗状況などの確認を行い、必要に応じて修正する場になります。通常毎月行うことが多く、月単位のPDCAを回していきます。

エリア会議とは、営業会議で決まった方針に沿って、各エリア長が担当エリアの運営方針や施策などについて、担当店舗の店長に共有したり、ディスカッションをしたりする場になります。通常毎週行うことが多く、週単位のPDCAを回していきます。

ここで大事なことは、全社・エリアの方針のもとに、全店が同じ方向性を持って店舗運営をするということです。多店舗になればなるほど、全体としての一体感・事業としての一貫性が保たれていることが肝要です。

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【経営幹部-16】★多店舗マネジメント:店舗でのキャリアの作り方

多店舗マネジメントの中で、ヒトをどのように活かすかは重要な経営課題の一つです。そして、ヒトに楽しくイキイキと働いてもらうためには、その環境を整えることが必要です。

ここでは、各人が店舗でそれぞれのキャリアを作っていける場をどのように作るかについてご説明いたします。

皆さまがイメージしやすいように、1店舗当たりスタッフ10/年商1億円、総店舗数10店舗100/年商10億円、本部15名(役員含む)、総勢115名人員で、10店舗は首都圏と関西圏に5店舗ずつある会社を想定してみましょう。

 

《ヒトのキャリア志向を把握する》

ヒトのキャリアに対する考え方は十人十色ですが、キャリアを作る場を提供するためには、まず次の3つのキャリア志向を把握しておきましょう。

①ポジションの上昇を求めるキャリア志向

②専門性を磨くキャリア志向

③組織(チーム)の潤滑油でありたいキャリア志向

 

①ポジションの上昇を求めるキャリア志向

これは上のポジションを目指していくというキャリア志向のことを指します。例えば、アルバイトで働き始めたヒトが、経験と実績を積みながら契約社員へ、契約社員から正社員へと昇っていくことだったり、店舗の一スタッフから(売場、ホール、キッチンなどの)リーダーになり、リーダーから店長・副店長という店の責任者クラスになるということだったりがそれにあたります。

このようなキャリア志向のヒトには、より上のポジションに必要な知識や経験、能力を本人に明示すると共に、それを発揮できる場を作ってあげることが大事です。

例えば、ここでの10店舗の想定ケースでは、通常各店舗の売上規模やスタッフ人数は大きく異なりますので、スタッフとして売上規模の小さな店舗を経験した後に、売上規模の大きな店舗でリーダー的な役割をしてもらい、その後に小さな店舗の店長を経て、大きな店舗の店長になってもらうというようなことです。

 

②専門性を磨くキャリア志向

これは店舗の中でそのヒトの得意なことを活かした、専門性のある仕事を極めていくというキャリア志向です。例えば、売場やホールでの接客(おもてなし)であったり、キッチンでの料理提供やメニュー考案であったり、小売店舗でのVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)などがそれにあたります。

このようなキャリア志向のヒトには、それらを学べる機会を提供してあげることはもちろんですが、何よりも実践の中で経験を積ませる機会を多く作ってあげることが大事です。

例えば、ここでの10店舗の想定ケースでは、首都圏5店舗の接客(おもてなし)の得意なスタッフを集めて、より接客(おもてなし)のレベルを上げていくにはどうすれば良いかの話し合いをしたり、接客(おもてなし)の得意なスタッフが各店舗を回って接客(おもてなし)のOJTをするような仕組みを作ってあげたりするようなことです。

 

③組織(チーム)の潤滑油でありたいキャリア志向

これは店舗の様々な仕事や役割を進めていく時に、リーダー的な存在でもないし、その専門的な知識や経験も少ないけれども、業務をチームとしてスムースに進めていくというキャリア志向のことです。

例えて言いますと、①のキャリア志向のヒトが店舗運営のエンジン(動力源)、②のキャリア志向のヒトが店舗運営のための大小の歯車だとすると、③のキャリア志向のヒトは、エンジンや大小の歯車を無理なく動かすための潤滑油のような役割のヒトということです。

このようなキャリア志向のヒトには、リーダーを補佐する役割を担ってもらったり、まずは実行に移すことが必要な場面で進んでやってもらったりすることが大事です。

これは、実際の店舗運営のことを考えてみれば分かりますね。店舗では、店長だけで店が回っているのではなく、接客の得意なヒトだけで回っているのでもなく、チームとして店舗を回しているからうまくいっているということですね。

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【経営幹部-17】★多店舗マネジメント:店舗サポート部門でのキャリアの作り方

多店舗マネジメントの中で、ヒトをどのように活かすかは重要な経営課題の一つです。そして、ヒトに楽しくイキイキと働いてもらうためには、その環境を整えることが必要です。

ここでは、各人が店舗サポート部門でそれぞれのキャリアを作っていける場をどのように作るかについてご説明いたします。

 

1.店舗サポート部門とは

店舗の販売活動は、様々な店舗サポート部門によって支えられています。主な店舗サポート部門は次のとおりです。

①営業支援担当:『経営幹部-14(その1)2-③』参照

②店舗トレーニング担当:店舗人材のトレーニングを担当し、現場のマニュアル作成や店長研修の実施、OJTやトレーナー制の仕組みの導入など、現場に必要なスキル習得を推進する部署(担当者)のことを指します。この部署は本部の人事部の中の一つの業務として組み込まれることもありますし、現場の店舗運営部の組織の中に置かれることもあります。

③マーケティング部・商品部

営業部門として店舗に直接かかわる部門として、専門性を持った人材が、マーケティング活動や商品開発・買い付け活動などを行います。

④バックオフィス(後方支援)系の部署として、人事・経理・財務・総務・法務・ロジスティックスなどがそれにあたります。

 

2.キャリア作りの場をどのように提供するか

①営業支援担当には、基本的には現場(店舗)経験者から適任者を選抜して異動してもらうことが望ましいです。その理由は、店舗支援担当の仕事そのものが、現場を知らないとなかなか現場に沿った支援ができないからです。

店舗から営業支援担当に異動した後は、現場で困っていることは何か、本部で決めたことが現場で現実的に実施可能なのか、効果は期待できるのかなどの視点から意見を言ってもらったり、施策を提案してもらったりする場を積極的に作ることが大事です。

一方、店舗からの異動者は、営業支援としての施策が、一店舗の視点(部分最適)だけではなく、全店で考えた時の視点(全体最適)としてはどうなのかということにも気を配る必要があります。

 

②店舗トレーニング担当は、現場で必要なスキルを習得してもらうことが主な仕事ですので、営業支援担当と同様に現場(店舗)経験者から適任者を選抜して異動してもらうことが望ましいです。

店舗トレーニングに異動した後は、現場で必要なマニュアルや仕組みは何か、店舗の人材育成にはどのような方法が効果的かなどの視点から意見を言ってもらったり、提案してもらったりする場を積極的に作ることが大事です。

 

③マーケティング部・商品部でキャリア作りの視点から最も大事なことは、マーケティング施策や商品販売の結果の振り返りをする場を作ることです。

例えば、集客策であれば集客策を実施したことが実績になるのではなく、その効果がどれくらいあったかが実績になるということです。同様に、新商品をいくつも発売したことが実績になるのではなく、計画に対して(または昨年に対して)どれくらい売れたかが実績になるということです。このような場を継続的に提供することによって、担当者のレベルが上がっていきます。

また、現場(店舗)の声を聞く場を作ることもとても大事なことです。何故ならば、現場(店舗)の声には顧客の声が反映されているからです。

集客の実施後の集客人員や新商品投入後の売上などは数値であがってきますが、顧客の反応や顧客との会話などは吸い上げようとしない限り本部にはあがってきません。独りよがりのマーケティング施策や商品開発にならないためにも、現場(店舗)の声を聞く機会を作ることが必要です。

 

④バックオフィス系の担当者にも、現場(店舗)の声を聞く機会を作ってあげると良いでしょう。普段はなかなか直接現場(店舗)の意見を聞く機会も少ないですので、例えば店舗の販売応援の機会を作ったり、店長~エリア長を通じて現場(店舗)の意見を吸い上げたりする場を意識的に作ってあげることも効果的です。

バックオフィス系の専門的な知識に加えて、現場(店舗)でのものの考え方、ものごとの進め方を知ることは、バックオフィス系人材のレベルアップに繋がります。

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【経営幹部-18】★多店舗マネジメント:コミュニケーションルールの作り方(本部➡店舗)

本部から店舗へのコミュニケーションをスムースにするためには、コミュニケーションルールを設定する必要があります。その理由は、このルールがないと、本部からいつでもどの店にでも連絡がいってしまい、店舗での確認作業が追いつかなくなったり、漏れてしまったりするからです。

例えば、本部からの指示が「明日までに」「明後日までに」などという緊急のことがしばしばあり、そのために店舗運営にも良くない影響が出てしまうといったことを防ぐためです。

ここでは、本部から店舗への円滑なコミュニケーションを促進するためのルール作りについてご説明いたします。

 

コミュニケーションルールが定まっていない会社での課題は次のようなものです。

課題①:毎日本部の色々な部署から昼夜を問わず連絡がきて、確認するだけでも時間がかかる

課題②:緊急の指示が多く、そのたびに予定外の業務で通常の店舗業務が遅れたり、出来なかったりする

課題③:本部からの連絡内容の書き方が個人ごとに違っていて、理解しにくい

課題④:エリア長が知らない本部からの連絡があって、エリア長がフォローできない

 

これらの課題を解決するためには、次のようなルールを作ると円滑なコミュニケーションが図れます。

<課題①&②について>

本部から店舗への連絡(指示、情報共有)は、週に2回または3回に集約する。これは例えば週2回、月曜日と木曜日にだけ店舗への連絡ができるというルールにするといったことです。

これにより、店舗では月曜日と木曜日にだけ本部からの連絡を確認すればよくなり、その他の曜日は違うことに時間を使うことができるようになります。また、本部側もこの曜日に合わせて連絡事項を準備することになり、本部の仕事も計画的になるという良い側面もあります。

ただ、どうしても決められた2回では店舗運営に支障をきたすような緊急事項は、特例として【緊急事項】として店舗に連絡することは可としておくと良いでしょう。

 

<課題③について>

まず本部からの連絡事項は、大きくは「店舗への指示」と「店舗への情報共有」という2種類に分けられます。

簡単に言いますと、店舗への指示は、連絡を受け取った店舗が何らかの行動をしなければいけないもの、例えば新商品の発売日の統一・そのためのPOPの設置、キャンペーンやイベントの実施方法、従業員の人事関連書類の配布・回収などの指示です。

一方店舗への情報共有は、今の時点で店舗に知っていて欲しい情報、例えば次の四半期の販促計画、近隣の他店で実施予定の個店販促の予定、組織変更の趣旨と変更後の組織体制などの情報共有です。

※これらの指示や情報共有は、全店対象のものと個別店舗対象のものがありますので、念のために付記しておきます

これらを踏まえて課題③の解決策としては、連絡フォーマットと書き方の統一(標準化)が効果的です。例えば、連絡事項をまず「指示」「情報共有」に分けて、件名に表記すると良いでしょう。

次に、内容は5WHに沿って必ず記入するというルールにして、連絡フォーマットと書き方を決めてしまうと見やすくなります。

これにより店舗では、まずは「指示」から確認してすぐに行動に移すことができるようになります。また、「情報共有」は時間のある時に改めて見るということもできます。

 

<課題④について>

この課題については、本部から店舗への連絡には必ずエリア長を連絡先に入れるというルールにすればよいのですが、実は簡単ではなく、本部の全部署の全社員に周知徹底する必要があります。

また、もし連絡の方法(アプリなど)によっては、システム上自動的にエリア長を入れることができる可能性もありますので、その場合は必ずエリア長に連絡がいくように設定しましょう。

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【経営幹部-19】★多店舗マネジメント:店舗形態の使い分けとは

多店舗展開をする過程で、特定の店舗に特別な役割を持たせて店舗運営をする場合があります。

ここでは、通常形態の大型店/中型店/小型店という分け方以外の店舗形態についてご説明いたします。

 

①パイロット店舗(テスト店舗)

多店舗展開をする際に、最初から全店で実施するにはリスクがある販促活動、新商品展開、新しい店舗オペレーション(例えば無人店舗や配膳・接客ロボ)の導入などを一部の店舗で試験的に導入する時に、その店舗をパイロット店舗と呼びます。

パイロット店舗は、通常既存の店舗を利用して様々なテストを実施し、その結果をもとに必要な修正を加えてから全店(または地域)に導入することになります。

 

②モデル店舗

新しい店舗運営方針のもとに、今までと単に違うだけではなく、あるべき店舗運営の姿を実現し、全店の模範になる店舗をモデル店舗と呼びます。

例えばモデル店舗では、新しいシフト管理体制(考え方、アプリなど)の導入、店内のオペレーション動線の最適化、高い接客スキルを持った人材を集めたおもてなしの提供、いつでも質の高いVMDを実現できる商品展開、発注~納品~在庫整理を的確に行う在庫適正化などの模範店舗となることが考えられます。

 

POP UP STORE

新しい顧客の開拓、ブランド認知度の強化、売上の底上げなどを目的として、通常店舗以外に期間限定で出店する店舗をPOP UP STOREと呼びます。

通常POP UP STOREは、店舗前の顧客通行量の多い商業施設や駅ナカなどに出店します。通常店舗より小型の店舗であることが多く、通常店舗への顧客誘導としての役割も期待されています。

 

FLAGSHIP STORE

全店(またはブランド)を代表して、最高の品揃え/メニューや店内サービス、オペレーションを実現し、最もブランドを広く正しく訴求することを目的とした店舗をFLAGSHIP STOREと呼びます。

通常は、大型店であることが多く、首都圏や主要都市に店舗を構えています。他の店にはないものや先行して提供しているものなどがあります。

 

⑤メディアストア

新商品・新メニュー、新しい店舗デザイン、新しいオペレーション、新しいサービスなどを実際にメディアの方に直接店舗で伝えるという役割の店舗をメディアストアと呼びます。

資料や口頭での説明だけではなく、メディアの方に実際の店舗で体験してもらうことによって、その良さが正確に伝わって、意図した情報が正しく顧客に伝えられるというメリットがあります。

 

⑥アンテナショップ

新商品や新サービスを顧客に試していただき、顧客の反応を確かめたり、出店先周辺のマーケット動向を探ったりするための店舗をアンテナショップと呼びます。

必ずしも販売して売上を上げることが目的ではなく、場合によっては無料で試していただき、顧客から感想を直接聞いてその後の商品開発や出店地域の選定に活かしたりするケースもありえます。

 

⑦トレーニング店舗

社内の現場(店舗)での人材育成を目的として、店舗でOFF-JTOJTを組み合わせて人材育成を図る店舗をトレーニング店舗と呼びます。トレーニング店舗では、自店のスタッフだけではなく、他店のスタッフの育成もこの店舗が引き受けて行います。

①~⑥までの店舗は、顧客に対して働きかける店舗でしたが、トレーニング店舗は社内人材の育成を目的としていますので、顧客からはトレーニング店舗であることは分かりません。

このトレーニング店舗の運用には、人材育成方法にバラツキがなくなるというメリットがあります。

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【経営幹部-20】★多店舗マネジメント:人材育成の視点(その1)

多店舗運営をする上でも、人材育成は重要な経営課題の一つです。特にお互いが離れたところに店舗展開されている多店舗運営の場合には、いくつかの特有な人材育成の視点が必要になります。

ここでは多店舗展開する際の人材育成の視点をご紹介いたします。

 

●教育体系(全体像)作成の視点

①階層別の役割を明確にする

店舗には、店長、副店長、売場/ホール/キッチンのリーダー、新人などの階層がありますので、階層ごとの役割や責任を明確にした上で対象者を育成していくことが肝要です。また、店長の上長としてエリア長がいますので、エリア長の育成を含めて考えることも大事です。

一方、正社員、契約社員、P/A(パート/アルバイト)などの雇用形態ごとに育成の機会を用意する場合もあります。

 

②専門性を伸ばす仕組みを作る

店舗では専門的な知識やスキルが必要な仕事があります。例えば、接客は売場/ホールスタッフには必ず必要な知識やスキルですが、他のスタッフの模範となれるレベルの接客には、より専門的な知識やスキルが必要になります。

そのためには通常の接客トレーニングの他に、リーダーに任命する・模範を見せる(教える)スキルを習得してもらうなどの仕組みがあると良いです。

接客の他にも、素材・原材料の知識、VMDのスキル(小売業)、調理のスキル(飲食業)、業務に関連した資格取得などのための仕組みがそれにあたります。

 

③勤続年数の節目に将来展望を考える機会を提供する

全体の底上げの仕組みの一つとして、勤続年数の節目(3年目、5年目など)に各自の今までの実績の振り返りと将来のキャリア展望を考える機会があると良いです。節目としては、勤続年数だけではなく、年齢の節目(30歳、40歳など)の年にその機会を設けることも有益です。

ここでのポイントは、当該年数の全てのスタッフに必ず教育の機会が与えられるということです。

 

④自己成長の発想を後押しする

スタッフの育成は、会社が主体となるものをイメージしがちですが、各スタッフが自分で成長したいという意思をサポートする機会もとても大事です。

現在の店舗業務に直接関連するものだけではなく、将来業務に活きる知識やスキルを習得するものとして、自習できる機会を用意したり、かかる費用に補助を出したり、キャリア相談窓口を設けたりするなどのことが考えられます。

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【経営幹部-21】★多店舗マネジメント:人材育成の視点(その2)

多店舗運営をする上でも、人材育成は重要な経営課題の一つです。特にお互いが離れたところに店舗展開されている多店舗運営の場合には、いくつかの特有な人材育成の視点が必要になります。

ここでは多店舗展開する際の人材育成の視点をご紹介いたします。

 

●やり方を工夫する視点

OFF-JTOJTを組み合わせる

多店舗運営の中での育成は、本部が主体として行うOFF-JTと店舗が主体として行うOJTを、目的と効率を考えながら組み合わせて実施することが重要です。

OFF-JTは、同じ内容のものを同じレベルで実施することができるメリットがありますが、集まるのに時間もコストもかかるというデメリットがあります。オンラインでOFF-JTを行うことも可能ですが、店舗側がオンライン受講の場所を確保できるか、オンライン上で効果的なコミュニケーションが取れるかなどの課題はあると言えます。

OJTは、店舗の事情に合わせてフレキシブルに実施できるというメリットがありますが、店舗ごとの実施レベルにバラツキが出やすいというデメリットがありますので要注意です。

また、OJTを進められるトレーナーがいるか、OJTの内容のUpdateが本部・店舗ともに追いついているかなどの課題があると言えます。

 

②自習を組み込んでフレキシブルに育成する

トレーナーや本部講師が受講スタッフに教えるという形だけではなく、受講スタッフ自身が自習できる仕組みも用意すると良いでしょう。

店舗スタッフに教育の機会を設けることが、色々な理由から難しい場合もありますので、例えばオンライン上で、都合の良い時間帯に、どこの場所からでも受講できる(自習できる)ことはとても有効です。知識やスキルのコンテンツを動画で保存しておく、関連情報を写真として保存しておくなどは効果的です。

 

③トレーナーを育成する

教育内容によっては、社外講師にお願いする方が良い場合もありますが、社内にマニュアルがありトレーナーを育成できる場合は、積極的にトレーナーを育成した方が良いでしょう。

その理由としては、店舗の事情が分かっている人から教えられる方が納得感が高いこと、トレーナーとして教えるというノウハウが蓄積されて色々なケースでトレーナーという仕組みが役に立つことなどがあげられます。

 

●教育内容作成の視点

①教育内容の「一貫性」、教育機会による「一体感」を大事にする

多店舗運営の教育内容は、店舗ごとのバラツキは極力なくさなくてはなりません。会社としての教育内容の一貫性が大事だからです。これをコントロールするのは本部の役目ですので、適宜店舗での実施状況をモニターすることも必要です。

また、受講者のモレや極端な偏りがないように配慮することも大事です。様々な教育機会による一体感の醸成は、多店舗運営の場合は特に大切です。

 

②同じ役割の人が話し合う機会を提供する

多店舗運営では、同じ店舗内の人と話すことがほとんどですが、他店の同じ役割の人と話し合う機会を作ることは、自店の店舗運営レベルの見直しやレベルアップに役立ちます。

例えば、全店(あるいはエリア)の店長会や接客リーダー研修、店舗業務効率化ミーティングなどがそれにあたります。同じ役割であるからこそ持っている悩みや課題、成功事例などを共有することができます。

 

③他業界の違う視点と触れる機会を提供する

自社の多店舗運営の考え方が固定化しないように、常に新しい情報を入れる工夫は必要です。

 

例えば、社外講師を使う、外部セミナーへ参加する、他社とのコラボ勉強会を実施するなどは効果的です。これは自社の多店舗運営がうまくいっている・うまくいっていないに関わらず、時代適応業の店舗ビジネスにとっては常に持っていたい視点と言えます。

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【経営幹部-22】★多店舗マネジメント:エリア内定例週間ミーティングの進め方

多店舗運営をする上で、エリアマネージャーと店長が毎週ミーティングを持ち、現状の共有とその後の改善プランを確認することはとても重要です。

ここでは、エリアマネージャーと店長の定例週間ミーティングの基本的な進め方をご説明します。

 

エリア内の定例週間ミーティングで話す主な内容は次のとおりです。

①会社の方針や指示を伝える

通常エリアマネージャーの上長には部長格の方がいて、毎週会社の方針や指示などがエリアマネージャーに伝えられます。これらのことを正しくタイムリーに店長に伝えることはエリアマネージャーの役割です。

 

②前週の振り返りと当該週のプランの確認

毎週確認するとよい主な項目は以下の5つです。

1)数値:前週の主要なKPIの結果とその好調要因・不調要因を確認します。

主要なKPIには、店別売上高/客数/客単価、商品別売上高/売上構成比、(業種によって、来店数、買上げ率、商品単価、商品点数、組数、店舗内/テイクアウト売上、売上原価など)、人件費/人件費率、販促費/販促費率などがあります。

 

2)施策:前週の新商品と関連商品の売上高、販促活動の状況(販促による売上高、集客人数、顧客の声など)、施策による店別の売上高/集客人数/顧客の声の違いなどを比較検証します。

 

3)スタッフ:ヒトのマネジメントも毎週行います。採用/退社人数、退社意向者の有無、退社意向者の退社理由、スタッフのスキル向上プランの進捗、新人トレーニングの進捗、スタッフミーティング実施の有無、店長/店長候補/売場リーダーの育成プランの進捗などを確認します。

 

4)オペレーション:前週の接客レベルの評価、各種トレーニングの実施状況(マニュアル、トレーナー、トレーニーの確認)、販促物の実施状況(店舗前A看板、ショーウィンドウ、店舗前の食品サンプル、店内のPOP/ポスター/チラシ、店内装飾、デジタルサイネージなど)、店内環境(動線、音楽、照明、温度、感染予防など)、商品陳列(見やすく、分かりやすく、手に取りやすく)などが適切に行われているかを確認します

 

5)競合店・出店先・周辺状況:競合店の動きは毎週確認する必要があります。競合店の新商品の発売日と評判、販促施策の集客状況と評判、客層の変化の有無、オペレーションのレベル、顧客の興味・関心状況などを良く観察することが大事です。

また、出店先全体の集客状況、出店先の中で混雑している店の有無・混む理由や出店している地域周辺の新規競合店、話題店舗、集客に成功している店舗の理由、顧客通行量・通行経路の変化の有無などは重要な情報ですので、常にアンテナを立てておくと良いでしょう。

 

上記の1)~5)の項目について、前週の結果を振り返り、当該週のプランを立てるところまでが、定例週間ミーティングの目的です。これにより、毎週PDCAを回すことになり、より質の高い効率的な定例週間ミーティングができるようになります。

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【経営幹部-23】★多店舗マネジメント:覆面調査の効果的な進め方

多店舗運営をする中で、各店のサービスレベルを求められる基準以上に、常に維持することはとても大事です。そのためには社内の仕組みでサービスレベルチェックをすることは勿論必要ですが、社外の調査会社に依頼して、客観的な視点で店の状況を把握する方法もあります。

ここでは、覆面調査の効果的な進め方についてご説明します。

 

1.覆面調査とは

一般の顧客が覆面調査員となって実際に来店し、各店のサービスレベルをチェックする調査のことを指します。覆面調査員が事前の予告なしに店舗に来店しますので、普段の店舗のサービスレベルを把握することができ、その後の改善につなげることができます。

 

2.覆面調査の目的

覆面調査は、調査して点数化することが目的ではなく、その店のサービスレベルを客観的に把握して、その後のサービスレベルの改善につなげて、最終的には顧客満足を最大化することがその目的となります。

 

3.覆面調査の進め方

覆面調査は、基本的に次のステップで進めると良いでしょう。

※( )内は実施主体

 

Step1:調査企画の立案(本部)

調査の目的の確認、調査内容(チェック項目)の整理、調査時期・回数の確認、結果を活かす仕組みの構築、人事評価との連動の仕方などを検討します。導入前~導入後のスケジュールも組んでおくとスムースに進めることができます。

 

Step2:調査会社の選定(本部) 

調査会社は必ず複数社と打ち合わせをして、実績や評判、利用料金、調査員の研修内容(後述)などを確認し、比較検討して決めていきましょう。

特に、自社と同じ業種(小売業/飲食業/サービス業)の実績と調査チェック表のサンプルは確認するようにします。

 

Step3:調査員の研修(調査会社) 

調査会社を決定しましたら、調査会社と調査チェック表の擦り合わせをして、自社の目的に合うものにカスタマイズしてもらいます。

その調査チェック表を使って、覆面調査員が店舗に行って採点することになりますが、覆面調査員ごとに採点基準が異なっていては覆面調査の意味がありません。

従って、全国(または地域)にいる覆面調査員の基準合わせのための研修が、通常調査会社の中で行われます。この研修の内容がきちんと行われているか、どのように基準の擦り合わせが行われているかなどを、きちんと調査会社に確認しておきましょう。

 

Step4:調査の実施(調査会社)

覆面調査員が各店に行って、調査チェック表に沿って採点します。このステップでは特に自社ですることはありません。

 

Step5:調査結果の分析(本部)

調査対象店舗の覆面調査が全て終了しますと、調査会社で集計された結果が送られてきます。通常、店舗別・地域別などで集計されてきますので、エリアマネージャーも含めて結果の分析をします。

各店舗別、エリアマネージャーの担当店舗別、店舗規模別、同系列の商品店舗別などでも比較して、出来ているところ/出来ていないところ、その理由などを検証しましょう。

 

Step6:調査結果の店舗へのフィードバック(本部)

調査結果は店長にフィードバックします。フィードバックは、できるだけ覆面調査に入った日からあまり時間が経たないうちに送ると良いでしょう。(通常は翌月の場合が多いです)

結果は顧客の声として真摯に受け止め、出来ていることも改善が必要なことも店舗スタッフに共有します。

 

Step7:調査結果からの改善策の立案&実施(店舗)

店長は出来ていない項目について、改善策を作成します。それが多くある場合は、優先順位をつけて計画をたてて実施します。店舗の改善策なので、副店長や売場/ホール/キッチン・リーダーなども巻き込んで改善策を立てるのも良いでしょう。

改善策を立てましたら、必ず進捗を見ながら進めていきます。進捗を管理する担当を決めておくとなお良いでしょう。

 

4.実施上の注意点

①現場に趣旨を伝える

覆面調査を効果的に進めるためには、始める前は勿論、始まってからも適宜覆面調査の目的をきちんと店舗に説明する必要があります。説明もなく進めると、店舗のあら探しをしているとの誤解を受ける場合もあり得ます。

②調査結果と他の評価結果を比較する

調査結果は客観的な店舗評価の一つですが、それ以外の実際の売上や顧客や出店先の評判、エリアマネージャーの臨店時の評価などと比較します。もしそれらとのズレがある場合は、その理由を掘り下げておく必要があります。

③個人への注意にならないように

通常覆面調査日もフィードバックされますので、出来ていないことがあった場合、その日の出勤者個人への注意・指導にならないようにします。調査結果は、あくまでも店舗に対するフィードバックとしてとらえましょう。

④調査の実施時期を毎月ずらす

覆面調査日を毎月初、10日前後などと固定しないように設定します。固定してしまうと、その日程のあたりだけ覆面調査を意識して、普段以上のことをしてしまう可能性があります。できれば調査員も適宜替えた方が良いです。

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【経営幹部-24】★動機づけの仕組み:トータルリワードとは

リワードとは報酬という意味ですが、報酬の中には金銭的な報酬と非金銭的な報酬の2種類があります。

ここではそれらを総合的に捉えてスタッフの動機づけをするトータルリワードの考え方についてご説明いたします。

 

1.トータルリワードとは

スタッフの動機づけの仕組みとしては、金銭的な報酬と非金銭的な報酬があります。一般的には金銭的な報酬をイメージする人が多いですが、両方の報酬を組み合わせたマネジメント体系のことをトータルリワードといいます。

 

2.金銭的報酬

①給与、賞与、インセンティブなどがあり、仕事の内容や業績に連動したものがあります。最も身近な金銭的報酬といえます。

 

②様々な福利厚生も金銭的な報酬と考えることができます。これもスタッフにとって身近な制度といえますが、スタッフが希望する内容を随時提供できるかどうかという課題があり、常に動機付けに繋がるとは限りません。

 

3.非金銭的報酬

※以下の各志向は、一人が複数の志向を持つことも充分あり得ます

①上昇志向派への報酬

会社の中で上昇志向を持つ人には、2つの報い方があります。一つは業績(実績)に報いる形で、これは上記の金銭的報酬で報いることが多いです。

もう一つが、各人の能力を役割・役職・責任などで報いる形です。これは必ずしも金銭的とは限らず、重要な仕事を任せたり、新しい仕事に挑戦させたりすることで本人のモチベーションが上がることを期待するものです。

 

②ワークライフバランス派への報酬

ワークライフバランスとは、仕事と仕事以外の生活の両方を、その人にとってバランス良く両立させて、日々の時間を充実させることですが、そのための制度や仕組みの整備、スタッフ意識の浸透なども報酬と考えられます。

例えば、フレックス勤務やテレワークができたり、過度な残業・休日出勤などにならないようなオペレーションにしたり、趣味や自己啓発に関する情報を提供したりすることなどが挙げられます。

 

③帰属意識派への報酬

ヒトはどこかに/何かに自分が属していたいという想いがあります。それは会社自体の場合もあれば、職場のチームやプロジェクトなどの場合もあります。

これらに属していたいと思う理由には、そこで働くこと自体への誇りであったり、仲間と一緒に働けることの充実感や風通しの良いコミュニケーションがある心地良さであったり、魅力あるリーダーがいたりすることなどが挙げられます。

 

④自己成長派への報酬

仕事を通して自分が成長しているという実感は、モチベーションを上げられると共に、本人の時間を充実したものにすることができます。そのため、会社の中で成長の機会が与えられることはとても大事なことといえます。

成長の機会を用意する時には、既存の業務に必要な知識やスキルを習得させる機会だけではなく、今後の業務に必要となってくる知識やスキルの習得を目指すリスキリング制度や本人が主体となって学ぶリカレント制度などを組み合わせることも重要です。

 

⑤承認欲求志向派への報酬

会社や組織の中で、自分がやってきた実績や現在進めていること、それらのプロセスなどを周囲に認めてもらうことは、本人にとって大きなモチベーションアップになります。

ここでのポイントは、仕事の結果だけではなく、その過程の思考や努力なども含めて認めることが大事だということです。また、仕事を進める上でお互いに感謝する気持ちを具体的に相手に伝えるということも重要です。

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【経営幹部-25】★動機づけの仕組み:効果的な褒め方・認め方・感謝の仕方

チームメンバーに対して褒める(認める・感謝する)ことは、言われた本人のモチベーションが上がるだけではなく、それを見ている周囲の人にも良いチームワークのイメージが波及していきます。

ここではチームメンバーの動機づけとしての、効果的な褒め方(認め方・感謝の仕方)についてご説明いたします。

 

1.《何を》褒める(認める・感謝する)と良いのでしょうか

①仕事をする上で最も分かりやすいものは、仕事の結果や成果です。その中でも数値で表されるものは誰がみても明らかですが、それ以外にも「Aさんは●●ができるようになった」「Bさんのおかげで他部署とのコミュニケーションが取りやすくなった」などの数値では表しにくいものも成果として考えられ、それらも褒める(認める・感謝する)対象となります。

また、仕事の結果や成果だけではなく、それに至るまでの本人の努力や過程にも焦点をあてると良いでしょう。これはたとえ結果や成果が出なかった時でも、それにかけた本人の労力や努力、工夫、アイデアなどを認めてあげることは、その後のモチベーションにも良い影響を及ぼすからです。

 

②小さなこと、小さな成功にも目を向けることはとても大事です。通常は、半期や1年を通しての結果や成果などをイメージしやすいですが、日常の中で起こった小さな出来事や成功事例にも光を当てると良いでしょう。

大きな結果や成果は、日頃の小さなことの積み重ねで達成されることがよくあります。その良い結果や成果に結びつけるためにも、普段から褒める(認める・感謝する)ことを継続することが大事なのだと認識しておきましょう。

 

2.《どのように》褒める(認める・感謝する)と良いのでしょうか

①具体的に、タイムリーに褒める(認める・感謝する)ことがとても大事です。具体的にとは、いつ何処で何をどのようにしたことが良かったのかを伝えるということです。

本人が何を褒められた(認められた・感謝された)のかが分からないと、モチベーションも上がらないですし、次の行動につなげることもできません。

タイムリーにとは、本人が取った行動やその結果が表れた時にすぐに褒める(認める・感謝する)ことが大事だということです。あまり時間が経ってからですと、モチベーションアップにはつながり難く、その効果は薄らいでしまいます。

 

②皆の前で公に褒める(認める・感謝する)ことがモチベーションアップにつながります。いつも皆の前でということは出来ませんが、ポイントは本人と二人の時に言うよりかは、少なくとも誰が聞いていても良い公の場所で褒める(認める・感謝する)ことがとても効果的だということです。

 

③質問形で褒める(認める・感謝する)ことも効果的です。例えば、「いつからそのように上手になったのですか?」「●●ならAさんに任せておけば大丈夫と何人に言われたことがありますか?」「それが出来るようになったのは、何か自分で勉強したからですか?」など、本人を褒めている(認めている・感謝している)ことが前提になっている質問をするということです。

 

You/I/Weメッセージを使い分けることも効果的です。これはメッセージの主体が誰なのかによる違いで、YouよりはIIよりはWeのメッセージの方がより本人のモチベーションが上がります。例えば次のようなものです。

YouAさん(あなた)は●●で成果を出しましたね

I:私は自分でも似た経験があり、その難しさを知っています。Aさんだからこそ出来たのだと思います。

WeAさんの成果は、今会社の中でも話題になっています。他の店にもやり方を教えてあげて欲しいです。

 

3.褒める(認める・感謝する)時の注意点とは

①普段からの小さなことも大事とはいえ、心のこもっていない褒め(認め・感謝)言葉は、反対に本人のモチベーションが下がってしまうこともあります。

褒める(認める・感謝する)ことはモチベーションを上げるための単なるテクニックではありません。本当に本人に対して素晴らしいとか助かるなどと感じた時に言葉にするようにしましょう。

 

②同じような結果を出したり、同じような努力をしたりしたチームメンバーに対しては同様に褒める(認める・感謝する)ようにしましょう。褒められる(認められる・感謝される)人とそうでない人が同じチームの中にいることは良くないですよね。皆が気持ちよく働けるようにいつも気を配りましょう。

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【経営幹部-26】★動機づけの仕組み:継続的な動機づけの源泉とは

現場の従業員のモチベーションが上がる理由は、日々のモチベーションを上げられるものから中長期のものまで個々様々なものがあります。

ここでは従業員が継続的にモチベーションを維持・向上するために知っておきたい動機づけの源泉をご紹介いたします。

 

①自己成長が認識できる時

仕事を通して自分が成長できている/成長したと実感が持てる時は、モチベーションが上がります。例えば、今まで出来なかったことが出来るようになったり、知らなかった知識が習得できたり、出来る業務領域が広がったり、業務の専門性が高まったりすることなどによってモチベーションは上がります。

また、それらの結果として昇進したり、プロジェクトリーダーに任命されたりすることもモチベーションが上がる要因になります。

 

②職場の人間関係が良好な時

職場の人間関係は、毎日一緒に働くからこそ、各人の仕事に対する意欲に大きな影響を与えます。

人間関係が良好になるためには、風通しの良いコミュニケーションが出来ていることが前提です。上長と部下の間、部下同士の間のコミュニケーションがうまくいっていると、チームワークのレベルが上がり、お互いに尊重する風土ができ、皆が気持ちよく仕事ができるようになります。

皆が気持ち良く仕事ができるということは、良い仕事の結果、望ましい成果に結びつく可能性が極めて高くなります。良い結果や成果が出ますと、更に良い人間関係になり、人間関係の好循環が生まれます。

 

③仕事自体への興味・関心が高まる時

全ての従業員が、興味や関心のある仕事、自分がやりたい仕事などに従事できるとは限りませんが、自分にとっての仕事の新規性、専門性、特殊性などにより仕事自体に興味・関心がわく場合には、継続的なモチベーションが維持される可能性が高くなります。

仕事は既存の与えられたものだけではなく、人によっては仕事を創り出すことに精力を傾ける場合もあり得ます。

 

④実績を認められる時

売上・利益の実績が会社から認められること、特に会社内の公の場で認められ称賛されることは、モチベーションが大きく上がるきっかけになります。

また、実績はこのような経営数値に関連するものだけではなく、例えば販売に関する専門的な知識やスキルを使いこなせることや新規事業・新店舗などの立ち上げノウハウを持っていることなどを活用した実績を認められることもモチベーションアップにつながります。

 

⑤周囲の人に頼られる時

周囲の人から、困っている時に意見や実際のサポートを頼まれる時なども、モチベーションが上がるきっかけになります。人の役に立てることは、自分にとっても嬉しいことと感じることが多いためです。

また、返報性の法則(※)によって、次は逆に助けてもらいやすくなり、お互いのモチベーションがあがり職場の雰囲気も更に良くなっていくという良い副産物も生まれます。

※返報性の法則:人から受けた好意などに対して、お返しをしたいと思うこと

 

⑥社会的貢献を感じられる時

自分の仕事は社会的にどのような意義があり、どのように世の中の役に立っているかを実感できる時には、やはりモチベーションは上がります。

日々の忙しい仕事の中では、なかなか社会的な意義などを考える時間も余裕も少ないですが、だからこそ一つひとつの仕事に対してそれ自体が目的ではなく、それをすることによって社会がどのように良くなるのかを考えて仕事をすることは、その人自身のモチベーションを上げることに繋がっていきます。

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【経営幹部-27】★ブランドコンセプトの再構築の仕方

マーケットの不透明さが続く中、会社や店舗、商品・サービスのマーケットでの位置づけを見直す必要性も益々増えてきています。

ここでは、会社や店舗、商品・サービスのブランドコンセプトの再構築の仕方をご説明いたします。

①ブランドコンセプトとは

ブランドとは自社の商品やサービスを他社のものから区別するための名称やデザイン、イメージなどの総称です。従って、ブランドコンセプトとは他社から区別するためのブランドとしての考え方のことを指します。

例えば、ブランドとして扱う商品や扱わない商品を決めたり、ブランドとして大事にしていることを言語化したりすることです。

通常ブランドコンセプトは、ブランドとしての「普遍的な価値」と「変えていく価値」の2つの価値を持っています。

普遍的な価値とは、ブランドが過去~未来にかけて大事にしている「ブランドらしさ」のことです。例えば、「食卓を楽しくするキッチン&ダイニング用品」「新鮮な●●産の食材にこだわった料理」「手軽に家庭で続けられる健康維持法」などのようなものです。

変えていく価値とは、時代やマーケットニーズに合わせて変えていく価値のことです。例えば、働く場所が会社のオフィスだけの時代から、最近では自宅をはじめカフェやレンタルスペースなどに広がりましたが、これらの様々な働く場所を前提とした商品開発などでは、「デスク周りで使いやすい商品」から「持ち運びに便利な小型商品」へとブランドコンセプトが変わってきているなどが挙げられます。

 

②ブランドコンセプトの重要性

ブランドコンセプトは何故重要なのでしょうか。それは自社または自社の商品やサービスを顧客に明確に他社と区別して認識してもらうことが大事だからです。

また、近年のマーケットの著しい変化の中では、様々な新商品や新サービスが出てきており、自社としてのブランドコンセプトを見直す必要にも迫られていると言ってよいでしょう。

ブランドコンセプトは、企業が伝えたいと思っていることが、その通りに顧客に伝わっているとは限りません。従って、ブランドコンセプトは最終的には企業が伝えるもの=顧客がイメージするものにすることが求められます。

そのためには、顧客とブランドとの接点において発信されるブランドメッセージを、一貫性を持ってコントロールする必要があります。

もし顧客との接点ごとに違うブランドメッセージを発信してしまいますと、結果的にブランドコンセプトが不明瞭になり(顧客によって異なるブランドイメージを持つことになり)、ブランドとしての訴求力が低下してしまいます。

 

③ブランドコンセプトの再構築の仕方

それではブランドコンセプトの再構築の仕方はどのようにすればよいのでしょうか。

1)企業の歴史・方針を振り返る

企業の創業期から現在までの企業の歴史や経営方針を振り返ってみましょう。この振り返りによって、会社として普遍的に大事にしていることと時代やマーケットニーズに合わせて変えてきていることが浮き彫りになってきます。

2)事業を展開する際に大事にしている考え方を経営層にヒアリングする

現在の経営層に、事業を展開する際に大事にしていることをヒアリングしてみましょう。経営層の各人の言葉で語られる中に、ブランドとして大事にしていることや、今後大事にしていきたいことなどを見ることができるでしょう。

3)従業員からも会社や従業員が大事にしているものをヒアリングする

従業員からも同様に、会社や自分が大事にしていることをヒアリングしてみましょう。できれば階層別、役割別など、色々な仕事や役割の従業員からヒアリングするようにします。

4)顧客のイメージをヒアリングする

可能であれば、顧客が会社や店舗、商品・サービスについてどのようなイメージを持っているかをヒアリングしてみましょう。顧客のアンケートを取れるのでしたら一番良いのですが、そこまでしなくても例えば、店頭での接客の中から吸い上げられる顧客が持っているイメージを集めるだけでも参考になるでしょう。

5)歴史と方針、ヒアリング結果からブランドコンセプトをまとめる

会社の歴史・方針の振り返り、経営層や従業員、顧客からのヒアリング内容から、会社として過去~未来に向けて大事にしている考え方をまとめましょう。

最終的にはそれを言語化、可視化して、誰がみても同じ理解ができるようにしておきます。通常は、3~5つ位のブランドコンセプトとしてまとめると良いでしょう。

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【経営幹部-28】★ブランドコンセプトの顧客への訴求の仕方

マーケットの不透明さが続く中、会社や店舗、商品・サービスのマーケットでの位置づけを見直す必要性も益々増えてきています。

ここでは、会社や店舗、商品・サービスのブランドコンセプトの顧客への訴求の仕方をご説明いたします。

※ブランドコンセプトの再構築の仕方は【経営幹部-27】をご参照ください

 

①メッセージの一貫性を確保する

ブランドコンセプトを顧客に訴求するために言語化・可視化したものをブランドメッセージと言います。このブランドメッセージは、顧客に対していつでも、どこでも、誰でも同じメッセージを発信していることが大事です。

言い換えますと、ブランドメッセージは時間的一貫性、場所的一貫性、人的一貫性が保たれている必要があるということです。

例えば、ブランドメッセージの一つが、「食卓を楽しくするキッチン&ダイニング用品を提供する」という場合、昨年までは買いたくなるような新しい調理器具がたくさんあったのに、今は昨年とほぼ同じ商品しか扱っていなくて面白味がないとか(時間的一貫性の欠如)、A店では商品の色々な使い方が提案されているのに、B店ではただ商品が道具として並んでいるだけとか(場所的一貫性の欠如)、A店のCさんはいつも笑顔で調理の楽しさを伝えてくれるのに、Dさんは笑顔もなく聞かれたことを淡々と答えているだけ(人的一貫性の欠如)といったようなことは避けなくてはなりません。

 

②顧客との接点で同じメッセージを発信する

顧客との接点という考え方も大事です。店舗経営では店舗のスタッフや商品をイメージすることが多いですが、顧客との接点とはそれだけではなく、実際の顧客と会社や店舗、商品・サービスが触れ合うところのことを言います。

例えば、Webサイトや、広告、プロモーション、店舗デザイン、店舗内什器/テーブル/設備、スタッフの接客の仕方、制服、店内音楽、陳列、販促用パンフレット/メニュー、会計時のレシートにいたるまで、全てが顧客との接点になります。

これらの全ての接点において、いつでもどこでも誰でも同じメッセージを発信することが重要です。

 

③普遍的な価値と変えていく価値に沿っているかを点検する

ブランドとしての普遍的な価値と変えていく価値に、実際の店舗活動が合っているかどうかは、常に点検する必要があります。

この二つの価値は、ブランドとしてブレないで表現していく(訴求していく)ポイントですので、その時代にブランドが持っているブランドらしさと言うこともできます。

通常店舗経営は、毎日、毎月、毎年様々な店舗活動をしていますので、それらがブランドらしさに全て合っているかということには、常に気を配る必要があります。

※普遍的な価値と変えていく価値については【経営幹部-27】をご参照ください

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【経営幹部-29】★ブランドコンセプトの社内への浸透の仕方

マーケットの不透明さが続く中、会社や店舗、商品・サービスのマーケットでの位置づけを見直す必要性も益々増えてきています。

ここでは、会社や店舗、商品・サービスのブランドコンセプトの社内への浸透の仕方をご説明いたします。

※ブランドコンセプトの再構築の仕方は【経営幹部-27】をご参照ください

 

①ブランドコンセプトの意味・重要性を説明する

ブランドコンセプトは他社や他社の商品・サービスと区別してもらうための考え方です。そして、顧客との接点では常に同じブランドメッセージを発信していなければ、ブランドのイメージもぼやけてしまいますので、一貫性をもってブランドメッセージを発信することが大切です。

そのためには、社員全員がブランドメッセージの重要性を理解している必要があり、マーケティング部や商品部だけが知っていれば良いというものではありません。特に店舗で顧客に接する時は、ブランドメッセージが直接顧客に伝わる場所であることを理解しておくことが重要です。

店舗は単に商品やサービスを提供する場ではなく、商品やサービスを通してブランドメッセージを伝える場であることをスタッフ全員が理解していることが大事です。

これらのことを従業員に理解してもらうためには、入社時や昇進時の研修など、節目できちんと説明する機会を設けることと普段からコンスタントにブランドコンセプトに関連づけて業務を行うことが必要です。朝礼やミーティングの初めなどでブランドコンセプトについて皆で考える時間を設けることも効果的です。

 

②会社の言葉から従業員各自の言葉に変換させる

ブランドコンセプトを社員に浸透させるためには、社員一人ひとりが自分の言葉に置き換えてブランドコンセプトを説明できるようになることが大切です。

そのためには、日々の業務の報告・連絡・相談・ミーティングなどの中で、ブランドコンセプトに沿ったコミュニケーションをとるように心掛けることが大事です。

例えば、「感じの良いカジュアルな接客で顧客を笑顔にする」というブランドコンセプトであれば、どのような声掛け、商品説明、共感の仕方などがブランドコンセプトに合っているかなどをスタッフミーティングで話し合ってみるのも良いですね。

 

③表現・実践できている業務や人を称える

ブランドコンセプトを実際に良く表現している業務や人は、他のスタッフの良い見本となります。身近に良い見本がありますと、ブランドコンセプトを実際に体感することができますので、その人も早く理解できたり表現できたりするようになります。

従って、ブランドコンセプトを良く表現している業務や人を積極的に称えて周知し、できるだけ多くの従業員に意識してもらうことによって、ブランドコンセプトの理解が早く、広く進むことになります。

 

その周知の仕方は様々で、エリア毎に情報を共有したり、社内報のトピックスとして取り上げたり、年に一度の店長会議で表彰したりするなどがあります。

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【経営幹部-30】★おもてなしの感性を磨くには(その1)

お客様の期待に応えるためには、お客様が期待することを理解し、お客様より先に気づいて行動することが大事です。

ここでは、おもてなしをする際に必要な先を読む感性の磨き方についてご説明いたします。

 

1.サービスとおもてなしの違い

サービスとは、既にやり方が決まっていることを、そのやり方に沿ってそのとおりにすることです。これに対しておもてなしとは、既に決まっていることをやるだけではなく、お客様の期待すること以上のことをしてお客様に喜んでいただくことと言えます。

例えば、接客では、通常お客様のお出迎えから最後のお見送りまで、基本的な接客のステップが決まっています。これをきちんと習得して実行することはサービスと言えます。一方、接客のステップの中で、お客様の気づかないような、お客様の好みに合った商品を提案できることなどはおもてなしと言えるでしょう。

サービスもおもてなしも両方とても大事なことですが、サービスがしっかりできた上でないとおもてなしもできないと認識しておきましょう。

 

2.おもてなしの感性を磨く方法

おもてなしの感性を磨くためには、「知識」「経験」「スキル」をそれぞれ磨いていくことが必要です。知識とは知っていること、経験とはやったことがあること、そしてスキルとは●●をすることができることと言い換えることができます。

それでは一つずつ見ていきましょう。

①興味の薄い情報にも触れる(知識)

現代では情報はたくさん溢れており、特にネットではすぐに必要な情報にたどり着けるようになっています。たどり着けるだけではなく、自分の必要な情報にひとたびたどり着くと、次から次へと関連情報が表示されるまでに便利になっています。

ただ、この便利さの影では、実は必要な情報だけを目にする機会が増えているということに注意しなければなりません。即ち、自分に表示される情報の幅が狭くなっているということです。

これを防ぐためには、自分の興味の薄いものや関心のないものにも、時々アクセスして見てみることは効果的です。また、街に出てショッピングモールなどに入った時でも、時々全フロアをそれぞれ一周して、どんな店舗があるか、どんな客層が入っているか、どんな商品が人気があるかなどを見て回ると良いでしょう。

このように、いつもと違う情報に触れることはとても大事だということをしっかり認識しておきましょう。

②ハインリッヒの法則を知り先読みする(知識)

ハインリッヒの法則とは、1件の重大な事故の前に、重大な事故に至らなかった29件の軽い事故があり、その軽い事故の前には300件のちょっとした危ないことがある、というものです。

これを先読みに応用しますと、お客様に不快な思いをさせないように、300件の小さな不快の種を取り除いておくということになります。こんなことがあるとお客様は不快に感じるだろう、これはお客様にとっては不便なのではないか、などの小さな気づきから将来の大きな不快を防ぐことができるようになります。

③「自分だったら」を考える(知識)

時には自店から出て、他の店を見に行くことを習慣づけることも大事です。自店と同じ業界だけではなく、他の業界の店も見に行くと参考になることがたくさんあります。

そして他の店に行った時は、「自分だったらこうするだろう」という視点で店内や商品を見るようにします。店頭の看板、商品の見せ方、接客の仕方、プロモーションの仕掛け方など、単に見たり体験したりするだけではなく、自分がそこの店舗責任者だったらどのようにするかを具体的に考えてみると良いでしょう。

(その2に続く)

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【経営幹部-31】★おもてなしの感性を磨くには(その2)

お客様の期待に応えるためには、お客様が期待することを理解し、お客様より先に気づいて行動することが大事です。

ここでは、おもてなしをする際に必要な先を読む感性の磨き方についてご説明いたします。

 

<経営幹部-30からの続き>

④質の良いサービスやおもてなしに触れる(経験)

やり方が決まっていることをそのとおりにやることをサービスといい、サービスを実施することだけではなく、お客様の期待以上のものを提供することをおもてなしと前項でご説明しましたが、いずれにしても質の高いサービスやおもてなしに数多く触れることが効果的です。

頭では良いサービス、良いおもてなしのことが分かっていても、それを自分が実行できるとは限りません。知っていることと出来ることとは異なるからです。

従って、自分が実行できるようになるためには、まずは実行できている人のサービスやおもてなしはどのようにやっているのかを体験すると良く、特に人によってやり方が異なるおもてなしについては、多くの実例を体験したり、見たりすることがとても参考になります。

⑤自分のワクワク体験を積み上げる(経験)

自分の興味があることや自分がやってみたいことは、自分から進んでやりますよね。そのような時は、自分の中でワクワク感が高まって、より良いやり方のアイデアや独自の楽しみ方なども自然に浮かんでくることが多いです。

このようなワクワク体験をすることにより、通常とは違う見方を発見したり、物事の新しい組み合わせを思いついたりする可能性が大きくなります。更に、ワクワク体験を続けていると、想像力や創造意欲が増して今までとは違うことに気づくことが多くなります。

⑥店頭で実践してみる(経験)

自分が知識として習得してきたものを、店頭で積極的に使ってみることも大事な経験の一つになります。

店頭で実践してみると、例え同じことをやっていても、いつも同じ結果になるとは限りませんので、それらの一つひとつの結果がその後の改善や次の創造へと繋がっていきます。この改善や創造を繰り返すことが、既存の枠から出た発想を生む素地になり、それらが新しい商品やサービス、オペレーションなどに繋がっていきます。

⑦「できること」のレベルを上げる(スキル)

知っていることを色々とやってみて、改善や創造を繰り返していきますと、最終的には自分ができるようになります。このできるようになるものをスキルと呼んでいますが、このスキルは更に磨きをかけてレベルアップすることが可能です。

例えば、「●●を一人で料理することができる」から「●●をより早く、より見栄え良く、一人で料理することができる」のように、スキルの磨き方によって様々なレベルアップの仕方があります。

また、スキルの数が増えていくことによって、スキル同士の掛け算もできるようになります。例えば、「●●を料理することもできる(スキル)と同時に、ホールに出て料理の素材や美味しい食べ方について説明することもできる(スキル)」といったことも可能になり、お客様のご要望を直に感じ取り、次の料理に活かすことができるようになります。

⑧「できること」を他のことへも応用する(スキル)

できるようになること(スキル)を、本来の目的とは別のものにも応用して使うことを考えてみましょう。例えば、VMDのスキルを習得した場合、バックヤードのゴールデンゾーンに良く売れる商品の在庫を置き、商品を見つけやすくして品出しの効率化を図ったり、バックヤードの動線が出来るだけ交差しないように在庫を配置してバックヤード業務の効率化を図ったりすることなどもスキルの応用と言えますね。

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【経営幹部-32】★店舗経営の改善手順

店舗経営の健全化のために様々な改善をすることがありますが、その改善には適切な手順があります。この適切な手順を踏まないと、改善が効率よく進まなかったり、改善するどころか反対にブランドを傷つけてしまうこともあり得ます。

ここでは店舗経営の適切な改善手順をご説明いたします。

 

1.集客は店舗運営ができてから

売上を向上させるためにより多くの顧客にご来店して欲しい、と集客に力を注ぐケースが良く見られます。SNSを使ったり、イベント開催を増やしたりしますと、一時的な効果は見られるかもしれませんが、集客策を実施する際には、再度店舗運営のレベルを見直す必要があります。

何故かと言いますと、店舗運営のレベルが低く、例えばスタッフの接客レベルが低くて、感じの良い接客ができていない店舗の場合、イベントなどで呼んだ多くの顧客に接客レベルの低いスタッフが対応することになります。

その結果、多くの顧客が接客に対して不快感を覚えたり、感じが悪い店だと認識してしまったりすることになり、かえって店の評判を落とすことになる可能性があるからです。

ご来店する顧客が少ない(あるいは減った)から集客策をたてるのではなく、店舗運営のレベルが低いために顧客が少ない(あるいは減った)と考えることが大事です。

従って、まずは店舗運営のレベルをきちんと評価し見直すことを先に行いましょう。小売業では、商品の魅力はあるか、接客は感じが良いか、VMDは見やすく探しやすく手に取りやすくなっているかなどを見直します。

飲食業では、Q(商品力)、S(接客力)、C(清潔さ)がお客様からみてきちんと保たれているかなどをチェックします。これらの店舗運営レベルが基準以上のものになってから集客策を講じるようにすると良いでしょう。

 

2.売上のどこをてこ入れするか

売上が不振な場合、どこから手をつけていくか迷う時がありますが、そのような時は次の2つの視点で考えてみましょう。

①売上構成比の大きいものから改善する

通常、商品(あるいは商品分類)ごとに、売上の好不調がありますが、まずは売上構成比が大きくて売上不振な商品(あるいは商品分類)から改善していくと良いでしょう。

何故売上構成比の大きいものから改善するかといいますと、売上構成比が大きいものはそれだけ売上全体に与えるインパクトが大きいからです。例えば構成比が30%の商品分類と3%の商品分類の場合、改善策をたててどちらも昨対10%の伸びができたとします。その時の売上額は構成比が30%の商品分類のものの方がはるかに売上額が伸びたことになります。

 

②売上伸び率の高い商品の可能性を探る

売上構成比が今は高くなくとも、売上伸び率が高く、将来売上が大きく伸びる可能性のある商品(あるいは商品分類)は、大事に育てていくと良いでしょう。

何故売上構成比が小さいにもかかわらず育てていくかといいますと、育てていくことによって、その商品(あるいは商品分類)が将来売上の柱になる可能性があるからです。今の売上の柱の商品(あるいは商品分類)も、初めから売上の柱であったものばかりではありません。小さな売上から徐々に大きくなっていったものもかなりあるはずです。

 

3.仕組みとヒト、どちらが先か

売上を向上させるための仕組み、それを回すことができるヒトの育成は、両方が店舗経営にとって必要なことです。但し、両方ともまだ整っていない場合は、まずは仕組みを先に作ると良いでしょう。

何故仕組みを先に作るかといいますと、仕組みを作ることは業務の標準化を進めることに繋がり、標準化が進むことによってより多くのヒトがその業務に携われる可能性が高くなるからです。

もしある業務ができるヒトを先に育ててしまいますと、業務がヒトについてしまい、そのヒトが異動してしまったり、体調を一時的に崩してしまったりした場合に、業務が止まってしまうリスクがあります。

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【経営幹部-33】★店の強みとは

厳しい店舗経営環境の中では、自店の強みを明確にして顧客に適切に訴求することが必須となります。

ここでは、店の強みのポイントについてご説明いたします。

 

<店の強みになるポイントとは>

店の強みとは、競合他店にはない、自店に顧客がご来店してくださる理由のことです。従ってその特徴としては、独自性があること(あるいは競合他店より強みが顕著であること)と共に、顧客にとって魅力のあるものである必要があります。

店舗経営で強みになり得るものとしては次のようなものがあります。

①商品・サービス

販売する商品やサービスそのものは、最も強みになり得るものです。●●があるからその店に行くという顧客の動機づけになります。そして、店舗経営をする上では、この商品やサービスに強みがあることが必須条件と言えますので、まずはこの強みを作ることが大切です。

例えば、小売業では●●の品揃えが充実している、飲食業では旬のメニューが必ずある、サービス業では●●の施術レベルが高いなどがそれにあたります。

②接客

店舗ビジネスである限り、直接顧客と接する機会は頻繁にあります。商品やサービスを提供する際に、説明をしたりおススメをしたりするスタッフの印象は、とても残りやすいものだと言えます。

従って、いつも感じの良い接客をして、顧客に気持ちよく購入して(過ごして)いただくことができれば、それが店の強みの一つになり得ます。顧客が欲しい商品やサービスが、比較的どこの店でもある場合などは、接客の良い店に顧客が行く可能性は高くなります。

③オペレーション

オペレーションでは、顧客にとって時間的に短縮されることやより便利になることなどが考えられます。

時間的に短縮されるとは、小売業では探しているものが早く見つかること、飲食業ではオーダーした料理が待たされないで配膳されること、サービス業では施術まで待たされないことや施術時間が短くて済むなどのことが強みになり得ます。

また、便利になることとしては、小売業では商品サンプルで購入前に試すことができること、飲食業では宅配やテイクアウトができること、サービス業では施術の一部を試すことができるなどのことが強みになり得ます。

そのほか、店舗の営業時間が、早朝から開いている/平日の遅い時間でも営業しているなども同様に顧客にとって便利なものとして認識される可能性があります。

④ロケーション

行きやすい店のロケーションも強みになり得ます。顧客が店で購入したいと思った時に、顧客の近くに店があったり、駅からの徒歩や車で行きやすい場所に店があったりするということは強みになり得ます。店舗が立地ビジネスと言われる所以もここにあります。

VMD(小売業)

小売業では商品のレイアウトや陳列も強みになり得ます。一般的には顧客にとって買いやすい店、即ち見やすく探しやすく手に取りやすい店の方が魅力的です。

特に、店内動線のうち顧客の目に着きやすいところに売りたい商品や売れ筋商品が並んでいること、顧客の目線に合わせて商品が陳列してあること、顧客の目をひくような陳列方法を使っていることなどがその店の強みとなり得ます。

⑥店のイメージ

上記のものがいくつか組み合わさって店のイメージができていますが、そのイメージそのものが強みとなり得ます。具体的な商品やサービスでなくても、いつも面白いものが見つかる店、店内の雰囲気が良い店などがそれにあたります。

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【経営幹部-34】★年度の店舗方針を決める(その1)

店舗の成長のために、年度末には当該年度の振り返りをしながら、翌年度の店舗の方針を作る必要があります。

ここでは年度の店舗方針の作り方についてご説明いたします。

 

1.年度の店舗方針の枠組みとは

年度の方針は、1年間をどのように店舗経営してお客様に喜んでいただくかというものですが、業界によって主となる考え方の枠組みがあります。

小売業界では【商品計画・接客・VMD】、飲食業界では【Q(商品)・S(サービス)・C(クレンリネス)】、サービス業界では【サービス・接客・オペレーション】がそれにあたります。

年度の店舗方針を立てる時は、これらの枠組みに沿って考えると良いでしょう。

 

2.各枠組みの考え方

①商品計画・Q(商品)・サービス業界のサービス

店舗経営にとって、一番お客様に訴求する必要がある枠組みです。店舗経営をする上では、自店が何の店なのかがすぐに分かるようにしなければなりません。その意味でここでの商品・サービスは店舗経営の核となる部分と言えます。

商品・サービスを1年間でどのように向上させていくかを考える時、いくつかのポイントがあります。

1)売上の柱を作る

年度の商品別売上構成比を見た場合、総売上の6070%を占めるだけの商品分類は何にするかを決めることが重要です。一つの商品分類で2030%の売上構成比があるものが1~2分類、1020%の売上構成比があるものが24分類ほどあると柱として考えやすくなります。

2)新商品・新サービスや新企画を投入する

商品やサービスが前年度と変わらないと、お客様に商品の新鮮さや楽しさを伝える訴求力が低下し、売上が上がらなくなってしまいます。前年度にない新商品や新サービスの売上が少なくとも20~25%位はあるように計画すると良いでしょう。

3)目玉商品・目玉サービスを作る

商品・サービスの中で、「この店といえば●●」のような目玉商品や目玉サービスを作るようにしましょう。名物商品・名物サービスと言い換えても良いですが、他店にはない商品やサービスを目玉とすることで、お客様がご来店する理由を作ることになります。

 

②接客

店舗経営では、お客様との直接的な触れ合いが売上に大きく影響します。お客様が購入するのは①でいう商品やサービスですが、それを提供する時のスタッフの接客で、お客様の購入体験が良いイメージになることも反対のイメージになることもあります。

接客で特に重要なことは、お客様にとって感じの良い接客をいかにするかということです。お客様に強く購入をおススメし過ぎたり、お客様の興味のないものを提示し続けたりすることは、お客様にとっては気分の良いことではありません。反対に何もおススメしなかったり、笑顔もなく接客をすることなども、感じの良い接客とはいえませんね。

接客は十人十色のお客様に対応する必要がありますが、全体としては、どのお客様にも感じの良い接客だと思っていただくことが重要です。

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【経営幹部-34】★年度の店舗方針を決める(その2)

店舗の成長のために、年度末には当該年度の振り返りをしながら、翌年度の店舗の方針を作る必要があります。

ここでは年度の店舗方針の作り方についてご説明いたします。

 

1.VMD(小売業)

MD(商品計画)との連動

VMDとは、単なる陳列方法のことではなく、MD(商品計画)を可視化したものですので、年間の商品計画に沿って、どの時期のどの商品をどのように売場に展開するかということを決める必要があります。

展開計画には、商品、展開時期、展開場所、必要在庫量などを盛り込みます。年度の計画なので、一つひとつのアイテムというよりは、大きな商品群ごとに訴求方法を決めていくと良いでしょう。

②演出計画の作成

VMDは商品自体の陳列だけではなく、顧客に訴求するためのパネルやPOP、装飾物などの演出計画も一緒に立てることが大切です。これらは商品の陳列のポイントと同様に、顧客にとって「見やすい」「探しやすい」「分かりやすい」演出を心掛けましょう。

また、演出物は単なる脇役ではなく、商品と同じように店のイメージにもつながることを認識し、店のコンセプトに合うようなデザインや色、文字などを使い、伝えるメッセージにも統一感を持たせると良いでしょう。

③陳列スキルの向上

店頭での商品陳列開始時の陳列は、在庫も豊富にあり、本部からの指示なども比較的出ているので、店としても陳列しやすいことが多いです。ただ、商品が売れていくにつれて、在庫が切れてきたり入荷するまでに少し時間がかかってきたりする場合には、店で陳列方法を工夫しなければなりません。

その時のために、店のスタッフの陳列スキルを上げておく必要がでてきます。陳列スキルは知識だけではなかなか上達することが難しく、それなりの場数を踏む必要がありますので、スタッフの陳列スキル向上の計画は年度単位で考えると良いでしょう。

陳列のリーダーを持ち回りで担当したり、店の中で陳列の勉強会を開催したり、他店の視察に出かけたり、年度の中でコンスタントに計画を立てておくことが効果的です。

 

2.クレンリネス(飲食業)

顧客用施設と従業員用施設のクレンリネス・チェックの見える化は大切です。

飲食業にとって施設を清潔に保つことは必要最低限のことですので、いつも清潔さが保たれるようにするための仕組みを作ることが重要です。

年度計画としてのクレンリネスでは、衛生管理者による定期的なスタッフ講習を開催することや日々のチェックリストの管理状況をまとめること、修繕が必要な箇所の定期的なチェック時期を定めることなどを計画に落とし込むことが必要です。

これらの計画は、顧客用施設と従業員用施設とに分けて考え、ヌケ・モレがないように計画表を見える化しておくと良いでしょう。

 

3.オペレーション(サービス業)

予約の管理&顧客名簿の管理を適切に行うことが大切ですので、年度計画の中に組み込むと良いでしょう。

サービス業の予約管理は、予約状況の実績を月単位(少なくとも3か月単位)で把握する必要がありますので、そのためにも月ごとの予約目標を設定しておくことが重要です。

月ごとの予約目標は、サービスメニューごとに細分化して設定します。この際、年度での重点施策や季節ごとの重点施策などが分かるように、表などに落とし込んで見える化しておくと良いでしょう。

サービス業にとって顧客名簿の管理は、リピート顧客を増やすために必要なことです。顧客名簿の管理としてのポイントは、1)顧客名簿数を増やすこと 2)実績に合わせて顧客分類をしておくことの2点です。

顧客名簿数は、実質的にアクティブな顧客名簿数(ご来店を継続してくださる顧客数)を増やしていくことが大事ですので、新規顧客の名簿化を日々続けていくことと共に、年間で新規顧客獲得のための強化月間などを設けることも効果的です。

顧客分類をする方法としては、半期に一度くらいの頻度で来店頻度や購入金額などでABC分析をする予定を立てておくと良いでしょう。当該年度の分類だけではなく、時系列で顧客の分類結果を追っていくことも有効です。

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